第3章 病院と嘘
やっぱり自分の文章力が無くて悲しくなってきてます…
でも個人的にめっちゃいいの思い浮かんだから作っている感じに近いからこんな感じになっています…
第3章
病院と嘘
朝。
スマホの通知で目が覚めた。
見慣れた予定。見慣れた病院名。
見慣れているはずなのに、指先が冷たくなる。
……同じだ。
一周目でも、大学に入ってすぐに通院は始まっていた。
検査。投薬。経過観察。
そして、少しずつ悪くなる数字。
「今日は病院だから、終わったら連絡する」
病院の待合室は、相変わらず静かだった。
遠くで呼ばれる番号。紙をめくる音。誰かのため息。
一周目の俺は、この場所が嫌いだった。
病気を突きつけられるからじゃない。
ここにいる自分を、認めなきゃいけないからだ。
「佐伯悠真さん、診察室へお入りください」
「数値は、前回より少し悪くなっています」
「……どのくらいですか」
「まだ急を要する段階ではありません。ですが、無理はしないでください。
生活の記録をつけてください。服薬、睡眠、発作の有無。
それから、周囲の方には可能な範囲で説明を」
「周囲……」
結衣の顔が浮かんだ。
一周目の俺は、最後までまともに話せなかった。
また、隠すの?
病院を出ると、雨が降り始めていた。
こういうところまで、同じかよ。
「……佐伯くん」
「結衣?」
病院の入口近くに、結衣が立っていた。
傘を握る手に、少しだけ力が入っている。
「ごめん。来ちゃった」
「なんで……」
「病院って聞いたから。気にならないわけないでしょ」
「今すぐどうこうってわけじゃない。でも、昔からずっと通ってる」
「どうして昨日、言わなかったの?」
「怖かった。結衣を傷つけるのが。」
「……ばか。隠される方が傷つくよ」
「……ごめん」
「謝るなら、次からは言って。無理な時は無理って。怖い時は怖いって。
私、全部は背負えないかもしれないけど。
隣にいるくらいなら、できるから」
「……ありがとう」
「あと、傘。入って。濡れる」
一つの傘に、二人で入る。
肩が触れる距離。
「病気のこと、全部今すぐ聞きたいわけじゃないよ。
でも、私が知らないまま笑ってるのは嫌」
「……うん」
「だから、一個だけ教えて。怖い?」
「怖い」
「言ってくれてありがとう。
佐伯くんの本当の言葉でしょ」
「怖い時は、少しだけ分けて」
「分ける?」
「うん。怖いの半分こ」
「子どもみたいだな」
「子どもでいいよ。
一人で大人ぶって消えられるより、ずっといい」
「声、思ったより元気ないね」
「そうかな」
「うん。でも、無理に元気な声出さなくていいよ」
「まだ、詳しくは言えない」
「……そっか」
「でも、大したことないって言ったら嘘になる」
「じゃあ、大したことあるんだ」
「……たぶん」
「たぶんじゃ分かんないよ」
「でも、言えないなら言えないって、ちゃんと言って。
黙って消えるのだけは、やめて」
その言葉が、胸に刺さった。
一周目の俺は、まさにそうした。
……一回目も、そうだったよね。
「大したことないよ。検査だけ。いつものやつだから」
「いつものって、何?」
「本当に、大丈夫だから」
「大丈夫って言葉、嫌いになりそう」
「それ言う時の佐伯くん、全然大丈夫じゃない顔してる」
「なのに、私には何も聞かせてくれない。
私、そんなに頼りない?」
「違う」
「じゃあ、なんで?」
答えられなかった。
本当の理由は、結衣のためじゃない。
俺が、怖いだけだ。
「そっか……」
「……もう家の近くまで来たから、また明日」
「待って」
「待ったら、話してくれる?」
帰宅しても、結衣の声が耳から離れなかった。
夜。
医師に言われた通り、生活記録をつける。
服薬、済。
睡眠、短い。
発作、あり。
……嘘、あり。
……嘘、ってなんだよ。
怖いけど、話してよかった。
今日はごめん。
何も送らなかった。
何も送らないことも、ひとつの嘘だった。
病院は、終わりを告げる場所じゃない。
本当は、生きるために通う場所だ。
それなのに俺は、
そこへ行くたびに終わりの準備をしていた。
嘘、増えたね。
ねぇ。
もう、病院なんて行かなくていいよ。
第3章 END
徐々に佐伯の違和感に気付き始める結衣の反応が増え始める頃かなと思い入れてます。
続きも作っていきます




