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Y県立医大のAO入試の結果発表の日。10時にホームページ上に結果が掲示されると聞いていたので、私はパソコンの前に座り、緊張しながらその時を待っていた。
やれるだけのことはやった。どんな結果が出ても悔いはない。そう自分に言い聞かせて、何度も深呼吸していた。
10時ちょうど、結果が掲示された。大きすぎる心臓の音を聞きながら、私は自分の番号を探した。
そして、見つけた。私は...合格したんだ。
「やったー!」
私の声を聞いて、リビングで息を潜めていたお母さんは歓声を上げた。
「良かったね!合格おめでとう。本当にすごいね。お父さんにも連絡しなきゃ。仕事中だけど、すごく気にしてたし。」
お母さんは嬉しそうだった。
「ありがとう。本当によかった。皆が応援してくれたおかげ。本当に感謝してます。」
私がここまで頑張れたのは、周りの応援があったからだ。そして、一緒に夢を叶えようと、約束した彼がいてくれたおかげだ。
今すぐ彼に会いたい。
「お母さん、私、今から報告してくる。」
そう言うと、お母さんは何かを察したように、優しい笑顔になった。
「きっと、喜んでくれるね。行ってらっしゃい。」
私は、彼にメッセージを送ると、コートを着て家を飛び出した。
“結果が出ました。直接会って、今すぐ報告したいので、花火大会の時、待ち合わせした公園に来て欲しいです。待ってます。”
彼に早く会いたくて、私は走っていた。彼を追いかけて、ダンススタジオまでの道を走った時みたいに、また、青春しているなと思った。
公園に着くと、メッセージを送ってから10分も経ってないのに、彼が既にベンチに座って待っていて、驚いた。
「陽介君!」
声をかけると、彼はこちらを振り向いて、笑顔になった。
「ごめん、待たせて。走ってきたけど、陽介君の方が早かったね。」
私が息を切らせながら言うと、
「今日の10時が結果発表だって分かってたから、梓から連絡来るの待ってた。自分のことかと勘違いするくらい緊張してた。」
陽介君は笑いながらそう言った。
「私も陽介君のダンスの大会の時、同じくらい緊張してたよ。」
私は、深呼吸して、彼の顔を見つめた。
「合格しました。おかげさまで。今まで応援してくれて、本当にありがとう。」
私がそう言うと、陽介君は両手をあげたので、私たちはそのままハイタッチした。その流れで手を握られて、ドキッとしたけれど、私はそのまま手を握り返した。
「おめでとう。本当にお疲れ様。すごいね。有言実行だね。」
陽介君は笑顔でそう言って、嬉しそうに私を見つめた。
「ありがとう。お互いに有言実行できたね。嬉しい。」
私は合格できた喜びと、陽介君との約束を守れた喜びを噛み締めていた。
そして、伝えようと決めていたことを言おうとした。
「私ね、陽介君に会えて本当に良かった。陽介君のおかげで自分の夢を叶えようってさらに頑張れたし、誰かの夢をここまで応援したいって思ったのも、初めてだった。自分のことみたいな嬉しくなるのも。
...ずっと言いたかったことを言うね。私は、陽介君のこと、」
「ちょっと待って!」
陽介君はそう言って、私が次の言葉を言うのを止めた。
「え?どうしたの?」
私が驚いて、聞き返すと、
「...俺だって、ずっと言いたかったのに、先に梓に言われるのは、なんか悔しい。」
思ってもみないことを言われて、さらに驚いた。
「え?でも、私、あのとき横断歩道の前で、伝えたいことがあるって宣言してたし...」
「そんなこと言ったら俺の方が先に、言いたいことがあるって伝えてた気がするけど、進路指導室で。」
手を繋ぎながら、お互いにどっちが先に思いを伝えるかで揉めていることが次第におかしくなって、私は吹き出してしまった。
「なんか、手まで繋いでおきながら、言い合ってるのおかしいね。」
私がそう言うと、
「そうだね。なんで、変なところで意地張ってるんだろ。」
陽介君も笑って答えた。そして、私の手をぎゅっと強く握った。
「じゃあ、お互い、同時に言おうか。」
彼はそう言って私のことを見つめた。
「そうだね。せーのって私が言ってから、一緒に言おう...語尾は”です”で」
私も彼を見つめ返して言った。彼は頷いた。
「せーの、」
「「好きです。」」




