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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U
第三部 四つの風

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第25話 戻ってしまう道 ―― 後編「そこはまだ踏まないで」

◆◆◆


御者とポン太に荷車を任せ、ゼピュロスが通った道脇へ向かった。


高くなった土の上を選び、溝の端を回り込む。向こう側へ出ると、しゃがんでいた少女の姿が木々の間から見えた。


近づいても、少女はすぐには顔を上げなかった。


片手を土へつき、もう片方で石の縁を押さえている。少し力を緩めてから、石が傾かないことを確かめていた。


直也「ちょっと、聞いてもいいか?」


少女は指を止めてこちらへ目を向けたが、すぐに石へ視線を戻した。


「今、手を離すとずれるから。これを置いてからにしよう」


俺たちは道の端で待った。


少女は石の下へ小さな欠片を差し込み、ゆっくり手を離す。少女は立ち上がると、膝についた土を払った。


ゼピュロス「向こうで荷車が待ってるの。道のこと、聞いてもいい?」


「何を聞きたいの?」


直也「向こうの溝、昨日は埋まってたらしいんだけど。直したのは?」

「……ウチ。荷車が通るところだけだけどね」


少女は、俺たちが来た方を見た。


直也「今朝は、また開いてた」

「そう。ここも石が脇に戻ってたから、先に直してたんだ」


足元には、並べ直された石があった。まだ手をつけていない場所にも、平たい石がいくつか寄せられている。


直也「どうして戻るんだ?」

「それは、ウチも分からない」


土のついた指が、道の中央を示した。


「昨日はここに置いた。今朝はあっちにあった。動いたところは見てないから、誰かが動かしたのかも分からないんだ」


ノトスが脇の石を見た。


ノトス「これも使うのか?」

「使うよ。でも、そのままでは置けない」


答えを聞くと、ノトスは石へ近づいた。持ち上げるために足を開こうとしたところで、少女が手を伸ばす。


「そこはまだ踏まないで」


ノトスの足が止まった。


ノトス「見てるぞ」

「表面だけ乾いてるからね。下の土を確かめてからにしよう」


少女はノトスの足元ではなく、その横を指した。


「こっちから回って。その石は、ウチの後ろへ運んでくれる?」


ノトスは指された場所と、石を見比べた。


ノトス「……そこならいいんだな」


少女の頷きを見て、ノトスは回り込み、石を持ち上げた。少女の後ろへ下ろすと、腰を伸ばして腕についた土を払う。


ノトス「次は?」

「先に、ここを確かめたい」


膝をついた彼女のそばへ、ボレアスも寄った。ただし、手の届く場所からは少し離れて立つ。


ボレアス「なぜ、そちらからなのじゃ?」

「石を置くところより、手前の土が軟らかいから」


少女は掌を地面へ当てた。


「置いた石が動かなくても、近づく足が沈んだら困るでしょ」


指先の周りで、土の粒が寄った。


掻き集めたわけではない。手は地面についたままで、その下の土だけが浅く盛り上がっている。


小さな窪みが埋まり、石の欠片が横へずれた。


思わず、膝を曲げて覗き込む。


直也「今、どうやった?」

「下に空いてるところがあったから、土を寄せたの」


手を離してから、足先でその場所を押す。すぐには体重を掛けず、縁から順に確かめていく。


ボレアス「見えぬところが分かるのか?」


少女は少し考えてから、首を傾けた。


「触れば分かるところはあるよ。でも、全部ではないからね」


ボレアスが地面を見た。


その隣で、ノトスは運んだ石に片手を置いて待っている。


直也「向こうの溝も、見てもらえるか? 荷車が止まってるんだ」


少女は道の先へ目を向けた。


「見るよ。ここの石を置いてからでいい?」


直也「ああ。急がせて悪い」


石を持つノトスへ、少女が置き場を示した。向きを変えて下ろすと、今度は少女が縁を押さえ、下の土をならしていく。


リィナが、その手へ目を留めた。


リィナ「少し休みませんか? ずっと作業されていたんですよね」


顔を上げた少女は、額へ持っていきかけた手を見て、指についた土を払った。


「ありがとう。これが終わったらにする」


リィナ「では、拭くものを用意しておきますね」


返事を待たずに作業へ戻った少女を、リィナも急かさなかった。


最後の石が収まると、少女は道の端へ石の欠片を寄せた。通る場所をもう一度確かめてから、俺たちの方へ来る。


「荷車は、まだ手前にあるんだね?」


直也「動かしてない」

「じゃあ、車輪を通したいところから見よう」


◆◆◆


最初の溝へ戻ると、ポン太と御者が道の広いところで待っていた。


御者は少女を見て、頭を下げる。


御者「昨日ここを直してくれたそうだね。おかげで通れたよ。ありがとう」


少女は溝の向こう側から、轍へ目を落とした。


「昨日は通れたんだね。よかった」


御者「今日も頼めるかい?」

「まず見せて。荷車の幅も知りたいから」


御者が車輪の位置を示すと、少女は道脇を回ってこちら側へ来た。俺が踏みかけた草の下を覗き、少し離れたところへ手をつく。


ノトスが先ほど置いた石も、そのまま残っていた。


少女は石を見てから、ノトスへ顔を向ける。


「これ、動かした?」

ノトス「脇から持ってきた。まだ入れてねえ」


少女は頷き、溝へ手を入れた。


掌の下で土が寄る。草の下に開いていた隙間が少し埋まり、縁の崩れかけた土が低くならされた。


その先は、まだ開いたままだった。


直也「全部埋めるわけじゃないんだな」


少女は手を引き、土のついた掌を見せた。


「車輪を通すところを、先に作りたい。ほかまで触ると、確かめる場所が増えるからね」


ポン太が御者へ向き直った。


ポン太「待てる時間で、ここを通せるか試そうぜ。駄目なら、迂回の支度に切り替える」

御者「ああ」

ポン太「石運びまでは手を貸す。荷を下ろすなら、また相談だ」

御者「分かった。無理に引かないよ」


リィナは少女に立ってよい場所を尋ねてから、道の広い側へ水筒と布を置いた。


ゼピュロスもそちらへ寄る。ボレアスは溝の縁から離れ、少女の手が動くところを見ていた。


ノトスが、待っていた石を持ち上げる。


ノトス「置くぞ!」


少女は片手を上げた。


「待って。置く前に、その向きを変えてくれる?」


ノトス「合図しただろ」

「聞こえたよ。だから、今なら変えられる」


ノトスは石を持ったまま、少女が指す方へ回した。


直也「合図の前に、手順の確認も要るのか」

ポン太「旦那、石が重そうだぜ」


余計な感想を述べている場合ではなかった。


反対側へ手を添えると、少女が石の両端を示した。


「そこを持って。下ろしたら、すぐに離さないでね」


ノトスと一緒に腰を落とす。


石の底が土へ触れたところで止め、少女が下の収まりを確かめる。少し持ち上げ直してから、もう一度下ろした。


「今度は、ゆっくり手を離して」


指を抜く。


石は傾かなかった。


ノトス「もう1個か?」

「うん。反対の車輪も通るから」


次の石は、最初より薄かった。少女は下へ土を寄せ、石の高さを合わせる。御者が轍と見比べ、車輪の向きについて短く相談した。


置き終わっても、すぐには荷車を動かさなかった。


御者が長い板を持ってきて、石の上へ当てる。少女は端を押さえ、荷重を掛けた時に浮くところがないか確かめた。


それから御者が、車輪を通す場所へ片足ずつ体重を掛ける。


石がわずかに揺れ、少女が手を上げた。


「そこはもう少し直す。いったん戻ってくれる?」


御者が足を引く。


ノトスも石へ近づきかけたが、少女が膝をつくのを見て、その場で待った。


土を寄せ直し、石の下へ欠片を入れる。御者が再び確かめると、今度は揺れなかった。


少女は荷車と道の先を交互に見た。


「急に引かないで。前の車輪が乗ったところで、一度止めてほしい」


御者「ああ」

ポン太「止める声は、そっちから頼むぜ」


少女が頷く。


ポン太は車輪止めを外した。御者が手綱を取り、荷車をゆっくり前へ出す。


車輪の音が近づいてきた。


少女は石のそばへしゃがんでいたが、車輪が乗る前に手を離し、道の外へ退く。


最初の車輪が石へ乗った。


「止めて」


荷車が止まる。


縄でまとめられた木材が、少しだけ軋んだ。石の縁へ土が寄り、俺は下ろしかけた手を膝の上へ戻した。


少女が両側を見て、御者へ顔を向ける。


「そのまま進めて。向こうへ下りる時も、ゆっくりね」


車輪が回った。


石の上を越え、向こう側の轍へ下りる。続く車輪も同じ場所を通り、荷台が溝の向こうへ抜けた。


御者が息を吐いた。


ポン太「通ったな」


ノトスは荷車より、石を見ていた。


ノトス「残ってるぞ」


少女も石へ目を向けた。


「今はね」


立ち上がり、溝の両端を確かめる。


「明日も同じように通れるかは、まだ分からない。帰りにも使うなら、また見てからにして」


御者「ああ。覚えておくよ」


リィナが布を渡すと、少女は今度は受け取った。手についた土を拭き、水筒にも口をつける。


俺は肩の横へ視線を移した。


直也「ALMA、あそこで布を持ってる人、分かるか?」

ALMA『はい。対象を識別できます』


光が少女の方へ向いた。


直也「未確認反応は?」

ALMA『1件です。対象は反応の推定範囲内にいます』

直也「その人から出てるのか?」

ALMA『特定できません。位置精度が粗く、範囲内には荷車や人、石など、ほかの対象も含まれます』

直也「重なってるだけじゃ、決められないか」

ALMA『はい』


少女が水筒をリィナへ返した。


荷車の通ったところへ戻り、石の脇へしゃがむ。土を払う指先を、ゼピュロスが眺めていた。


直也「助かった。ありがとう」


少女は手を止め、こちらを見上げる。


「通れたなら、よかったよ」


直也「俺は直也。名前、聞いてもいいか?」


少女が立ち上がった。


「ウチは、エウロス」


ゼピュロスが、少女へ向き直った。


ボレアスの視線が土から上がる。ノトスは石へ伸ばしかけた手を止め、顔を上げた。


肩の横で、金白の光が小さく揺れる。


ALMA『記録しました』


◆◆◆(そこはまだ踏まないで)◆◆◆

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回更新予定:11月6日(金)になります。


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