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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U


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第11話(3)冷える保管庫と、まだ名乗らない気配 ―― 寂しさの清掃業務

◆◆◆


没収品保管庫の内側は、人工的な白亜の行政センターとは対照的に、削り出された岩肌が剥き出しになった巨大な地下空洞だった。天井は見上げるほどに高く、闇に溶けている。壁面には熱を強制的に奪い去るための黒いルーンがびっしりと刻まれており、それが呼吸に合わせたかのような不規則な周期で、鈍い黒光りを放っている。その光景は保管庫というよりは、何か巨大な魔獣の胃袋の中に迷い込んだかのような錯覚を俺に抱かせた。


直也「……おわっ!?おい、足、足が勝手にっ!」


一歩進むたびに、俺の身体を包む防寒外套が、関節の動きを強制的に補正しようとギチギチと音を立てる。岩肌の凹凸に合わせて柔軟に膝を曲げようとすると、外套の裏側に走る魔導の糸がピンと張り、俺の姿勢を正しい直立へと引き戻そうとするのだ。結果として俺は凍りついた床の上を、まるで壊れた自動人形のようなぎこちない動作で進む羽目になった。


直也「……くそっ、この服、俺の自由意志を完全に無視してやがる。リィナちゃん、転ぶなよ。ここは床が鏡みたいに凍ってる。一歩でも滑ったら、この服に背骨を矯正されて悲鳴を上げることになるぞ」


リィナ「は、はい……。でも、直也さん。お洋服が正しい重心移動を行いなさいって耳元でずっと囁いてくるので、なんだか自分の足が自分のものではないみたいです。……あぅ、今、左肩を五度上げなさいって叱られました」


リィナもまた、外套に操られるようにして、一歩一歩を確認するように慎重に進んでいた。彼女の持つ杖の先から漏れる微かな光が、通路の脇に積み上げられた没収品の山を照らし出す。そこには用途の分からない古い器や、文字が掠れた羊皮紙の束、さらには機能が停止した魔導具の残骸が、無機質な霜に覆われて積み上げられていた。この街の正しさから外れ、不純物として排除された情報の墓場。それがこの場所の正体だ。


直也「よし、まずはこの通路の霜取りからだ。……おい、ゼピュロス。お前も少しは風で手伝えよ。表面の霜を飛ばすくらいはできるだろ?」


俺の腰に帯びた鞘の中から、不機嫌そうな鋭い声が響いた。風を司る魔剣ゼピュロス。彼女は現在、投影体を解き、物理的な鉄の身として鞘に収まっている。その刀身は鞘の中にありながらも、周囲の空気を切り裂くような冷ややかな存在感を放っていた。


ゼピュロス「……やだよ。私をそんな掃除道具みたいに扱わないでくれる?っていうか、あっちの奥にある動かない風の塊が怖いの。あそこ、風が死んでるんだもん。私のマナを送っても、吸い込まれて消えちゃう気がする。……マスター、これ以上奥に行くなら、覚悟しなさいよ?」


ゼピュロスは鞘の中で微かに震えていた。意思を持つ魔剣である彼女にとって、この凍りついた静滞は、己の存在理由である循環を否定されるような屈辱であり、本能的な恐怖なのだろう。


直也「ったく、魔剣のくせに怖がりか。……リィナちゃん、とりあえず手前の棚から始めて……リィナちゃん?」


呼びかけに応じず、リィナは通路の脇に彫られた、ひときわ深い闇を湛えた小部屋のような保管棚の前で立ち尽くしていた。彼女の視線は、そこにある何も入っていないはずの空間をじっと見つめている。


リィナ「……直也さん。この場所、寒いというよりは……なんだか、すごく寂しいです」


直也「寂しい?そりゃ、こんな地下の墓場みたいな場所だ。賑やかなわけがないだろ」


リィナ「いいえ、そういう意味ではなくて……。この空気の中に、誰にも思い出してもらえない、忘れられた言葉たちがたくさん浮いている気がするんです。……ねぇ、直也さん。私の清掃で、この空気の中の寂しさだけを取り除くことはできないでしょうか?」


リィナは至極真面目な表情で、俺にそう相談してきた。彼女の手の中にある杖が、主人の感情に呼応するように、淡い、しかし温かな桃色の光を放ち始める。


直也「……リィナちゃん。それは清掃じゃなくて、精神の救済なんだよ。俺たちが頼まれているのは、物理的な霜取りと通路の整理だ。そんな抽象的なものを掃除しようとしたら、行政センターの奴らが不適切な業務として飛んでくるぞ」


リィナ「そうですか……。でも、このまま放っておくのは、なんだか胸が苦しくて……」


リィナは悲しげに目を伏せ、それでも俺の指示に従い、支給された真鍮のブラシを手に取った。彼女が床にブラシを滑らせると、パキパキという硬質な音と共に、厚い霜の層が剥がれていく。だが、驚いたことに彼女が一度ブラシを通した場所は、その後一瞬で再び薄い氷の膜に覆われていくのだった。


直也「……おい、なんだこれ。掃除したそばから凍りついていくじゃないか。ALMA、この部屋の環境はどうなってるんだ?」


ALMA『観測。室内の環境維持魔導は正常に稼働しています。……ただし、直也さん。現在の凍結現象は、物理的な温度低下によるものではありません。周辺にたまった残りものが形を持ち、この場の法則と噛み合わなくなっています。……現行の分類項目と整合しません』


直也「分からないから無かったことにするって、雑すぎるだろ。……つまり、いくら掃除しても無駄ってことか?」


ALMA『否定。根本の噛み合わなさ……すなわち奥にある黒い扉まわりの圧を解消しない限り、この末端の凍結は停止しません。直也さん、深部への移動を推奨します。……ただし、移動の際は外套の姿勢制御に余力を残してください。急激な動作は不適切な挙動と判定され、生命維持が危ぶまれます』


直也「……分かったよ。つまり、このカチカチの服の命令に従いながら、命がけで奥まで行けってことだな」


俺は重いブラシを担ぎ直し、さらなる冷気が吹き抜けてくる通路の奥へと視線を向けた。そこには、昨日は遠くに見えただけの、あの巨大で禍々しい黒い扉が、闇の中に静かに鎮座していた。


◆◆◆(寂しさの清掃業務)◆◆◆

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回更新予定:5月5日(火)


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