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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U


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第9話(3)親切な関所と、泥だらけの裏契約 ―― 親切の唱和(コーラス)

◆◆◆


内壁ゲートの影、泥濘ぬかるみのひどい路地裏へ足を踏み込んだ直後、背後から波のように重なる「親切な声」が追いかけてきた。


誘導員「お急ぎのところ、恐れ入ります。そちらは正しい順路ではございません。一度お戻りください」

巡回係「ご協力をお願いいたします。皆様の安全のため、確認が必要です。立ち止まって、笑顔を見せてください」


その声はどこまでも穏やかで、一分の乱れもない。だが、数十人の声が寸分違わぬタイミングで唱和されると、それは慈愛に満ちた祈りではなく、逃げ道を塞ぐ「親切の唱和」のように響いた。


直也「親切の声量で追い込むな! こっちは勝手に迷子になってるだけだ。構わず放っておいてくれよ!」


俺は背後を振り返らずに叫んだ。路地の奥へと逃げ込む俺たちの耳に、追い手の足音が規則正しく響く。彼らは走っているわけではない。あくまで「親切なご案内」にふさわしい、優雅で無駄のない歩調で距離を詰めてきている。それが逆に、逃げても逃げても剥がれない粘着質な恐怖を煽った。


ポン太「旦那、今はまだ入口じゃねぇ! あそこは正面の目にかかりやすい。裏の裏……この世界の『書き残し』の溜まり場まで走るぞ!」


ポン太の合図に従い、俺たちはさらに細い路地へと退避した。

足元はひどい泥水と生ゴミが散乱している。一歩踏み出すごとに、ベチャリと重い音が響き、俺たちの足跡が鮮明に土の上へ刻み込まれた。


リィナ「うぅ、足跡が……これじゃあ、すぐに居場所がバレちゃいます。直也さん、私にお任せを。えいっ、生活魔法『お掃除』――」


リィナが反射的に杖を振り上げようとしたその瞬間、彼女の手元で何かが弾けるような音がした。


ALMA『警告。対象「リィナ」による生活魔法行使に、私の管理下でのロックを適用しています。直也さん、申請が必要です。無秩序な最適化は、この領域の「理」に不必要な波風を立てる恐れがあります』


リィナ「えっ!? またですか!? わ、私、ただ足元を綺麗にしたいだけで……!」


直也「ALMA、今それ言うか! 申請だの承認だの言ってる間に捕まったら、お前の論理回路も『親切』に初期化されるぞ!」


俺は走りながら脳内のALMAに怒鳴り散らした。背後からは「ご案内を中断しないでください」「親切にお答えします」という声が、すぐそこまで迫っている。


直也「……分かった、申請だ! 目的は追跡の攪乱! 足跡の目立つ部分だけを薄くする。これなら文句ないだろ!」


ALMA『……論理的整合性を確認。目的、追跡回避。出力を最小限に絞り、結果のみを現実に定着させます。承認』


ALMAの冷徹な許可が下りた瞬間、リィナの杖が微かに青白く明滅した。

俺たちが踏み出した後の泥が、まるで最初から踏まれていなかったかのように一瞬で平らになり、匂いや温度までもが周囲に馴染んでいく。


リィナ「あ、できました! でも、なんだかすごく地味です……もっとピカピカにしたいのに」


直也「地味でいいんだよ、今はな! 行くぞ、こっちだ!」


俺は直感に従い、あえて太い通りへ戻る角を曲がらず、さらに視界の導線を断ち切るように二回連続で鋭角に曲がった。

正面へ戻れば「正解」という名の監獄が待っている。ならば、世界が用意したルートをすべて拒絶する。


誘導員「お客様、そちらは行き止まりではございませんが、推奨される道でもございません。正解の道は、常にあなたの背後にあります」


直也「追いかけ方に礼儀を求めてないって言ってるだろ! 世界まで誘導員になるな!」


俺が吐き捨てた言葉に応えるように、壁に貼られた案内板の内容が、俺たちの進行方向を指して「こちらへどうぞ(戻り道)」とリアルタイムで書き換わっていく。世界そのものが、俺たちを「正しさ」へと誘導しようと牙を剥いていた。


ゼピュロス「ねぇマスター、あいつら全然諦めないね! やっぱり私が風でバラバラにしちゃおうか?」


直也「倒すなと言っただろ! ……待て、風か。ゼピュロス、砂埃を舞わせろ。目隠しだけでいい。殺傷能力はゼロだ。できるか?」


ゼピュロス「えー、つまんないの。でもマスターの命令なら……えいっ!」


ゼピュロスが指を鳴らすと、路地のゴミや砂が一気に巻き上がり、不透明なカーテンとなって背後を遮った。


誘導員「視界が不鮮明ですが、親切な予測によりあなたの位置は把握できています。ご安心ください、私たちはあなたを見捨てません」


直也「見捨ててくれ! ……今の、中身はないけどチート感だけは出したな、ゼピュロス」


ゼピュロス「でしょ? 風の魔剣様を使いこなせて光栄に思いなよ!」


ドヤ顔を浮かべるゼピュロスを無視し、俺はポン太の背中を追った。

だが、そんなポン太の足取りが、急に迷うように左右に揺れた。


直也「おい、ポン太! どうした!」


ポン太「う、うるせぇ! 今必死なんだよ! あいつらの『正解圧』が強すぎて、裏道の綻びが塞がっちまって……あ、こっちだ! ……いや、あっちだ!」


ポン太が一度、完全に間違った袋小路の壁に指を差し、慌てて引っ込めた。


直也「おい! お前でもミスるのかよ!」


ポン太「俺っちだって神様じゃねぇ! この世界の『理』が書き換わってんだよ! ……あった、こっちだ、ついてきな!」


ポン太が自身の尻尾を激しく振りながら、土壁の僅かな亀裂へと滑り込んだ。

俺たちは必死の思いでその後に続いた。

突っ込んだ先は、これまでの路地とは全く異なる空気感の場所だった。


ぬるりとした感覚。

背後で、あの丁寧すぎる、心底気味の悪い「親切な声」が、プツリと糸が切れるように途絶えた。


直也「……はぁ、はぁ……勝った、というより、逃げ切った、か」


俺は膝に手をつき、荒い呼吸を整えた。

心臓が警鐘を鳴らすように激しく打ち付けている。


ゼピュロス「ほら、やっぱり正面行けばよかったのに。あっちならこんなに走らなくて済んだよ?」


直也「今のを見てよくそんなことが言えるな。……あの中に入ったら、お前のその自由な口も、システムの一部に組み込まれて消えてたぞ」


ALMA『報告。追跡者たちの生体反応、ロ……』


一瞬、ALMAの声が途切れた。


直也「……おい、ALMA。今、ロ……って言いかけたよな? ログ、って言おうとしただろ」


ALMA『……不適切な用語を検知。記録、と訂正します。追跡者たちの記録をロスト。ここは、システムの監視が届きにくい「保守用領域」と推測されます』


リィナ「ロ、ログ……? 直也さん、アルマさんは何を言いかけたんですか?」


直也「いや、気にするなリィナちゃん。こいつの、ちょっとした、アーキテクチャの癖みたいなものだ」


俺は苦笑いするリィナを促し、顔を上げた。

隠れ場所の先に広がっていたのは、内壁ゲートの「裏側の導線」だった。

剥き出しの配管、剥げた塗装、そして、表の美しさとは無縁の冷たい石の壁。

そこには、サービス通路や搬入口のような、機能性だけを追求した不格好な通路が伸びていた。


だが、その薄暗い通路の先にも。

「確認」「手続き」「ご案内」と書かれた、あの忌々しい親切の立て札が、待ち構えるように整然と並んでいるのが見えた。


◆◆◆(親切の唱和コーラス)ここまで◆◆◆

次回の更新日3月17日(火)

第9話(4)親切な関所と、泥だらけの裏契約 ―― 信用レベル1の対価

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