星のない夜空に願いをこめて
学園での仕事を終えたユキオ達。
最終日の夜も宿泊は学園でして次の日の朝に学園を出る事にして授業が終わった後は、学園長と客間にてユキオが今朝見た夢と訪ねてきた人物について話をした。
そして今は、夕食を取り就寝時刻を待つだけの自由な時間を過ごすだけなのでユキオは、学園のグラウンドに出て空を見上げていた。
と言っても本日の夜空には厚い雲が覆い、星や月と言ったモノは全く見えないでいる。
それでもユキオは、夜空を見上げ目を瞑ると静かに呼吸を整えていく。
それからどれくらい目を閉じていたか分からないが、ラーの呼ぶ声で再び目を開けて声のした方に顔を向けるとラーは不思議そうにこちらを見ていた。
「…邪魔……したか?」
声をかけた事を気にしているラーだが、何も無いところから木の椅子を出してきたユキオは「大丈夫」と言って椅子に腰を下ろす。
「座らないの?」
キョトンとしたままのラーは、その言葉にハッとしたように曖昧な返事を返して椅子に座った。
そんな明らかに挙動不審なラーの動きを見て静かな夜にユキオの笑い声が響き渡った。
「心配して損した気分だ」
盛大に笑っているユキオに皮肉で返すと笑い声が止まり「ごめんね」と返事が返ってるがまだ笑いが堪えきらない様子だ。
「因みにさっき空を見上げてたのはただのお祈りと言うか願掛けだから大丈夫、何も変な事や考えはしてないから安心してほしいかな」
そう言ってユキオは再び空を見上げ、ラーも一緒になって空を見上げ、そのまま疑問に思った事を口にしながら会話を続けていく。
「何でこんな夜と言うか、何も見えない時なんだ?」
「あの雲を壁に例えたからかな?
あの雲を越えた先は、壮大と言うか綺麗な景色が広がってるからね!俺の願いが叶ったらそんな感じなんだろうなーってね……」
「ユキオが手に入れたいモノの前には壁と言う名の苦難が立ち塞がるって事か……」
「そう言う事!だからあの雲を突き破るくらいの強い想いを込めて祈ってたんだ」
「でも、その壁を乗り越えるのには一人じゃ大変だろう?」
「だから、ラー兄ちゃんや皆の力も借りたいなーって思ってる」
そう言って明るく元気な笑顔を見せるユキオの顔を見るラーは、この瞬間、1000年の時を越えてもう一度心に誓った。
「お主が死ぬまで付き合ってやるとするか」
「うん!ありがとうね!」
この日、夜遅くまで楽しそうな二人の声が続いていたとか。




