手合わせ
「遠慮はするな、思い切りこい!」
「言われなくてもそのつもりで行くから大丈夫!」
屈伸など軽い運動をしながらやる気を見せるユキオの返事に戦うことが好きなラードの心は踊った。
ましてや久々の相手はかつて聖戦を戦いその後も一緒に共にしたあの男の子孫。
そっくりな見た目だけでなく、その小さな体からは想像できない程、強大な力をヒシヒシと感じている。
それでもまだ力を解放していないと言うのが恐ろしくもあり楽しみでもあるラードは、はやる気持ちを必死に押さえ込んでいる。
「あ、一応聞くけど?契約してくれるんだよね?」
「その辺は安心しろ!」
念のために確認を取るユキオにラードが承認すると、ラーと神龍もOKサインを出している。
「じゃあ、審判は私が!」
間近で二人の戦いを見たい青龍がジャッジを務めるらしく、手を上げるとラードは拳を少しだけ握りしめて構えを取った。
対するユキオは目を瞑ったまま呼吸を整えるだけで無防備に突っ立ったままの状態。
だが、対するラードは気を抜かず青龍の合図を待った。
合図が出されるまでほんの数秒ほどだが、空気が静まり返るばかりか温度が下がっていく感じがした。
「始めっ!!!」
合図と同時に動き出したのはユキオからで、ラードとの距離をあっという間に詰めて目の前に姿を表すが、元いた所には残像?と思われる姿がまだあった。
その速さはミカエルとサタンの二人が思う以上だった様で、不意を突かれた様な顔を見せるがラードは冷静に見極め拳を突き出した。
しかし、その体勢は体を後ろに倒しながら捻っていてとても当たりそうにもないように思えたが、確かにユキオを捉えていた。
正面でなく背後から攻撃を仕掛けようとしていたユキオに。
見事にフェイントを読んだラードだが、その顔は少し怒っているようで軽い舌打ちをしてガードされた手を引こうとした。
しかし、その判断は少し遅かったようで、逆に腕を引っ張られるとラードの巨体が宙を舞った。
これにはユウスケ達も驚いてしまい自分と体格が似ている玄武は特に驚いていて、大きく開いた口と目がその衝撃さを物語っていた。
しかも、腕を捻りながら投げ飛ばしていて、常人なら使い物にならない程のダメージを受けるが、丸太を思わせるラードの腕にはほんの少し痛みが走る程度ですんだ。
と言っても、まさか150cmほどの小さな体の相手に2m越える自分が投げられるとは思ってもいなく、痛みより驚きの気持ちが勝っていた。




