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39.爆発と聖女の父

美華が爆弾を落とした後は何事も無かったかのように美華の席も用意されて皆がまた席に落ち着いた。

着席してから随分と沈黙が続いた気がしたがこれはどうするのか。

私達親子の事はここにいるダーディナ様とマキスト様以外に知られていない話だったけれど口止めしてはいなかった。

それがこんなに大々的にお披露目する事になるとは思わなかったけど。


「それで聖女様、レイディア嬢がお母さんとはどういう事でしょうか。年齢も変わらないのに母親のように慕っているという話なのですか?」


口火を切ったのは王弟だ。


「聖女様の母親!?叔父上、この女がそんな尊い者になれると思っているのですか?冗談も程々にしてください。笑えないですよ」


「笑い事じゃなくて本当の事だから」


笑い飛ばす王太子に美華の冷たい言葉が刺さる。

この男は私の事に対して極端に反応し過ぎなのではないかと思う。

ここまでくると嫌われているというより変な執着を感じてしまうのは勘違いでは無い気がする。


「貴方がいつもバカにしているレイディアさんは前世で私のお母さんでした。聖女召喚なんかに巻き込まれなければ死ぬ事もなかったのにお母さんは被害者で貴方達は加害者なんだから」


「前世?本当ですかレイディア嬢」


「ええ、まぁ…はい」


「嘘を吐くな!純粋な聖女様を騙しているのは分かっているんだからな!」


誰かこいつを黙らせてくれないかな。

いちいち突っかかってきて本当にウザい。


「あんたこそ嘘言わないでよ!お母さんに何の恨みがあるわけ?そっちから婚約してきたのに都合が悪くなったらさよならってただの屑男だし、この世界に引っ張られる私を助けようとしてくれたんだよ!」


「助けたくて自分が死んだのなら本望でしょう?現に聖女様には傷一つ付いていないのですから。死にたくなければ助けようとしなければいい」


_____プチンッ

今まで我慢していた王太子の言葉はどうでも良かったから我慢出来たのだ。

”死にたくなかったら助けようとしなければいい”

この言葉に私の何かが切れてしまったようだ。


「おい、子供を産んだことも育てた事もない小僧が何言ってんだよ。助けなきゃいい?お前の周りは損得勘定の関係しかなくて可哀想だな。美華は私の全てで生きる理由で愛の結晶。それが意味の分からない穴に引き摺り込まれてたら助けようとするのが当たり前だ。あんたの周りにいる騎士はお給金を貰って命懸けで守っているからそんな感情に触れた事がないんだろうな。しかも王太子のあんたより陛下の方が最優先で守られるのは二番手。可哀想でどうしようもない」


「なっ!不敬な!」


「不敬っていう言葉の意味分かってる?敬う相手に対して使う言葉を敬えない奴が言うとか笑える」


「お…お母さん?」


「自分の命よりも大切なものすら無いあんたに私の気持ちなんか分かりはしない」


頭に血が上り、完全なる玲子が出てきている私の変わりように周りはドン引きだ。

それが分かっていながら止められなかった。

例えそれが不敬で罰を受けようとも、愛する娘を助けなければ良かったなどと言われたくはない。


「ヘライル、これは君の言い過ぎだ。これ以上は口を慎んでくれ」


まだまだ言い足りない私を止めようと王弟が王太子を嗜め、それを素直に聞いて王太子の口が閉じた。

もっと早くこの男の口を閉じさせてほしかった。

もうなんなら縫ってしまえばいいんじゃない?

そんな考えを巡らせていると足元から黒い煙が這い上がってきた。


「え?」


「あ!」


私の声に美華が反応を示し、浄化の祈りであっという間に納めてしまう。

本当に早い対応で頭の整理が付かないけれど、今、私から瘴気が出た。

しかも誰も慌てる様子を見せずに沈静化した。


「これは私とレイディアが繋がっている事で起こる現象だ。だからレイディアがここに居て私が魔力を吸い続けていれば瘴気は五百年と言わず、ずっと現れてしまうのだ」


「瘴気の…原因」


ここで王族三人の目の色が変わった。

邪魔物に向ける視線というのか、殺気立った鋭い視線。

私が死ねば丸く収まるという事に気付いてしまったのだろう。


「お母さんをそんな目で見るな!!」


美華の怒声と共に強風が吹き、王族達だけが椅子から飛ばされる。

室内でこんなに強い風がピンポイントで吹くなんておかしい。


「なんで…」


美華自身も私も驚き困惑していた。

王族達は怪我もなく自分達で立ち上がれるが美華に恐怖を感じている様子も伺える。


「こちらの血を引いているのなら当たり前だろうに。私は聖女の世界にまで力を使う事は難しいから魔力は吸っていない。故に暴発しても何の不思議は無いだろう」


不思議が有り過ぎるわ。


「それに夫婦喧嘩での殺しは見苦しいぞ。娘が怒るのも無理はない」


確かに視線で人が殺せるなら私はもう既に息絶えていただろうという殺気この三人から受けていた。

だが、その言葉にも誰もが困惑した顔。


「娘の前で殺し合いなど見るに耐えん。私はレイディアが生きてようが死んでいようがもうアリーと静かに余生を過ごす事を決めているのだからな」


自分の主張だけを通そうとするダーディナ様を説明を求めて誰もが見つめる。

夫婦

血を引いている

止めて言わないで。

困惑する皆とは違う視線をダーディナ様に向けるもダーディナ様の目はマキスト様に向かったままこちらを見ない。


「謝って許しを得た方がいいぞ、リョウイン。もう記憶も全部戻っているんだから話くらい聞いてやれレイディア。こうも滅茶苦茶では話が進まないではないか」


あんたのほうが滅茶苦茶で話が斜め上に飛んでいってる原因だよ。

何でこれが夫婦喧嘩になるのよ、頭が痛い。

でも美華を聖女として決めたダーディナ様が玲子の事を知っているのは当たり前で、そしてリョウインの事を知っているのも当たり前。


だって美華は玲子と()()()の娘なのだから。


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