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力点人間

「見つけたぞ!お前、昨晩はよくも代表や同士を!!仇をとらせてもらうぞ!!」


昼間でも光があまり届かず薄暗い路地裏で、声をあげたのは街の不良であった。

声をあげた男の眼前、そこには声をかけられて足を止めた細身の青年がいた。青年は何事かと振り向いて、


「あァ?何だァ?」


と、落ち着いた口調でそうこぼした。

およそ50人程の不良が青年を囲んでいる。先程青年に声をかけた男は頭に包帯を巻いており、うっすら血が滲んでいる。

それを見て、


「あァお前昨晩のチンピラかァ。で、あのバカ共の仇討ちをッてか。お前らもバカだよなァ。」


そう気だるげに言う青年に不良は腹が立ったらしく、およそ20人ほどが拳銃を構え、


「死んで後悔するなよ!!」


そう言って拳銃を一斉に発砲する。

しかし、青年は四方八方がら銃弾が飛んできているというのに、落ち着いた様子で、


「てめェら、真昼間から銃発砲とかどうかしてんじャねぇか?銃刀法違反ッてもん知ッてるか?」


と言い、両手を広げて突っ立っている。

素直に死を受け入れたのか?もしくは何か打開策があるから落ち着いているのか?しかし、なにもしてこない青年に不良たちは困惑する。

放たれた銃弾が青年を蜂の巣にせんと四方八方から青年の目の前にきた瞬間、


「ヒャハハハハハハ!!!!こんなもんでこれを殺せるとでも思ッたのかァ!?」


青年は目を見開き、口角をこれでもかというほど上げ、狂人めいた表情で嗤い、そう言った。

その刹那の間に青年が一体何をしたというのだろうか。銃弾は青年に当たる直前でみなコロコロと地面に落ちたのである。

その異様な光景に不良たちは呆気にとられている。この青年は一体何者なのか。この青年を纏うオーラはまさしく狂気そのもの。この青年の異様な力。今なお嗤い続けることができる余裕。

そんな青年に怖じ気付いた1人の不良が、


「──こんなやつに…勝てるわけねぇよ…。」


と言って逃げようとする。

しかし、そんな男を青年は見逃さなかった。青年は一瞬で男との間を詰めて、遂には男の前に立ちはだかる。

逃げたした男は恐怖からか足が動かない。


「てめェらが仕掛けてした喧嘩だろ!!なに逃げたしてんだ!!喧嘩を買ッてやッた俺に対して失礼だろうが!!殺すか殺されるかの二択だ!!それ以外の決着なんてねェんだよ!!」


青年は憤慨を表情に顕にして怒鳴り散らす。その言葉に逃げたした男だけでなく周りの不良たちも酷く怖じけている。

彼らの足は凍りついたかのように動かない。殺すか殺されるかの二択。その言葉を聞いてその場の誰もが言葉を失った。この青年ならば本当に殺すだろう。実際、昨晩の内に4人も同士を殺されている。

逃げだしたい気持ちを抑え抗わなければ。

しかし、そうは言っても体は言うことを聞かないもので、


「逃げるんだぁぁぁ!!!!」


約50人の不良たちが一斉に路地裏から逃げたした。それが不良たちの選択した結末みちなのだとそう理解した青年は、地面に転がり落ちている何十個もの銃弾を拾いそして一瞬でその場から消える。否、消えたのではない。彼らを追いかけて行ったのだ。先ほど同様、逃げる不良たちに一瞬で追いついた青年は拾った銃弾を不良目掛けて放り投げる。放たれた銃弾はライフルで撃たれたかのごとく高速で直進し、不良ターゲット穿うがつ。

そんなに中で、なんとか生き残った不良たちはたったの十数名。残された不良たちは街の外れにある港へと来ていた。

あの路地裏からはかなり距離がある。ここまで来れば大丈夫だろう。同士たちが殺されたのは残念だが、ここにいれば生き延びることができるだろう。そんなふうに安堵したその時、足音と共に声が聞こえた。


「まだ残ッていやがッたか。ちょこまかちょこまかと逃げやがッて。いちいちめんどくせェんだよ。もっと俺を楽しませろ。」


そこにはあの青年がいた。

なぜここが分かったのか。どうやってここまでたどり着いたのか。頭の中にいくらでも疑問が生まれるが、その答えにたどり着ける程の思考が働かない。この青年が異能を持っているのは今までの惨劇を見れば誰だって分かる。追跡する力を持っていてもおかしくない。不良たちが、仮の答えを導き出した時、耳を青年の声が刺激した。


「お前らも不幸だよなァ。もう全員殺ッたと思ッて活動拠点に帰ッてきただけなのに。その俺の活動拠点に逃げ込むなんてよォ。」


それが答えだった。

青年は追跡するような力なんて持っていない。ましてやもう喧嘩も終わったと、そう思っていたぐらいだった。ただただ彼らの選択で敵の活動拠点に逃げ込んでしまっただけだった。

しかし、もう逃げ場など何処にもない。使える武器なんて持っていない。助けを呼ぶ手段もない。不良が死を覚悟したその時だった。


「やっと見つけました。あなた、その人たちから離れなさい!」


「──あァ、誰だてめェ?」


「僕はケフェウス聖騎士団団員。アルケナ・エリダヌス!」


犬人族の亜人、ケフェウス聖騎士団の団員、アルケナ・エリダヌスがこの場に現れたのだ。

もちろん、不良たちはケフェウス聖騎士団なんてものを知るはずが無いためほうけているが、いまが逃げ出すチャンスだと見てさっさと逃げて行った。

青年は、そんな不良たちを追いかける素振りも見せず、ただアルケナの方を見て、


「聖騎士団様が俺になんの用だ?」


アルケナの目的、それは。

圧倒的な力を持ち、異様な能力を使い、その素早い速度で獲物を確実に捉える狂人。

昨夜の『路地裏殺人事件』を引き起こした犯人でもあるこの青年。


力点人間アクセル!あなたを捕まえに来ました!」





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