こんなところで死んでたまるか
「必ずやつを捕まえないと。」
アルケナは覚悟を決めた顔つきで走っていた。その標的を倒さないとアルケナは殺されてしまうから。
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【数日前】
「なんでしょうか?団長。」
ケフェウス聖騎士団団員の犬人族の亜人アルケナ・エリダヌスは聖騎士団の団長である聖龍軍の竜族である亜人ガザネル・ヘルリスに呼び出されていた。
団長ガザネルは酷く憤慨している様子で、大きな態度で豪華な椅子に腰掛けていた。
「なんでしょうかじゃねぇだろうが!貴様もなぜ呼び出されたのかわかっているはずだ!」
ガザネルは体の奥まで響くような太く、重い声でアルケナにそういった。
アルケナが呼びたされた理由。それは、本人もよくわかっている。
「単独行動の件。ですよね。」
「そうだ!お前の単独行動がどれほど周りの団員の迷惑になっていると思っているんだ!」
アルケナは、ケフェウス聖騎士団に所属しているのに、ケフェウス聖騎士団が嫌いだ。理由としては、みんなが個性を押し殺して、団長に自分の身を全て捧げているからだ。昔、アルケナの母が言っていた「個性を大切に」という言葉を忘れずに生きているアルケナにとって個性を押し殺すということが本当に嫌なのだ。
だから聖騎士団がパトロールする時もの集団行動をせずに単独行動をする。
しかし、アルケナはまだ弱いため結局は団員に助けてもらい、他の団員の足でまといになってしまうのだ。
そして、今回も同じような結果になり今に至る。
「こんな約立たずはこのケフェウス聖騎士団に必要ないからクビにしてもいいんだがな、お前がここ以外に居場所がないということも重々わかっている。そこで、お前に最後の任務を任せる。お前の好きな単独行動でな。」
ガザネルがアルケナに下した最後の任務。それは、
「傍観軍最強の亜人。アクセルを倒して、ここに連れてこい。もし、任務を成功させたのなら、お前の単独行動を認めてやろう。ただし、失敗したのなら、その時は副団長にお前を殺してもらう。」
ガザネルは椅子から立ち上がり太く、重い声で大きく笑いながら、部屋から出ていった。
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「僕の夢のためにも、こんな所で死んでたまるか!」
アルケナは奥歯をぐっと力いっぱい噛みながら港の方へ走っている。
傍観軍最強の亜人、アクセル。ここ数年で彗星のごとく現れ、瞬く間にその名前を亜人界に轟かせた。しかし、彼が使う属性魔法も有効魔法も、さらに彼が持つ特殊能力のこともなにも知られていない。
そんな強敵に不安を抱きながらも、彼女の強い意志は折れない。
なぜ、アルケナは港に向かっているのか。それは最近この人間界に降り立ったらしく、この街の港の方でよく見かけられるらしい。そのためもしかしたらと思い港に向かっているのだ。
「僕の能力を使えば、暗殺ぐらい容易いものなんだ。」
アルケナは自信を胸に抱き更に加速して走っていった。




