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召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第六部 冒険者 魔獣 チート能力

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♯94 戦闘訓練と修行と実験(地下探索) ―ばっ、馬鹿なぁ!―

ご無沙汰してます、私です。

更新が滞り申し訳ありません(;´・ω・)

次回更新もしばらく先になりそうです‥‥。

 重蔵とバレインの地下探索は、いつしか修行と呼ぶ方が相応しい様相へと変わっていた。

洞窟内部については比較的平穏で(大型・名前持ち(ネームド)・特殊個体等の)2人が危険にさらされる程の魔物は今のところ出現していない。


 バレインの戦闘スタイルは、片手剣と盾を使った戦士や騎士の類の物で、職業通りと言った所か。

ステータスについては獣神の加護が付いているので、かなり底上げされていて結構強い。

とは言え、あくまで人種の範疇に収まるレベルであり、連戦に次ぐ連戦が終わる頃には疲労の色が隠せないでいる。


 「ふーむ‥‥、次の群れが片付いたらお昼にしましょうか」

 「はぁ、はぁ、‥‥はいっ!」

地下洞窟の内部に、魔物の雄たけびとバレインの作り出す剣戟の音が響いた。






▼ログロの地下洞窟 十五階層






 バレインさんのステータスは、ヴォルパに増え始めた冒険者達と比べても遜色ないレベルだった。

ドワーフ達と比べると、攻撃力が若干低く、代わりに素早さが高かったりと、極めて平均的なモノだったと言える。


 そう【だった】だ。

事故防止の為に加護は外さなかったけれど、それこそ今ではベゲットよりも数段強くなっている。


 『そういえば、ベゲットにやったみたいに強制的に加護を外す事も出来るんなら‥‥』

今後の強化プランを練っている僕の近くで、バレインさんはスヤスヤと眠ったままだ。

ふと、彼女の寝顔から顔を六呂に向けると、六呂も僕を見ていたらしい。


 「のう、重蔵」

 「うん?」

 「そろそろでかいトカゲが出るらしいじゃないか、儂にも戦わせえ」

 「あー‥‥ね。そうだねー」

初めてこの洞窟に潜った(と言っても物の数時間で外に飛び出した、あの探索)時にゴーザさんから聞いた、中階層と低階層を隔てる大きな封印門が有ったのだ。


 とても単純な構造の魔動輪だったけれど、だからこそ強力で、且つ修復も容易に作られていたのが印象的だった。


 当然、確りと[解析(アナライズ)]によって詳しく調べさせて貰った。

どうやら何百年も前に仕掛けられた魔法らしい。

恐らく、この洞窟が出来たのと同じくらいの年月が経っている筈だ。


 『ん?となるとこの地域には何百年も前から人の手が入っていたっていう事か‥‥?なら‥‥』

 「重蔵!聞いておるか?」

 「おっと、ゴメン、ちょっと思考がアッチ行ってた」

 「確りせぇよ、全く‥‥」

 「ゴメンて、取り敢えず一体目は六呂に譲るけど、それ以降はローテーションでお願いね」

仕方ないのうとか言いながら、尻尾をパタンパタンとさせて嬉しそうだ。

どうしてこう、ウチの子は好戦的なんだろうか‥‥。


 「‥‥‥‥のう、重蔵」

此方をじっと、何か言いたげに見つめていた六呂に呼びかけられ、意識を向けなおす。

 「どした?」

 「次は魔物の死骸を使って、顕体を作ってみんか?式神だけじゃなく召喚についても実験するんじゃろ?」

確かに、その積りだ。続く六呂の言葉にも納得する。

 「出来る時にやっておかんとな、あっという間に最下層じゃ」

前半だけだけど‥‥。


 くつくつと笑う六呂に曖昧に返事をして、朝食の準備を終わらせた僕は、バレインさんを起こさないように眠りについた。



 開けて翌日。

身だしなみを整えて朝食を済ませた僕らは、再び行軍を開始。

今日はバレインさんには前衛を、六呂にはバレインさんのバックアップを頼んで、僕は後衛として補助メインで進んでいく。


 昨日の訓練は、地力を上げる為に経験値を取得して貰う為、バレインさんには兎に角ひとりで魔物と戦って貰っていたんだけど、今回は覆数名での戦闘に慣れて貰う事も視野に入れて、連携の訓練も併せてこなして貰う。


 「小娘!右後ろからスライム1!早うソレを片付けよ!」

 「っ!ハイ!!」

 「防御補助しまーす」


 「何度も言わせるな!上下にも気を配れ!正面切って戦って貰えるだなどと甘えるなよ!!」

 「す、済みません!!」

 「あい、回復しまーす」


 「あ、まずい、重蔵頼む」

 「結界だしまーす」

と、2人と一体で暴れまわりながら地下へと進んでいく。

進むたびに広がっていく空間に辟易しながら足を進めていると、岩陰から巨体が躍り出てきた。


 「ついに出たか、地下大トカゲ(エルグ・デナ・アゲラ)‥‥!」

 「ヒュージ・ロック・リザード‥‥!」

 「ふむ、‥‥なんか脆そうじゃな」

それぞれ思い思いの反応をしながら、戦闘が始まる。



 大型の魔物が出た場合、種族的な地力の差からステータスには大きな差が出ると予想していたけれど、結構致命的な感じは無いかな‥‥。


 バレインさんのステータスが、加護を含めて1000~1600程度。

岩トカゲは、攻撃力と素早さが1300程度で、防御と耐久力は3000近い。


 うーん‥‥。以前戦った個体よりも大きいし、成長して強くなったヤツなんだろうか‥‥。

こんな事なら前回のトカゲ達もちゃんと調べておけば良かった。


 さて、ステータス的にはそこまで危ない印象は無い様に錯覚してしまいそうだけど、体の構造等を考えるならこの戦いはバレインさんにとって結構不利だ。


 相手はこの地下洞窟での生活を基盤に他の魔物を食べる様な、恐らく捕食者と見える。

即ち、ことここ(地下洞窟)での戦闘行動に関しては地の利が違いすぎるのだ。

しかも、肉食獣として完成された体構造VSちょっと強い霊長類。なのだから。


 と言っても、バレインさんには勿論戦って貰う。不利で有ろうと、不可能では無い以上しっかりと戦って貰わないとね。

そうだ、この際だから僕側の実験も一緒に済まさせて貰おうかな!






■■■





 戦闘が始まる直前こそ涙目でお姉様なんて言っていたバレインさんだけど、戦闘が始まってからはなかなかどうして、悪くない動きをしている。


 床・壁を(流石に天井には張り付けないらしい)関係無く走破する岩トカゲを相手に、ジワリジワリと戦局を優位にしていっているのだ。

僕からの「大柄な割にそこそこ素早く、守りは堅牢だが素早さで押し込めなくは無い」と言った、酷く簡略なアドバイスを活かしてくれているようでなによりだ。

‥‥前回は不意打ちイカサマなんでも有りで戦ったのだから、指示が大雑把なのには目を瞑って頂きたい‥‥。


 と、冗談はさておき、六呂と上手く連携して岩トカゲを追い詰めて行くバレインさんに、若干の焦りが見えた。

ステータスを調べるも特に問題は無さそうに見えるんだけど、何か有ったんだろうか?


 そんな事を考えながら魔法を飛ばしつつ戦局を見守って数分が経過した頃、岩トカゲのHPも残り五分(ごぶ)程度と言った所で、バレインさんの動きが急に止まった。


 「な!?‥‥くそっ!!」

悪態を吐く六呂の動きはそれでも素早く、容易にバレインさんの襟首を咥えてジグザグに走り抜ける。


 僕は2人から岩トカゲに、そっと視線を戻してとどめを刺しておいた。

トイレに行きたいなら、そう言ってくれれば良かったのに。


 バレインさんの名誉の為に言っておくけれど、別に※※※※(ばしゃーん)訳では無い。

股座を抑えて体を丸めたまま、六呂に運ばれていっただけだ。


 で、残された僕は、岩トカゲの攻撃をスイスイ避けながら、折角なのでストックしておいた魔物の死骸を空間から放り出し、そのまま[物質創造]で式神の依代になる顕体を作る。


 どれだけ捕食者として完成された野生動物であろうと、今の僕は暫定で人種世界一位。

ステータスの数値だけなら、女神の使徒を除けば僕より上は居ないのだ。

今までに見て来た人達と比べてだけどな!

あれ?結構ガバガバだな、そう考えると‥‥。


 と、そんな益体も無い事を考えながら、出来あがった顕体三つに式神を降ろす。


 「【落紫(らくし)、刀鴉(とうあ)】、【刻茶破軍(こくさはぐん)、太郎丸(たろうまる)】、あさ、間違った、白尾紅口(はくびこうこう)、白華(びゃっか)」


 真白な光が地下空間を遍く照らし、紛い物の命を宿した式神が顕現した。



‥‥一体だけ。


 「にゃー」

白華だけかー。


 刀鴉と太郎丸は呼び出せなかったらしく、顕体だけが無様に転がっている。

殆ど肉の塊みたいな状態だし、回収しておこう。

何が原因かは取り敢えずこの戦いが終わってから検証するとして、取り敢えずは暗順応を終わらせたトカゲに、白華をぶつける。


 「よぅし、気を取り直して、白華。紅刃(こうじん)、天邪鬼(あまのじゃく)」

 「フシャァァアアアア!!!!!!」

血に塗れた様に真赤な牙と爪が、岩トカゲの巨体に吸い込まれた。

一撃でバラバラな肉塊に変わっていく爬虫類を眺めながら、やっぱりウチの子たちは強いなぁ。と、どこか他人事な感じで、呆気無く終わってしまった戦闘跡を、一人静かに見つめるのだった。


 終わっちゃったよ、あっという間に‥‥。







■■■





 程なくして戻って来た六呂とバレインさんの前に、子猫と成猫の間くらいの白猫を案内する。

 「申し訳有りません、ミシロさ‥‥っ!?お姉様、こ、この生き物は‥‥?」

 「ほう、やはり出たか」

 「やはりって何さ」

あと、バレインさん、ちょいちょいお姉様って出るのなんとかして下さい。


 「いや何、顕体の元によって、可否が決まるのではないかとな」

 「あー、成程‥‥。ん?でも刀鴉と太郎丸は出て来れなかったみたいなんだけど」

 「この!白くて愛らしい生き物は!?お姉様!」

興奮してんなよただの猫だろうが煩いな。ん?

 「興奮してんなよただの猫だろうが煩いな。ん?」

 「はうっ、申し訳有りません!」

 「重蔵、心の声ダダ漏れじゃったぞ」

 「にゃーん」

カオス!

じゃなくて。


 「バレインさん、猫、見た事無いんですか?」

 「ねこ‥‥でありますか?初めて見るで有ります」

 「ほぉん‥‥」

そういえばこの世界では、動物としても魔物としても猫科の生物を見た事が無い様な‥‥。

犬科は普通に居たし、今のところ見た事が無いだけか、それとも存在しないのか‥‥。


 「な、撫でても大丈夫でありましょうか‥‥?」

 「フシャー」

 「くかかっ、嫌われとるな」

 「うぅ‥‥」

賑やかな事で‥‥。


うーん、何か謎がドンドン増えて行くのは良いんだけど、少しずつでも解けて行って欲しいなぁ‥‥。

気になって仕方ない。


 「ところで、お前らここで何しとんの?」

 「うん?地下探索ですよ、ギルドからの依頼で」

 「うむ、今更何を‥‥」

 「おぉ、そかそか、ほなら悪いけど、止めたって貰えるかな?此処て結構大切な場所なんよ」

 「っ!?お姉様!!」

 「何だお前!?何時の間に!!」

 「ばっ、馬鹿なぁ!!儂らが気づかんじゃと!?」

 「それもう、ほぼほぼ乗りツッコミやないかーい」

 「にゃーん」

改めてカオス!

この流れって、多分アレだよなぁ‥‥。

頭が痛くなる予感しかしない。面倒な事になってしまった‥‥。

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