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召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第六部 冒険者 魔獣 チート能力

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♯89 冒険 ―或る意味大冒険―

プロデュー○ーさん!新年ですよ!新年!!

昨年は更新頻度がガックリ落ち込んだりもしましたが、読んで下さって本当に有難うございました!

皆様の感想、ブクマ、評価等の反応が有ったお陰で何とか続けていられるポンコツでございますが、今年もよろしければお付き合い頂けると幸いです!

 「それじゃ、また来るねー」

 「うん、気を付けてねー、重蔵」


 レクスの地下庭園。

今は既に地下邸宅と言った風情の研究所に顔を出して、[感染]調査の進捗を聞きに来ていた。


 19歳の人種、アーミスさんとレクスが色々と調べてくれていたんだけれど、それこそ方々出歩いていた僕なのだ。

正直『何しに来たの?』と冷たくあしらわれる事を覚悟していた。


 うちの子(レクス)がそんな塩対応をするとか、ショックで寝込むのでノーサンキューだけど。


 勿論、そんな事も無く

 「わー、おかえりなさーい」

と温かく迎えてくれたので内心すごくほっとしたものだ。


 そういえば、間延びした口調はそのままだけれど、レクスとの会話が、もう完全に魔法から物理に変わっていた。

その上、以前よりもしっかりとした発音?発声?で、舌足らずな感じが無くなっている。

少し寂しいと感じてしまうのは親心なんだろうか‥‥。


 「あら、ジュウゾウ様、いらしてたのね」

 「っと、アーミスさん、ご無沙汰して‥‥様?」

彼女から名前に様付けで呼ばれた記憶なんて無いんだけど、何か有ったんだろうか。


 「村の人たちの中では、アナタって結構崇拝されてるのよ?」

意味有り気にふふっと小さく笑ってからトンでも無い事を言ってくれる。

あの事件から随分と息苦しい事になっていて、寧ろ助けてもらったのは此方の方だと言うのに、難しい事になっている印象だ‥‥。


 「そうだわ、それよりも研究成果を見て貰おうかしら」

 「重蔵、レクスも頑張ったよー」

 「‥‥おぁ、あ、うん、お願いシマス‥‥」


 面倒な事にならないと良いなー。とか思いながら、色々と結果を聞いてから、冒頭部分に戻る形になる。






▼ヴォルパ村 中央通り







 バーンさんやラータさん、ポーテさんにガーバさん、と、兎に角久し振りという事もあって、数日は懐かしい顔と旧交を温めた。


 ガーバさんは、工房を子弟達に明け渡し、現在は僕の装備を専門的に研究・開発・改良してくれている。

 折角なので、創造系のスキルと魔法について話してみたところ、滅茶苦茶羨ましがられたので、試しにガーバさんにも使える様に成って貰った。


 「な、なんじゃいこりゃあああ!!!」

と、滅法驚いて目を剥いていたものだけど、ガーバさんなら直ぐに使いこなせるだろう。

やっぱり機械技術や素材の特性諸々となると、僕では本職に遠く及ばない。

ついでに魔法付与(エンチャント)も出来る様に成って貰ったので、お任せしてしまおう。


 まぁ、地球上の伝説的な武器・防具のチート性能を再現しようとしても魔力とかが足りないだろうし、そこまでの危険は無いだろう。

今までだってかなり際どい(というかキワモノ系の)装備を作っていたのだから、大して変わらないハズだ。


 「あ、そうだ。ガーバさん、これを見て貰いたいんですけど‥‥」


 なんだかんだで僕も物作りが好きだったりする。


結局半日以上、ガーバさんと話し込んでしまった。






■■■





 ノノリアさんとアルルアさんは、ポーテさんの下で姉妹揃って商人として修行中だった。

何となく出来るかなー。と思って魔法をゴネゴネしていたら[覆理魔導]に新しく[回帰(リグレッション)]が増えて、懸案事項の一つだった、奴隷化が解除出来た。


 いきなり魔法をかけられて目を白黒させていた二人だったが、状況を理解して更にに混乱していた。

それもそうか。元々難しいって話だったし、新しい生活に慣れ出した時に不意打ちを食らえば、混乱するも致し方無し、だ。


 公爵の屋敷に帰るのなら手伝うけれど、先ずは身の振り方を考えて貰う事にしよう。

ポーテさんには悪い事をしてしまったかと思ったけれど、泣きながら二人を祝福していた。

身の上は当然知っていたのだが、ここまで親身に思っていたとは、若干意外だった。

と言ったら殴られた。


 で、だ。


 二人の状態を戻せたと言う事は、この村に居る人々の中で、奴隷落ちしている人達、病気の人々、けが人などなど、大勢が僕の下へやってくる事になってしまった。


 いや、勿論迷惑に感じている訳じゃないし、僕が皆の力になれるのは嬉しいんだけど‥‥。

問題は魔法やスキルを使用したり、付与した人達全てに[獣神の加護]が発動してしまった事だ。


 今の僕のメインジョブというか、ステータスの職業欄の一番頭に有るのは獣王なんだけど、何故か加護は獣神だ。

効果は全体的な能力値の上昇と、それぞれの職業に対して効果が有ると思しきスキルや魔法の付与と効果上昇。

例えば、ラータさんなら職業が司祭で、回復魔法の効果上昇だったり、奴隷だけが消えて商人に変わったノノリアさんとアルルアさんなら、計算術の補正や接客能力が向上したりと、何と言うか大変な事になってしまった。


 別に悪い事をした積りは無いし、マイナス補正は見当たらなかったから良しとしよう‥‥。

というか、これ以上考えていても仕方ない上、別に全員が自力でステータスを確認できる訳じゃない。

今後何かあれば、その時に考える事にしよう。

ヤケクソの後回しと言われればそれまでだけど、面倒事は取り敢えず放置だ!






■■■




 重蔵が色々とやらかしている間にも当然時間は流れて行く。


 バル達【ジークフリート】からの情報提供から1週間程過ぎた頃、電気・上下水道・ガスや、物流関係、道路や住宅を含めた生活インフラのほぼすべてが整ってきているヴォルパ村に、ゴウ・パサーツからの使節団が遣って来たのだった。


 使節団代表、バレイン・ストーツが、ゴウ・パサーツ女王、リアレ・フォラレ・クオーレア一世からの謝罪文を読み上げ、次いでこの地、ヴォルパ村を、未開の村から独立商業都市:ヴォルパへの移行を認めるという事、そしてそれに伴う周辺諸国との会談は既に完了しており、大陸を超えての越権・侵犯行為には当たらないという部分までを聞いて、ヴォルパ村の面々は大きく息を吐いた。


 女王陛下からの書状の内容についてではない。

読み上げが終了するまでの間、無表情で押し黙っていた重蔵が、村の運営に携わる面々に


 「何と言うか、実感はわかないですけど、嬉しいもんですね」

と苦笑しながら零したからだ。


 村の長であるバーンを筆頭に殆どの人員が、バレインがこの場に、しかも使節団の代表として送り込まれてくるなど夢にも思っていなかったので『女王陛下がご乱心召された!』などと頭の中で叫んだ程だ。


 村の存亡に関わる大事件の主犯格を再び使節団の一人として送り出すなど、正気の沙汰とは思えない。

というか、相手の気持ちを考える。という点においては、最悪手とも言える。


 では、何故この様な事態になったのかと言うと、重蔵が【ジークフリート】、というか、バルとアーサーの二人に女王への伝言を願い出たからだ。


 「独立とかってなると、対外政策的な部分も必要になると思うんだ。だから、村長の補佐と護衛が出来る人材の派遣もお願いしたいんだけど、大丈夫かな?」

と。

 なんだったら、「優秀だったら、危険思想家とかじゃ無い限りどんな人でも良いから」とも付け加えた物だから、重蔵の責任と言えなくもない。


 出迎えに出た村の面々に案内されて、集会所で顔を見合わせた瞬間、重蔵は何となく理解して酷く後悔した物だった。


 ステータスを見る限り、確かに問題は無いだろう能力値に職業[補佐官]と各種スキル。

文句の付け様も無い人材なだけに複雑な顔。

ステータスは見えないけれど、周囲のドワーフ達も、複雑な顔をしていた。







▼ソベルオ大陸 ゴウ・パサーツ王国領近郊 ガーグランの森 ハイオークの集落





 鳴り響く怒号と、巻き上げられる土煙。


 【ジークフリート】の5名の内、戦闘に参加しているのはアーサー、バル、ネイアの3名だ。


 ロルドとテヘラフェルトは、後方支援とは名ばかりの高みの見物である。

正確に言うならば、今にも戦場に吶喊せんとするロルドを、テヘラフェルトが抑えている形になっているのだが‥‥。


 「ブォオオオオオオオ!!!!」

 「バル!任せる!」

 「顕現せよ!闇なる棘!打ち据え切り裂け、[黒茨(ソーンジャベリン)]!!」


 殆ど危なげなく、ハイオークの戦士達が死肉へと変わっていく。

ネイアの魔法による補助、アーサーの剣技、そして、バルが再び手に入れた魔法。


 以前使っていた魔法とは若干違うのだが、話を聞いたジュウゾウが魔法の名前を以前の物と同じくしてくれた結果、使い勝手は変わらず‥‥というか、威力が向上しているので寧ろ良くなっている様に見える。


 実は3人での戦闘は初めてでは無い。

もともとテヘラフェルト、ロルドの2名は、バルの再出発を少し手助けする。という名目で同行していたのだ。

再修行の結果、バルは戦えるようになり、何の因果か原因となった魔法の消失すら今では無かった事になったと言っても過言では無い以上、高位冒険者2人がいつまでも戦列に加わっていては、いざ解散となった場合、大変な事になってしまう。


 殊、戦闘に於いてのテヘラフェルトとロルドは、常軌を逸した存在になるのだ。

対人型との戦闘で、テヘラフェルトの右に出る者はそうそう居ないだろうし、一撃一撃の威力が超然たるロルドに並ぶ者も、先ず存在しないのだから。


 注釈として、彼の赤い毛並みの獣人は例外となるのだが‥‥。


 「出たぞ!ハイオークの王(ハイオーク・キング)だ!」

 「どれ、俺も出よう」

 「あ、ズルい!ボクも戦いたい!」

 「ちょっ、2人が戦ったらすぐ終わっちゃうじゃないですか!!」


 ハイオーク・キング。

危険度は率いる配下の数に依って大きく変わるが、単体でも英雄(オウラ)級二名以上推奨の魔物である。

オーク族の上位、ハイオークの中でも突出したステータスを持つ者が、長い年月を経て進化する。

魔物の中でもかなりの脅威とされる存在である。


 【ジークフリート】は現状、そんな魔物すら片手間で倒せる程の実力者がいるのだから、雰囲気が緩くなるのも仕方ない。


 結局、三時間を待たずにハイオークの群れを殲滅した【ジークフリート】は、ゴウ・パサーツの冒険者ギルドへ向けて、帰路につくのだった。





改めまして、本年もよろしくお願い致します。

あ、重蔵君は暫く迷走すると思いますが、最終的にはまた以前の調子に戻る予定ですので、暫くお待ち下さい(笑)

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