↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第五部 召喚師 式術師 冒険者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/106

♯75 旅の途中 ―思ったよりも村が発展してた

ご無沙汰してます!

再びゆっくりとですが投稿を再開させていただきますので、お付き合いいただければ幸いです。

 「話はわかったわ、ただ、私もその地下庭園?に住ませてもらえるなら嬉しいんだけど‥‥」

以前、王都で研究者として働いていたという19才の人種、アーミスさんが「どうかしら?」と首をかしげてこちらを見ている。


いくら事情が有り、かつ身の安全が有る程度は保障されているとは言っても、やはり成人してもいない、ましてや戦いに身を置いていた訳でも無い子供たちだけを地下に放り込むのは気が引けるのだろう。

僕としても頻繁に転移して様子を見るとか世話をするとなると手前勝手な言い分では有るけれど少し辛い部分も有ったので、アーミスさんの言葉は渡りに船といった所だ。


朝食の後に始まった話し合いは思ったよりも早く結論が出て、今はまだお昼前。


これから結界で村に転移して受け入れのお願いをしても、今日中に全員を移送することができそうだ。


レクスとはすでに何度か地下庭園に人が住める建物を作りたいという話をしていた。

というか、寂しがり屋なレクスに「村からのお客さんが宿泊できる所を作ってほしい」と言われていたのに、なかなかそっちに手が回らなったんだけど‥‥。


折角の機会だし、村の皆に協力をお願いしてみよう。

まぁ、状況次第では自分たちでやるしかないけど、その時はその時だ。

村からのお客さんではないけれど、それでも誰かが居る状況なら寂しくは無いと思う。

もしダメだったら地下洞窟の拠点小屋を改装して使わせてもらえるように聞いてみないとかな?



 こうして淡い期待を胸に僕とノノリアさん、それからアーミスさんの三人で今からヴォルパ村へ出発する。

結界転移の限界人数は、僕を含めて三人(村を出発する前に実験済)なので、さっさと受け入れ要請を済ませて移送を開始しないとだ。





▼ヴォルパ村 集会所




 「問題ないぞ」


重蔵が村の運営に関わるドワーフたちに説明を終えた時点で、考える素振りもないままに村長のバーンが一言、承諾を告げた。


「‥‥は?え?‥‥良いんですか?」

「当然だ、困っている人がいるなら助ける。これはあの事件から出来た村の方針だ」


バーンに続いて、現在は村の鍛冶師たちを纏め、工房の長を務めるガーバもそれに続く。

この村で暮らす人々が遭遇したあの事件は、つまりそれだけの衝撃を与えたのだ。


たとえ同族であろうと、状況次第で被害を齎す。

ならば人種を超えて助け合う形を取り自衛力を高める事こそ、規模を増し始めたこの村に必要であると判断したのだろう。


皆の顔を見て、受け入れについては問題が無いと判断した重蔵に、村の司祭であるラータから提案が上がった。

「事情が事情だ、暫くは儂が面倒をみよう。回復して自分の故郷に帰りたいと言う者が出る、その時までな」


笑顔を向けるラータや皆に頭を下げて、三名は行動を開始する。

廃砦に残してきた皆を移送して、生活できる状態を作らなければならない。


アーミスは集会所に残って詳しい打ち合わせを。

ノノリアは皆がそれぞれ働ける仕事を探しに集会所の裏手に新設された仕事の紹介所へ。

重蔵は一度レーネの家に挨拶をしてから再び廃砦に戻って、移送を開始した。



数時間が経ち夜に差し掛かる頃、問題なく全員が村での顔合わせを終える事が出来、重蔵は胸をなでおろすのだった。





■■■




 久しぶりに帰ってきた!って感じで、僕は今レーネさんと晩御飯を食べている。


最近は村の近く、森の開けた場所でちょっとした農耕と牧畜を行っていて、自給自足にはまだ遠いけれど狩猟に出る頻度が減って、他所との貿易による食糧の輸入で村の人たちの食を賄っているらしい。


いつの間にか組織的になっていた、ガーバさん率いる職人集団の制作物の輸出等で村の財政は結構潤っているらしい。


つい一月半程度離れていただけなのに、人数や敷地面積もずいぶん大きくなった。

忍び込んだ侯爵領とまでは流石にいかないけれど、このまま発展を進めていけば近いうちに町と呼べるほどに成長していくハズだ。


「でねー、私は織物やってるの」

コロコロ笑うレーネさんが本当にうれしそうで、こっちまで笑顔になってしまう。

以前聞いた、村に開設予定の冒険者ギルドのヴォルパ支部は現在建設中らしく、今はまだ本格的に冒険者が村を訪れる事はないみたいだけど、それでも今までより活気に溢れている村の皆は、楽しそうに暮らしているようで本当に何よりだ。


ギルド建設予定地の近くにレーネさんが通っている紡績所があるらしい。

近くにはポーテさんが新しく作った商会が有り、以前からヴォルパに来ていた商隊との交易も引き受けてくれているらしく、今では村の商人を牽引する大店になっているとか、なんとか。


「こないだなんて、新しく来た人に結婚してって言われてたー」

おぉう、ポーテさんも結構かわいらしい人だからね、その上村一番の商人だっていうなら、それも仕方ない話だ。

『ま、レーネさんのが可愛いけどね!』


でねーとか、それからーとか、少しの間しか離れていなかったのに、レーネさんの口から絶えることなく零れる音色に耳を傾け、心身共に癒されながら一晩を過ごした。


なんというか、殺伐としていた数日は精神的に結構キツかったらしい。

これなら冒険の再開は数日後にしても良いかなー。


うん、そうしよう。少しリフレッシュして、それから旅を再開だ。


二人並んで寝転がりながら、まどろみながらもまだ話し足りないとばかりに言葉を紡ぐレーネさんに伝えた滞在延長はすごく喜んでもらえた。


寝ぼけ眼なのに満面の笑みという器用な天使の微笑みに、改めて癒される僕。

明日からはスローライフに生きるぞー。





■■■




 結局二週間ほど村で生活した僕は、レクスの地下庭園に感染状態の子たちとアーミスさんが生活できる様にコンクリートモドキ(以前洞窟で見つけた石灰質の脆い岩が原材料)の建物を建設し、その間レクスとも色々話をしながら設備を充実させていった。


あの時は結構驚かされたけれど、こうして役に立つとは嬉しい誤算と言える。


発見後、武器防具の製造と合わせて、まだ人数が増える前の忙しかった時にガーバさん達にお願いして加工して貰っていた。


高温による焼成という加工方法には、鍛冶作業に使う炉が必要だったのだ。

温度調整に苦心してくれた事も、改めて感謝、感謝。


まぁ、解説なんかは置いといて、つまり今現在、鉄筋コンクリートで作られた建物がヴォルパ村に存在するという事が重要で、これからは少しずつ輸出していけるようにしていく予定だ。

すでにポーテさん含め商人達からは納品の依頼も来ているくらいだし、結構良い収入源になるんじゃないだろうか‥‥。


そういえば村の外壁なんかもセメントに魔力と砂利や諸々を混ぜて強固に仕上がったのを確認したし、そのうち要塞のような村になるんじゃないかと期待してたりする。


浪漫建築って良いよね!



話を戻して地下施設の諸々。

上下水道の敷設はオッケー、ガスと電気は魔力を込めた宝石(魔宝石というらしい)に命令を出すと実行してくれる装置を、旅立つ前のレイク、ガーバさん達と一緒に考えて試作した物が有り改良も進んでいたし、ここで暮らす事になっても皆が不便に感じ無くて済むと思う。


助けてもらってばかりで、少し気が引けたけれど、受けた恩はしっかり返すつもりで地球で便利だと思った知識をフル活用している。

技術が進歩すれば暮らしは楽になるハズだし、やりすぎない範囲で小出しにしていく積りだ。




 こうして、作業の合間にレクスや村の皆から差し入れを貰ったりなんだりしながら、ドワーフの職人達と一緒に作り上げた建物が完成した時は感無量だった。



90坪くらい(約300㎡)の鉄筋コンクリート造の二階建てで、電気・ガス・水道有り、部屋数8でお風呂とトイレは別。

日の光という恩恵を洗濯物を干すという目的の為に利用するべく、屋上に続く階段がついた一軒家だ。


庭というには広い、地下庭園はほぼそのままになっているので、レクスも喜んでいたのが印象的だった。


ちなみに基礎部分(家の土台みたいな物)は、地下階層の調査結果が空洞と空洞の間、しっかりと詰まった岩と出たので、そのまま深くまで杭を打ち込んでしっかりと固定できた。


建築知識なんてあまり無かったけれど、皆で試行錯誤しながら満足のいく成果が得られたのも、やっぱり嬉しいね。



地上の建物も、可能な限り改装、改築を進めていこうと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。