♯64 旅の途中 ―ステータス
レイクこと、東の勇者アーサーと別れて数日、僕と六呂は街道を歩いていた。
地図を確認する限り、恐らくあと1日も歩けばセルバ王国領の最南端、フォロール公爵領に到着する。
レーネさんの再生(?)に際してレベルと能力値がゴッソリ減ったけれど、道中で襲いかかってきた魔物と戦い続けていたら、旅立って一月、アーサーと別れる頃には、もとのレベルの半分まで盛り返して何故か能力値は阿呆程上がって以前の数値を軽々と超えていた。
そんな今のステータスがこちら↓
種族:人種 獣人 虎人(特異個体、変異種)
名前:ジュウゾウ ミシロ (三代 重蔵) Lv, 5
職業:[獣王 50] (式術師 190、武芸者 180、創造者 173、召喚師 20、????)
HP 9803/9803 MP ―/―
攻撃力 5690
防御力 1820
素早さ 3600
耐久力 1994
知力 1500
魔力 6730
称号:[召喚者・崩] [拷問官・至] [武芸者・至] [超える者・極] [探し出す者]
[創造する者 173]
[暗殺者 112] [分け与える者 20] [統合する者 9]
魔法:[装備転送] [防御力上昇] [耐久力上昇] [魔法効果最適化] [召喚]
[下位空間操作] [分解] [能力譲渡] [状態異常軽減] [広域化] [限定化]
[魔法創造]
スキル:[超獣化] [式術制覇] [降魔調伏] [無詠唱] [物質創造](転化{重量換算})
[重撃・改](攻撃力+500%) [絶守・改](防御力+500%)
[虎王身・黒](攻撃力10倍、防御力2倍、素早さ30倍、魔法・スキル最適化)
[与痛覚倍加] [被痛覚半減] [黒炎] [加護付与] [スキル創造] [カミオロシ]
式神:[六呂][円月][珠][狛][凛尾][鳥之石楠船][鉄鼠][妃蜂][刀鴉][雀禍][太郎丸]
[新月][白華]
召喚:[レクス・ロブナ](特殊契約)
装備:
頭 積層装甲式狐面・六
胴 二型積層装甲式ブレストプレート
腕 二型積層装甲式特殊手甲(ナックルガード付)
足 三型積層装甲式足甲
右 新月 100{スキル15%使用可}(防御力+15%、魔法付与:水、魔法付与:氷)
左 円月 100{スキル15%使用可}(攻撃力+15%、魔法付与:炎、魔法付与:光)
アクセサリー 三型白鷹紋の外套(防御力+50、耐属性防御+30)
丈夫な革鞄
不思議空間でレーネさんに使った魔法が、六呂によって強化された、対象をバラバラにする[分解]とステータスを相手に与える[能力譲渡]、スキルは同じく六呂ブースト版[物質創造]と、自前の[加護付与]による、獣王の加護。
と、本人には伝えてある。
実際は説明が面倒になる為言っていないけれど、少し特殊なスキルで対応したのだ。
加護を使ったのは本当なので、これは嘘じゃないし問題無い。‥‥ハズ。
過程はどうあれ、何と言うかぶっ壊れステータスになってしまって、現実感が無いというか未だに理解が追いつかないというか‥‥。
あ、獣王の加護は今のところレーネさんとレクスの二人にしかかかっていない。
村の人達にかけてみようとしたけれど、何故か上手くいかなかったので、そういうものだ。と、早々に諦めた。
レーネさんとレクスは、加護の効果で各ステータスが急上昇し、既に以前の僕を凌ぐ強さを得た上、特殊スキル[共感覚]が使える様になった。
これで二人に何かあればすぐに情報を得られるし、座標固定も出来る為式神による疑似転移魔法も行えるようになった。
ただ基本的に向こうからの一方通行なので、座標固定は相手の許可が必要だ。
ともあれ、これで色々と憂慮せずに方々出掛けられるから、僕としては非常に助かっていたりする。
▼ロ・ルゴナ大陸中央部 セルバ王国南部国境 フォロール公爵領付近の街道
「それにしても、退屈じゃな」
朝食後の小休止を終えて歩きだした僕の頭上で、六呂が暇を持て余したのかひっくり返ったまま声を上げた。
「おい、やめろ。変なフラグたてんな」
ただでさえここ数日で漸く平和な旅路につけたのだ。余り面倒な事件に巻き込まれたくない。
しかも、王都スメイまではまだ数か所の領地を経由しないといけないのだ。
「魔物もどんどん弱くなっておるし、主は良くとも儂はレベルが上がらんのよなぁ‥‥」
それはそうだ、何せ六呂は基本的に埒外な日本の祟神の中でも、恐らく結構な上位に食い込む厄介者。
単体の力だけ見れば、伝承の九尾の狐にも引けを取らない凶悪さだろう。
なにせ向こうはまだ力に振りまわされた、戦略的に若干の不安を覚える暴力の化身で、最期は人間に退治されたって話だった筈だ。
六呂は大妖怪が祀られて神となり、信仰が廃れて祟神となってから僕と出会うまでの数百年を、じっと力を蓄える為に使ってきた、暴れん坊→神様→悪神。と、暴虐のエリートと言っても差し支えないだろう。
呪いを溜めこんで力を付け、溢れんばかりの災厄を吐き出す直前に僕に憑いてきた訳だから、破裂する風船の如き恐ろしさがある。
例えるなら、カンスト+余剰経験値マックス状態。
あくまで例えなので六呂が言った通り、レベルが【上がりづらい】だけで【上がらない】訳ではないのが、また恐ろしい。
「まぁ、仕方ないさ。っていうか、いつまで出てるつもりだよ‥‥」
式神の呼び出し等についてはMP消費等が無いのに、溢れ出る呪いを無効化する為に[状態異常軽減]を常に発動しているせいで、僕は地味にMPを削られている状態が続いていたりする。
アーサーが居た時は、彼の[上位MP回復効果付与]のスキルだか魔法で二人分の状態異常軽減を維持できたけれど、今は多分ゴリゴリ減り続けている。
いつかMPが枯渇するんじゃないかと色々と魔法やスキルを作ってみようとしてはみたものの、どれも結局上手くいかずに今に至る。
「くふわぁぁぁあ‥‥」
そんな僕に構わず、大欠伸をかます六呂は、だいぶ自由だった。
■■■
時刻も昼に差し掛かろうという頃、人の叫び声と鉄の打ち合わせられる高い音が聞こえてきた。
距離は恐らく直線で2㎞程の距離で、現状道が大きく迂回する様になっているので、街道伝いなら、3,5から4㎞くらいだろうか、何にせよ、場合によっては浦島太郎作戦が使える。
「六呂、行こう」
「ふふふん、勿論だとも」
僕の意図を汲んで、六呂が頭上から飛び降りて、嫌らしい笑みを浮かべた。
多分、フラグを回収するだろう事を思って少し気分が落ち込んだけれど、仕方ないと、諦める。
結局森の中を突っ切る事にして、脚の形を獣に近付けて走る。
スキル[超獣化]の効果の一つで、普段は普通の人間に虎耳と肘・膝から先に虎がらの毛皮、それから腰に尻尾が生えた状態なんだけど、一部だけ動物のパーツに変えたり、全部動物と同じにしたり出来る様になった。
『此方の方が早く走れるから便利だけど、この世界だとどうなんだろう‥‥』
まだ僕以外に獣人を見た事が無いので、場合によっては捕まって実験に‥‥。
いや、無いか。流石にここまでステータスが上がると、負ける気がしない。
近づく剣と何かが爆発する音、人の声を聞きながら、そんな事を考えて走った。




