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召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第四部 獣人 亜人 変人

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♯53 獣人、餌付けす。 地下洞窟での考察

 持参したお昼ご飯を献上した後、休憩を終えて移動を開始した僕は、相変わらずロブナ(白毛虫)さんにストーキングされている。


此方に攻撃してくる事は無く、どころか、階層が第六層目に変ってから姿を見せ始めた毛虫の通常個体、地下大毛虫《エルグ・デナ・ガスタフ》種や、地下球根(エルグ・コブブ)種との戦闘を始めた僕を、口から吐き出すネバネバした糸(多分、ロブナさんのスキル[粘糸]だと思う)で補助してくれているくらいだ。


どうやら懐かれた様子。


お陰さまで、時間はそれ程経っていないのに、滅茶苦茶効率よく狩りが出来ている。


毛虫と球根の素材も、鞄を内側から大きく押し広げて良い感じにパツンパツンだ。


因みに、毛虫の毛はフサフサで柔らかい物がかなりの部分を占めていて、頭部と尻部に近い位置に多少の毒針が存在する様だ。

球根は、見た目がもうほぼそのまま玉ねぎが跳ねまわっている感じで、素材は頭頂部に生えた緑色の葉っぱ。


何かに使えるかと、取り敢えずは鞄に分けて詰め込んでいるけれど、そろそろ限界かもしれない。


それにしても、連続戦闘に疲れが見え始めた辺りで丁度良く地下河川を見つけられたのは運が良かった、折角なのでまた少し休憩を取っていこう。


『気になった事も多いし‥‥』




■■■



 手ごろな岩に腰を掛けて、一息ついた僕は、周囲に敵が居ない事を確認して、思考を開始する。


・式神達の運用について

・魔物の呼称について

・地下洞窟の構造について

・ヴォルパ村以外の文化圏について


等。



一個ずつ潰していこう。


先ずは式神の運用についてだけど、これは第六階層に到着してから、敵を見つけては攻撃を繰り返して、何となく理解し始めている。


本来の目的は、円月、新月の形状を変えて戦闘スタイルに幅を持たせる事だったけれど、これは案外簡単に達成できた。


現時点で、両者共に普通の刀→普段呼び出した時の特殊な形状→手首から指先までを覆う金属製のグローブ→グローブの手の甲から打撃面に刃が伸びた形状。とここまで形を変えられた。


生前(?)はもう少しバラエティに富んでいたけれど、これだけでも十分に目的をクリアしているので、気にならない。


手慰み程度に休憩中も円月の形を変えて遊んでいたら、ロブナさんが驚いた様にプルプルしていて、何だか和んでしまった。


で、他の式神については、組み合わせて別の効果を得られないか検証してみたところ、結界による対象の捕獲や、敵の体内での空間固定による攻撃、足場への転用など、可能性が大きく広がった。

まだまだ実用には耐えないけれど。


後は限定空間内での索敵や、空間と空間をリンクさせての簡易的な転送等、ドワーフの皆さんに教えて貰った、この世界の魔法に近い事も、出来る公算が高い。


『此方も、要練習だね』



 次に、魔物の呼称について。

メシ夫の一件以降、対象に意識を集中すると能力値やレベル等等、あらゆる情報を得られる様になった。

それで気になったのが、ドワーフ達の魔物の呼び方と、僕が得られる情報の名前の差異。


確か、地下大トカゲ(エルグ・デナ・アゲラ)を、ヒュージ・ロック・リザードと呼んでいた。

他にも、ルゴナ大森林に現れる魔物や、ここ、ログロ地下洞窟での魔物も、違う呼称だった。


和名と学名みたいな感じに、言葉自体が別物の可能性が高いイメージだけど、これはドワーフの言葉以外を知らない僕には、なんとも判断し辛いので、イメージ通りとして、考えておく事にする。


今後、国や大陸を移動する事が有れば状況も変っていくハズだ。


因みに、この世界では、魔物は自然発生する場合と、普通に生殖活動の結果生まれる場合とが有る様で、前者は洞窟の穴とか、木の洞(うろ)、時には何も無い空間から、突然姿を現す。


後者は普通に、巣に有る卵や、母体から直接産まれてくるのだ。


どちらだろうとその辺を徘徊している魔物たちは区別できる訳ではないので、名前の差異がコレに起因する訳でも無い様子。


 で、次がログロ地下洞窟の構造についてだけど、これは今休んでいる空間を見渡して、或る程度の推測が出来ている。


この地下洞窟、階層を繋ぐ大きな縦穴が存在していて、そこに沿う様に小さな滝が流れ落ちており、そのお陰で各階層の一部には、日光が届いて水が流れ込んでいるのだ。


いままでの階層は、隅々まで確認した訳ではないけれど似たような構造のハズだ。

水の匂いや水質に、一定の速度で流れている空気も、地上と余り変わらない物で、極度に土やカビ臭かったりしない事、そして先ほど良いだけ倒した動く球根の頭(?)部分に生えていた緑の葉っぱ。


少し進んだ先で、床に日光が届いているのが見えるからほぼ確定だろう。


床に日が当っている以上、一直線の縦穴ではなさそうだけど、あみだくじみたいな感じだろうか?


『まぁ、剣と魔法の世界だと、光合成とか関係ないのかも知れないけど‥‥』


そう言えば。と、球根の葉っぱを鞄から取り出してロブナさんに差し出して見ると、普通に食べてくれた。


心を開いてくれたのか、既に僕の傍らに鎮座しており、少し身動ぎをするくらいで優しくなでるのも許してくれている。


『フッカフカやでぇっ!!』


変な関西弁で妙なテンションの獣人が、巨大な白い毛虫をモフモフしている構図は、地下洞窟でも異彩を放っていた事だろうけれど、見て見ぬふりだ。


なんだか癒された。




■■■




 ロブナさんをモフりながら、思考を多人種の文化圏に移そうとした所、不意に地面が揺れているのを感じた。


細かくグラグラと揺れていて、震度なら、1か2程度か。


微細な振動が暫く続いた。


以前感じた、大岩トカゲの起こす振動とは違ったし、蜘蛛の式神の太郎丸と鳥船(とりふね)の複合感知結界には、周囲に魔物の気配がロブナさんだけと出ているので、不意に巨大な魔物に襲われる可能性は無さそうだ。


ただ、地上でも同じかは分からないので、念の為一度村に帰る事にする。


まだまだ探索はしたり無いけれど、レーネさん含め、ドワーフの皆に危険が及んでいる可能性が0ではないなら、行動するべきだと思う。


こうして、なんだか不完全燃焼気味に地下第六層目を後にした僕は、村に帰り付く前に一悶着有るものの、その日の内に村の皆の無事を確認する事が出来るのだった。

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