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召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第三部 生還 生活 制裁
48/106

♯46 進化

いつもご閲覧、ブクマ等、本当にありがとうございます!


次回から第四章が始まります。


良い機会ですし、御指摘頂いた改善策、あらすじについて検討し、

章の終りで、あらすじも更新する事にしました!


上手く改善出来ていたら嬉しいです!

 帰りの道すがら、ドワーフの老司祭、ラータさんと色々話をした。


話の中で出てきた、古い伝承や、御伽噺、古い時代の災厄種と呼ばれた魔物について。


夜の森を抜ける形では有ったものの、既に露見している為、口外しない事だけをお願いして、普通に式神を使役しての道程なので、危険は全くと言っていい程に存在しなかった。


『それにしても、あと12人も居るのか‥‥』


伝承を聞いて、軽いめまいを覚える。


親玉とその部下13人が、今回の騒動に関わっていると見て間違いない。


どちらかと言うと、呆気ない最期だったので、ファンタジー世界の通例(?)通り、簡単に復活したりする可能性も、十分に考えられる。


『貴様を殺す為に、女神様に蘇えらせて頂いたのだ!』

とか言われかねない。


内心ウンザリしつつ、ラータさんから色々と話を聞きつつ、静かな夜の森をヴォルパに向かって進んだ。



▼ヴォルパ族の集落 ルゴナ大森林出入り口付近


 「ジューーーーーーーゾーーーーーーーー!!!!!!」


集落の入り口から、更に森側に、一人で佇んでいたレーネさんが、突進してきた。


「おっとぉ」


復活していたラータさんは、既に僕の横を普通に歩いていたので、飛び込んできた愛らしい人影を優しく受け止める事が出来た。


「良かった‥‥、本当に‥‥」


「‥‥ただいま戻りました、レーネさん」


心配をかけた事を一言お詫びし、涙声の「おかえり」を頂戴した。


レーネさん渾身の大音声を聞きつけた集落の人々が、何事かと家の外に出てきたので、取り敢えずの説明をする。


状況が状況なだけに、残ったトカゲは追い詰めたものの、最後の力を振り絞って地下河川に飛び込み流されてしまった。と、帰りの道すがら打ち合わせた内容でラータさんと口裏を合わせ、家に戻る。


詳しい説明も必要だと分かってはいるけれど、流石に体力含め、諸々が限界の為、翌日に回してもらう事になった。


バーンさん含め、集落の主要人物は

「アンタらは死にかけて帰った老体に、更に鞭を打つつもりかい?」

なんて、普通に歩いて帰って来た婆さんに言われて、困惑していた。


まぁ、ほぼ気絶していたダケみたいなものだけど、あんなバケモノと対峙した後だ。

先ず優先されるべきは、ゆっくりと静養する事。


僕もダルくて眠くて頭が痛い。

今日はゆっくりさせて欲しかった。


そんな訳で、夜も遅い(日没後はほぼ寝るだけの集落民だ)し、解散と、相成った。




■■■



 狼狽する同僚達に囲まれ、一人の男が糾弾されている。

男を責める者は、涙を流していた。


「何が‥‥、何が支局長だよ!アンタ一人が生きて帰って、なんでみんなが死ななきゃならなかった!!」


ほぼ全身を傷に覆われ、辛うじて立っているだけの男は、それを気取られまいと、己を苛む感情を押し殺し、言われるがままになっている。


「おい‥‥、やめろって」


「離せよ!!お前らだって分かってたハズだ!それを、コイツは‥‥!!返せよ!----を返せ!!」


止めに入った腕を振り払われた女性も、口を噤み、俯く。


響く慟哭と怨嗟の声が、酷く耳に残っていた‥‥。



■■■




 不意に名前を呼ばれた気がして意識が覚醒していく。


目が覚めた時には、目の前にレーネさんの顔が有った。



「大丈夫?苦しそうにしてたけど‥‥」


「はい‥‥、いえ、大丈夫です。ちょっと夢で(うな)されてたみたいです‥‥」


洞窟から帰った時、泣きながら突撃してきた事を思うと、これ以上心配はかけたくない。


レーネさんには、出来る限り笑って過ごしていてほしいのだ。


「ジューゾー、三日も起きないんだもん‥‥、心配したんだよ‥‥?」


想いとは裏腹に、涙目で呟く声に、冷や汗が流れる。



 結局、拗ねた顔で「べつに、おこってないもん。心配だっただけだし」と言われ、

『うわぁ、何この可愛い生き物!食べちゃいたい!』とか、最低な思考をしてから、ご飯を食べてラータさんの家に向かった。


洞窟を出た時とは比べ物にならない元気さで僕を迎えた婆さんの一言にはかなり驚いたけど、取り敢えず【ソレ】は後回しにしてバーンさん達を伴い、集会所に向かう。



三日も待たせてしまったけれど、今度こそ集落の主要人物達に、洞窟での出来事の報告を済ませ、

集落に来た商隊に、ゴーノさんの発明品が結構な高値で売れた事や、今後についての報告を受け、

ちょっとした祝宴の後、帰途に就いた。



夢の様な一日を終え、レーネさんに頭を抱きかかえられたまま瞼を閉じた僕は、不意に酔いが醒めて、意識を覚醒させる。





『そう言えば、種族が変ったって言われたんだった!!!』





■■■




 危うく普通に忘れて、柔らかい感触と、心地良い香りに包まれて意識を手放すところだった!


種族が変わったと急に言われて戸惑った物の、何せ三日も待たせてしまったと焦って報告に向かい、後回しにしたままだったのだ‥‥。



洞窟での戦闘後、体が妙に軽くなって疲労も抜けたけれど、その後集落に戻ってすぐに異様な眠気に襲われて意識を手放した事から、単純に緊張からきた精神的なハイ&ローだと思っていた。


実際、夢の中で思い出した過去の僕も、同じではないけれど、似たような状況になった事もあるし。



『あー、なんであんな事も忘れてたんだろう‥‥、せめて自分の状態だけでも確認出来れば良いのになぁ‥‥』


いっそ状態異常:記憶喪失

とか、目に見えたら良いのに。

なんて馬鹿な事を考えていたら、本当に頭の中に情報が飛び込んできた。


何事かと驚き、慌て、自分の名前と、婆さんから聞いた、僕の職業である【放浪者】の文字を見つけて、

気持ちが落ち着いていくのを感じる。



どうやら、僕は本当に種族が変わって、所謂、【進化】をしたらしかった。

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