↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第三部 生還 生活 制裁

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/106

♯45 真価

大三章も、そろそろ終盤です。

次章こそ、重蔵君が、冒険者になれますように‥‥!!

あ、書くのは私でした。


 互いの剣戟が音を響かせる。


地下洞窟の二階層目で続く攻防は、既に相当な時間、続けられており、彼我の精神力、体力は大分削られていた。


片や後光を背負い、厳かな印象を与える、白を基調として、金糸での刺繍を施されたたローブを纏い、清浄な輝きを湛える聖剣を手にした男。


プラチナブロンドの、前髪が少しかかる程度の目の中心には、綺麗な水色の虹彩が鎮座し、敵を見据えている。



対するもう片方は、その身の周囲に異彩を放つ生物を漂わせた、全身を軽量で真黒なプレートメイルと、白い外套に身を包む、刺々しく、禍々しい片刃で銀色の剣を手にした、獣人の女。


青色の頭髪、頭頂部のサイドに丸みを帯びた獣の耳を生やし、どちらにも、より濃い色の縞模様がはいっている。


顔はほぼ人間と変わりない物の、夜行性動物特有の、縦に細い、人ならざる瞳孔が、聖者を見つめている。



聖剣が空間を割く様に振り降ろされれば、銀色の剣がそれを弾き、銀色の剣が切り上げられれば、聖剣が円を描く。



火花と何条もの光跡を残しながら、剣の応酬は暫く続いた。



■■■



 もうすでにかなりの時間を打ち合いに費やしながら、目の前でブツブツと呪詛を呟く、女神の使徒の男(略して【メシ夫】)。


親の仇でも、ここまで憎々しげに「死ね」とか「消えろ」なんて、連呼できないんじゃ無いかと思うくらいに、陰鬱な雰囲気が辺りに漂っている。


『リアルに怖い‥‥!』

内心ガクブルである。




 何度も打ち合って、攻撃には慣れてきてはいるけれど、決定打が放てていない為、細かい切り傷が、相手に増えていっている状況。


此方は、紫色に淡く光る、濡れ羽を纏った、式神の刀鴉(とうあ)が展開する結界で、例え僕が反応出来なくとも、ダメージを負う事が無い状態。


つまり、メシ夫の剣閃が僕の体を捉えようとも、堅い何かに当った感触だけが残るだけになっている。


体表面に0距離で展開している結界は、薄く、攻撃を通さず、壊れない。


癖と恐怖で、体は防御姿勢をとるけれど。




「女神の使徒って、こんなに弱いものなんですか?」


「なんだと‥‥?」


「いや、見た目も若いし、まだ修行の途中なのかなー?って程度の強さですし、拍子抜けと言うか‥‥」


新月(しんげつ)を向ける手を休めずに、情報を引き出すべく追加で口撃(攻撃)。


ともかく、情報を集めたい。


大体の予想は出来ても、答え合わせはしておきたいのだ。


メシ夫の口から、ヴォルパの集落を含めて、何をしようとしていたのかを聞き出してから、幕を引きたい。


「トカゲを使って攻撃してきたのは、直接この世界(・ ・ ・ ・)の人間に危害を加えられないから」


メシ夫の息をのむ反応。


「で、これは予想ですが、何らかの理由によって、各洞窟等から、人里に魔物をけしかけて、虐殺行為を行うつもりだった。ってとこですか」


「‥‥‥‥」


この場での黙秘は、肯定とほぼ同義な気がするけれど、押し黙ったまま聖剣を振るメシ夫。


『出来れば、構成人数や、それぞれの役割なんかも確認しておきたいけど、そこまでの誘導は難しいかなぁ‥‥』




■■■




 「あ、もしかして、女神とやらも、貴方達(・)と同じで、余り強くないんですか?」


カマかけ。


何となくだけど、組織だって活動している気がする。例え外れていても、それ程困らない。


「もういい‥‥」


「はい?」


虚ろな目で攻撃の手を休めずに聖剣を向けてくるメシ夫に声をかけるも、いきなりのもう良い宣言に、面喰ってしまった。


「もう良い!!もう許さん!!俺達だけならまだしも、女神様を愚弄するなど、万死に値する!!この場もろとも、消し炭にしてくれるわ!!」


そうがなり声を上げて、大きく後方に飛び退いたメシ夫。


『うん、今【俺達】って言ったね、少なくとも二人以上か‥‥』


斜め後ろにラータ婆さんが寝ている(気を失っているとも言う)ので、鳥船(とりふね)の結界の事もあって動かない僕は、言質を取りつつ相手を見送る。


「何を冷静さを欠いて、相手に合わせて戦っていたんだろうな、俺は‥‥」


今更な事を宣(のたま)うメシ夫。


『あら、頭が冷えちゃった御様子‥‥』


もともと、情報を引き出す為に精神攻撃をしていたのだけど、ブチ切れて怒鳴るだけだったのが、僕の不用意な言葉選びのせいで、どうやら、一週回って冷静になってしまったらしい‥‥。


「本当の力を見せてやろう‥‥」


怪しげな空気を漂わせ始めたメシ夫は、周囲の岩壁や鍾乳石を粉砕して、自身に鎧を纏っていく。


白銀に輝く清浄なるフルプレートメイルが、輝きを放った。


『まぁ、情報収集とまでは言えないけど、或る程度聞けたし年貢の納め時かなぁ‥‥』


今更鎧を纏うという事は、防御だけでなく、何かしらの魔法効果が適用される可能性もある。


ここは大人しく、迎え討つ事にしよう。




■■■



 「う‥‥」


ぼやけた視界に、光る何かが映る。


使徒の魔法によって命を落としたはずの儂は、相変わらず洞窟の冷たい空気の中に居た。


「ジュ、ジュウ‥‥ゾウか‥‥?」


「あら、おはよう御座います。ラータさん」


事も無げに挨拶をしてくる獣人は、左手を前に突きだして、頭だけで此方を振り返っている。


なんというか、顔を見ただけで安心してしまうというのも、なんだかおかしな話だが、今までの経緯を考えれば、無理も無い話しだろう。


「ここは‥‥儂らはぶ‥‥じでは、なさそうだのう‥‥」



 徐々に覚醒しだした意識の向いた先では、白い発光球体を片手で受け止めている獣人が目に入った。


人の頭より二回り程度大きいくらいの、煌々と輝く球体。


魔力の凝縮された物だと、一目で分かる力強さに、儂は絶望‥‥出来なかった。


「いやぁ、弱りましたね‥‥、余り情報は引き出せませんでした」


「余所見を‥‥するなぁぁっぁぁぁぁあああああ!!!!!」


輝く球体が不意に掻き消え、先ほど儂に魔法を放った、女神の使徒のくぐもった声が、鎧から大音量で発せられている。


余裕の無さそうな声だったな。


目にもとまらぬ速さで迫る白く光る鉄の塊が、聖なる輝きを手に獣人に近付くも、禍々しい異様が、それを阻んだ。


金属同士のぶつかる、高い残響音が、地下世界に木霊する。




■■■




 「おのれおのれおのれおのれおのれぇぇぇ!!!」


何なのだこの塵は!何故俺の攻撃が止められる!何故俺の魔法が通用しない!!


最初の一撃は、偶然にも、無様に身を躱していたが、それ以降は静かに、最小限移動するだけで、一撃も当らない‥‥。


どころか、俺の体に傷を付け続ける、陰湿な攻撃をしかけてきやがった!


極大の魔法すら、魔法効果の無さそうな粗末な防具を付けた腕で、容易に受け止められる始末。


『糞っ!!』


このままでは‥‥、いやしかし‥‥。


冷静さを取り戻しても、また再燃する怒りに身を焦がし斬り付けるも、再び躱わされ、反撃を受ける。


頑強な鎧の、削れる音をききながら、逡巡を払うべく、俺はまた、攻撃を続ける。



■■■



 感情の起伏が激しすぎて、テンションの高低差に辟易しながら攻防を続けていると、何発目かのヒットの末、メシ夫の鎧の肩部分が弾けて、地面に落ちた。


ガシャンと重たげな音を立てて壁が無くなったので、そこに一撃、新月を突きいれた。



「ぐぅ、あぁぁぁぁぁああああ!!!」


大きく身動ぎをし、数歩下がったメシ夫が、荒い呼吸を繰り返しながら、此方を睨みつけた。



「もう、許さんぞ‥‥。もう、後の事等知らん‥‥、ここで貴様を消し去ってくれる!!!」


「先刻からそればっかりですけど、いつになったら実現できそうです?」


「おい、やめんか」


ラータ婆さんの貴重な突っ込みシーンを余所に、変な笑い声と雄叫びを上げ始めたメシ夫は、両手を掲げ、力を溜め始めた。


スーパー何ちゃら人の、ハッスルボールの体勢に似ている。



冷や汗を流しながらも突っ込みをくれたラータさんの前に刀鴉を移動して、さらにその前方に陣取る僕。


『鳥船、隔世八方(かくりよはっぽう)、十六夜月(いざよいづき)』


メシ夫が離れたので結界を展開し直し、視線を戻せば、相変わらずの高笑いをしながら、光る球を頭上に持ち上げた、メシ夫が居た。


光る球は、直径10m程に膨れ上がっている。


「――そんな、まさかここまでの力が‥‥」


「ふははは!後悔してももう遅い!!この地ごと、消えろ!!!」


超高エネルギーとみられるエネルギー球が、動き始め


「なーんつってな」


何かに当った様に、動きを止める。



「は!?な、なんだと!?」


「一体、何が‥‥」


二人が狼狽し出したので、注釈を入れておこう。



「女神の使徒さん、貴方はもう、籠の中の鳥です」


鳥船の結界を可視化する。


内側が大体10mより少し広いくらいの、十六角形の光の檻が、姿を現した。地面からまっすぐ十六角柱の天井に向かう壁が、メシ夫と光の球を内側に押し留めている。


「馬鹿な‥‥何を‥‥」


「降参して、二度と人々に危害を加えないと誓われるなら、命を奪う事はしませんが‥‥」


「‥‥‥舐めるなと‥‥言っているだろうが!こんなもの、今すぐに突破してやる!!」


激昂して、更に力を解放したメシ夫は、悲鳴と共に消えていった。


自身の魔力を暴走させ、中心温度は予想も出来ない程にまで上がっていた事だろう。

結界に押し留められたままでも、漏れ出す熱波に喉が渇いた。


暫くは眩い光が続き、ラータさんが言葉を失って口をパクパクさせて

此方を見て

また結界の方を見ていた。


なんか変な動きになってるけど、構わずに一回だけ、頷いておいた。


光が収まった後に残った、超高温・高圧にさらされて原形を留めていない、結界内部の地面は惨憺たる有様だった。


まるでメシ夫の、怨嗟がそのまま燻り残っている様な‥‥。



なんとも後味の悪い幕引きだ。


「終わった‥‥のか‥‥?」


不安げに此方を見るラータさんにもう一つ頷き、僕達は帰路に就いた。


あれだけ大暴れしていた敵の、呆気ない最期に。


気が抜けては居たものの、僕は腰を抜かしたままの婆さんを背負って、集落に帰った。

疲労体に鞭打って運ぶなら、豊満な肉体が良かったけれど、僕が運んだのは枯れ枝みたいな婆さんだ。


集落に戻ったら、レーネさんとキャッキャウフフしよう。



洞窟を出て夕焼け空を見上げて、僕はそんな事を考えていた。


毎度ご閲覧、ブクマ、お気に入り登録、有難う御座います!


この度、感想まで頂いてしまいました!重ねてお礼申し上げます!


投稿者本人では気が付かない点も有るので、とても参考になります。


色々と改善していけるように努めますので、これからもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。