↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第三部 生還 生活 制裁

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/106

♯39 抱擁

いつも閲覧、ブクマ、お気に入り等、有難う御座います!

しかも、また評価も頂いてしまいました!


嬉しいです! コノヒノコトハ ワスレナイゾ!

 夕暮れに赤く染まる空の下、一頻(ひとしき)り笑い合った僕達は、顔を引き締め、会議を始めた。


現在、地下洞窟の三階層目は、大岩トカゲ二頭が占拠している状態に近い。


洞窟には、月に何度か狩猟班が赴いては、三階層目の小屋を拠点に、数日間、鉱石採掘や、トカゲ(アゲラ)種の狩猟を行っている。


そうして得られた皮や骨、鉱石なんかを、加工しては近隣の国や街に卸して、ドワーフ達は生計を立てているのだ。


つまり、このまま大岩トカゲが三階層目に居座り続けると、ヴォルパ族全体の稼ぎが、格段に下がる。


うーん、悩ましい。



不意打ち上等の姑息な手段で、ギリギリ生き永らえる事が出来た僕達では、まともに戦っても、勝機は無い。


閉じられた頑丈な門扉が有ればこそ、こうして洞窟の入り口前で、悠長に会議が出来るのだ。



 と、6人で今後の方針を詰めている最中、僕の体が不意に軽くなった。


天に召されるとかの比喩でも、物理的に浮く訳でもなく、単純に、疲労が少し取れた様な、少し懐かしい感じ。


どこかで経験した事の有る様な感覚を伝えると、ダーフさんが、その鋭い目を光らせながら、僕のレベルがあがった事を教えてくれた。


「じゃあ、もしかしてあのトカゲ‥‥」


「あぁ、多分、共食いが終わったな」


「みなさんも、レベルが上がったんですか?」


僕の質問に、オッサン達は首を振った。


何でも、直接戦闘をしないと、経験値的な物は手に入らないらしい。


つまり、僕の戦っていた大トカゲが息絶え、皆が戦っていた岩トカゲが、勝ったのだろう。


因みに、戦闘者に魔法の強化を行ったり、魔法行使者の安全を守ったりすると、直接戦闘行為にカウントされるらしい。


その辺は良く分からないけれど、昔から色々検証されていたから間違いないんだとか。


ともあれ、これで脅威が半分以下になったのは事実だ。


オッサン達は、改めて真面目な顔をし、会議を再開した。




▼ヴォルパ族の集落 ルゴナ大森林出入り口付近



 会議の結果、僕達は一度、集落に戻ってきた。


既に周囲は暗くなっていたけれど、早めに族長に報告して、大規模な討伐隊を組織してもらう方向に、議論は落ち着いた。


三日(実質、ほぼ二日)後には、商隊が集落まで来てしまうし、何より、三階層目に居着かれては、今後の狩猟や採掘にも、支障をきたす事請け合い。


最悪、商隊にはガーバさん制作(僕発案は伏せて貰って)の、不思議装備を売って貰えば、少しは足しになるだろう。



 予定よりも早くに戻ったオッサン達と僕に、集落の皆はひどく驚いたけれど、洞窟で起こった事を聞いて、先ずは全員が無事に戻った事を、喜んでくれた。


状況確認後、朝一で討伐隊が出られるように動いてくれたバーンさん。


オッサン達の無事を確認して、安堵した後、すぐに飲み始めた村人達。


飛び起きて装備や道具の活躍を聞きに来たガーバさん。


「どうだった!?生きて戻って来たって事は、装備は役に立ったのか!?」


『いや、まぁ‥‥、オッサンに心配されても別に嬉しくは無いけどさ‥‥』


予想より、職人らしいガーバさんには、苦笑してしまった。


まぁ、彼の弟子であるベーレさんなんて、思い切り肩を叩かれてたし、照れ隠しと言えば、照れ隠しっぽい。

不器用な人なのかも知れない。


そんな微笑ましい師弟に、オッサン方やバーンさん達を交えて、装備や道具を使ってみた感想、トカゲの攻撃方法や、或る程度の観察結果を話していると、聞きなれた、軽めの足音がこちらに向かって駆けてきた。



マイディアー、レーネさんだ。


「じゅうぞう!大丈夫!?」


おぉう、いきなり激しいです。


鼻孔をくすぐる、優しい香りに包まれて、僕は鼻血を堪え、挨拶をした。


僕の一言に、彼女は顔を綻ばせ、一層きつく抱きついてきて


「いやー、本当、ジュウゾウのお陰で助かったぜ!大活躍だったんだぞ!?」


『あ、オイオッサンヤメロ。嫌な予感がするから余計な事を言うな』


ダーフさん含め、オッサンx5が僕の武勇伝(無茶行動)を語る。


「くぇっ」


話を聞いたレーネさんは、僕に抱きつく力を更に強め、結果、僕はカエルか鶏みたいな、みょうちきりんな声を上げる事になった。


『オッサンら、許すまじ』



因果応報かも知れないけれど、心配をかけたい訳じゃなかったので、彼女に話すつもりは無かったんだけどなぁ‥‥。


僕を放した後、泣きながら怒るという、エクストリームなお説教方法を駆使するレーネさん。


そんな僕らを残して、集会所に移動し出した他の人たち。


薄情者とは言わないけれど。


コノヒノコトハ ワスレナイゾ‥‥。


狭い心にそんな事を誓った。



■■■




 結局、少し長めのお説教が終わり、報告はオッサン達に任せて、僕達は家に帰る事にした。


埃や血で汚れた僕の体を拭いて、手当をしてくれたレーネさん。


お礼を言って、床に就いた僕を抱き枕に、レーネさんが寝息を立て始める。


優しく、僕の頭を抱いて眠る彼女からは、緊張していた心を解き解す、とても良い香りがしました。




コノヒノコトハ ワスレナイゾ!!


改めて深く、心に誓ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。