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召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第三部 生還 生活 制裁

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♯38 閉門

 ドワーフの狩人、ガーロが岩トカゲの後ろに回り込み、攻撃を再開。

同じくドワーフで、戦士のダーフが、装備の効果を発動して、岩トカゲにヒット&アウェイを続ける。


重蔵の狙い通りに、地響きを轟かせながら、岩トカゲが彼(と、大トカゲ)に向かって移動を始めた。


響く足音に、大トカゲが一瞬、視線を彷徨わせる。


大トカゲは、相変わらず壁に張り付いたままの不安定な状態で、それでも慎重に青い獣人を攻撃していた。


左右の前脚に生える、4本の爪。


鈍い金属の輝きを放ちながら、その暴力の塊が翻る。


大トカゲの、体に比して大きな頭には、相手をよく観察し、カウンターをすら狙い始めていた事から、恐らく結構な思考機能が備わっているだろう事が窺える。


事実、重蔵がいくら斬り付け、殴り続けようと、外皮に阻まれている以上、一定以上の痛痒を与えられないのに対して、大トカゲの、恐るべき破壊力を秘めた一撃は、確実に彼の体を蝕んでいるのだから。




■■■



 段々と、此方の攻撃に合わせて、大トカゲの攻撃が僕を捉え始めてきた。


最初こそ、その巨大な爪から繰り出される一撃を、難なく回避していたというのに、徐々に速度と正確性、そして、僕の動きを予測する判断能力が現され始めていた為だ。


頭では、焦らずに岩トカゲの領地侵犯を待たなければならないのに、じわじわと漂い始めた血の匂いに、どうしても体が震える。


『あぁ‥‥、早く終わらせないと‥‥‥』


楽しくなってきちゃった‥‥。



相手の攻撃が身を掠めるたびに、小さな雫が体を濡らす。


命が一欠(ひとかけ)削がれるたびに、小さな灯(とも)りが心を焦がす。



 血塗れではあるものの、その傷の一つ一つは小さい様で、見た目ほどのダメージは喰らっていないけれど、それでもこんな感覚は久しぶりで、久しぶりで、心が泡立つのを抑えられない。


意識を沈める毎に、相手の攻撃を捉えていく。


コポコポと。ゴボゴボと。



『終わらないで欲しいなぁ!!!』


他道場との親善試合を含め、今までの人生では、決して味わえなかった狂乱。


けれど、残念ながら、お祭りは終ってしまう。


肌が粟立つ感触と、この戦いが終わる瞬間は、大トカゲの


「シューーーーー!!!」


という威嚇音が発せられたのと、ほぼ同時に訪れたから。







▼ルゴナ大森林アブロ山西側 ログロの洞窟入り口 管理門前



 「俺達、生きてるん‥‥だな‥‥」


皆、汗だくになりながら、浅い呼吸を繰り返している。


俺の絞り出した一言に、他の皆も


「おう」とか

「なんとか‥‥」だのと返してくる。


俺たちは、生きて地上に帰ってきた。



二頭のトカゲがお互いを威嚇し始めて、戦況は一変。


どちらもが攻撃を当てられる距離まで近づいて、威嚇を始めた時、トカゲが二頭とも、満身創痍に見える状態になったのには、心底驚いたもんだ。



■■■




 上手い事大岩トカゲの一頭を誘導する事に成功した俺とガーロは、ゆっくりとだが、確実にジュウゾウの方へ向かっていた。


俺だって攻撃を避けながらだったんだ、いくら視界が涙でボヤケてる状態だっつっても、あの巨体だ。

殆ど、後ろを見ながら走って、時々進行方向に視線を戻すくらいだったんだ。


で、或る程度近づいた瞬間、ちょうど視線を前に向けた時には、ジュウゾウが戦っていたトカゲが、ひっくり返りながら壁から剥がれ落ちてきてた。


ジュウゾウは、トカゲに続く様に降ってきて綺麗に着地したんだが、俺達だけじゃなく、ラーダもゴーザも運悪く、俺達を追いかけて来ていたトカゲに視線を送っていた為、アイツが何をしたのか分からなかった。


全く、ツイてねぇなぁ。


ともかく、ド突き合い始めたトカゲをしり目に、可能な限りの道具を回収して、俺たちは二階層目、一階層目を駆け抜けて地上に飛び出し、門を閉めたんだ。


魔物や鉱石なんかにゃ目もくれずに、走り続けられた事に、感謝しなくちゃいけねぇな。



■■■




 それにしてもコイツ(ジュウゾウ)の作戦は無茶苦茶だった。


あんな状況じゃなければ、絶対に実行しなかっただろうな‥‥。


「‥‥まぁ、なんだ。取り敢えず‥‥」


少し溜めて、周りを見渡すと、ジュウゾウ以外の四人と、目が合い頷き合う。


「「「「二度とあの黒い玉は使わねぇぞ!」」」」



「便利ですけどね‥‥、僕の鼻も使い物にならなくなりますけど」


全身血塗れになりながら、地べたに寝転んだ小娘が、俺達の宣言に対して、朗らかに笑った。



男言葉の、変な奴だが、俺たちは誰ともなく、顔を見合わせ、空を見上げて口を揃える。



「「「「コイツとは仲良く出来そうだ」」」」



確信を持って言えた一言と、それに続く六人分の笑い声が、綺麗な夕焼け空に吸い込まれていった。

今回、やっと家に帰れる事になったので、予約が成功していれば、恐らく僕はまだ飛行機の中だと思います!


夜にでも投降できたのは事実ですが、予約の実用も踏まえての実験という事で、ご容赦頂ければ幸いです。


スワセン!

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