♯37 搦手
色々と食い違いが有ったので修正しました!
黒い液体の入った球体が、装備によって底上げされた力を使ったダーフさんによって、岩トカゲに向かって放たれた。
体力消費中という限定条件下のみとはいえ、素早さ上昇が効いたのか、真黒な弾丸が、物凄い速度で岩トカゲに襲いかかる。
『筋力の増加とかって効果は無かったハズだけど‥‥』
まぁ、ファンタジーな世界での出来事だし、物理法則より、魔法則(?)みたいなのが働いてるのかも知れない。
変な方向に思考が傾いている間に、岩トカゲの顔面に、黒い球体がヒットし
「ゴォォオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアア!!!!」
断末魔の絶叫もかくやという勢いで咆哮する。
あの黒い液体、雑草の汁だったりする。
ルゴナ大森林の、比較的明るい所に群生しており、地上部分が、黒っぽい茶色で、汁が途轍もなく臭い。
灸花という別名を持つ草が持つ化学物質か、それに似た何かを持っているのだろう。
森での採取中に踏んで、ひどい目に有った。
で、余りの強烈さに、魔物避けに使えないか。と、ガーバさんに相談したのだ。
「くっせぇぇぇぇぇえええ!!」
と、涙目になりながら、臭球・劇を完成させてくれた。
そんな劇臭を、もろに鼻っ面で受け止めた岩トカゲは、鼻を掻き毟りながら、暴れている。
あ、ベーレさんがドリルナックル持って走ってたけど立ち止まっちゃった。
当たり前か、アレだけ猛烈に暴れている5mくらいの巨体には、誰だって突撃したくないだろうし。
替わりに、ガーロさんがバネ式の、空気銃を使って、鉄球を打ち出している。
バネを、手回し式の歯車で引き、撃ち出す機構を採用している。
かなり昔に作られた事のある銃らしいけれど、詳細が分からなかったので、テキトーで略式な設計図を渡して、それらしく作って貰ったにしては、結構な威力みたいだ。
弾丸は只の球形なのに、しっかりと岩トカゲの皮膚に吸い込まれている。
何発か兆弾してるけど‥‥。
他二名は、万が一に備えての回復役みたいで、前衛三人を真剣に見つめている。
僕?僕は、某変身ヒーローの格好良いセリフを大トカゲに放ってからこっち、左右の手甲で皮膚の薄そうな所を狙ってチクチクやっていた。
手の甲に飛び出す形で展開する、手甲に収納されていたナックルガード(刃物付)でガツンガツン。
其々、攻撃を回避しながら岩の様な堅さの皮膚を削っている。
なんか、デジャヴ感がスゴい。
こんな出鱈目な光景、流石に経験した事無いけど。
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尻尾が短く、全体的にずんぐりとした体形、ちょうど、ツチノコの顔を凶悪にして、太く長くしたワニの前後脚を付けた様な、なんとも言えない体躯のトカゲ。
体長は約5m、全高は、長い手足を伸ばすと、10mくらいだろうか。
今は伏せている様な姿勢で壁に張り付いているから、3~5mくらいだろうか。
名前はヒュージ・ロック・リザードというらしい。
地底河川から遁走する時に、ガーロさんが教えてくれた。
アレだけの大きさでリザードって事は、更に大きなサウルスが居たりするんだろうか‥‥。
いや、変なフラグを立てるのは止めておこう。
僕はこの狩猟が終わったら、レーネさんと結婚しなきゃいけないんだから。
嘘じゃなかったら良いのに。
さて、僕は今、壁に張り付いた大トカゲに、ちくちくとカウンターを当てている最中なんだけど、ここで搦め手を本格的に使っていこう。
簡単に説明すると、岩トカゲを、大トカゲの目の前まで引きずってきて、共食いを狙う作戦だ。
殆ど暴力の様な臭いに耐えかねてか、涙を流して視界がボヤケているであろう岩トカゲを、オッサン達に誘導して貰うのだ。
二頭のトカゲは、距離にして、凡そ30m程度離れているけれど、上手く誘導できれば、成功する公算は高い。
取り敢えず、此方の様子も覗ってくれているゴーザさん経由で、ダーフさんに指示を出す。
『ダーフ敵誘導』『ガーロ敵攻撃』『誘導先ジュウゾウ』
『俺、この作戦が成功したら、集落に帰って族長と結婚するんだ』
こっちは言うまでも無く、真っ赤な嘘だ。




