♯36 洞窟
少し間が空いてしまって済みません。
辻褄合わせに少々手間取っておりました!
違和感が仕事してないと良いんですが‥‥(汗
巨大なトカゲが一体、獲物を狙う様に姿勢を低く保ち、身動ぎを繰り返している。
壁に張り付いたまま僕と攻防を繰り返すもう一体は、威嚇音を出しながら、大木並の太い腕を振り降ろしては、爪を此方に向けて打ち出している。
現状、位置関係としては、僕らがキャンプ地にしようと準備していた小屋の近く、二階層に向かう通路側に五人のドワーフ達。
小屋の入口向かい側の、大きな岩の柱が天井と地面を繋いでいる空間に、新たに出現した巨大な岩トカゲ(便宜上、岩トカゲ)。
そこから、地下河川の有る、別の空間につながる、直径十m程の通路側に、僕と、壁に張り付いた巨大な岩トカゲ(便宜上、大トカゲ)がおり、ドワーフ達と僕は、大体二十mくらいだろうか、距離が有る状態だ。
上から見る事が出来たら、それぞれが三角形の各頂点に居る様に見える。
オッサンとトカゲ達と虎。
マッスル&リザーズwithタイガーだ。
広くなっている空間なので、見渡せば周りに他の魔物が居ない事は分かるけれど、それでも不意に巨大な岩柱の陰から姿を現した岩トカゲの事を考えると、警戒は弱められない。
その事に勿論気が付いている彼らは、周囲を見渡しながら、岩トカゲの動きを注意深く観察しながら、此方に視線を送ってきた。
今は様子を窺っているだけの岩トカゲを、下手に動いて刺激する訳にもいかないし、困惑しているのだろう。
大トカゲと、怒涛の殴り合いを展開しながらちらりと様子を確認してみると、岩トカゲは此方とオッサン達を、首だけ動かして交互に見ている。
これでは、オッサン達が逃げようと動いた時点で、標的が絞られ、混戦は避けられない。
片手間に、オッサン達に『動くな』と身振りで伝えて、戦闘を継続した。
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『さて、それでは搦め手を行使しよう』
僕は、最初から真っ向勝負を挑むつもりは無かった。
装備:
頭 積層装甲式狐面・黒(????)
胴 積層装甲式ブレストプレート
腕 積層装甲式特殊手甲(ナックルガード付)
足 積層装甲式足甲
右 謎金属の小太刀(攻撃力+9%)
左 なし
アクセサリー 白鷹紋の外套・改(防御力+20、耐属性防御+10)
スタングレネード・魔
全身、簡易板金鎧の形に、ゴーノさんが僕の設計図を基に生み出した積層装甲板を、木綿で織られた服に固定した一揃えの鎧を装備している。
因みに、狐のお面は、僕が以前趣味で作りまくっていた張り子のお面を基に、積層装甲を使用して作って貰った、お洒落装備だ。
青白い靄みたいな物が漂っているから、魔法付与装備だと言われたけれど、誰にも効果が分からない以上、無いのと一緒だし。
積層装甲は、簡単に説明すると、あらゆる性質を持つ板等を張り合わせて、或いは組み合わせて着用者を保護する物。
オーバーテクノロジー気味かもしれないけど、魔法による効果追加(魔法付与)なんてものが存在する以上、多少は多めに見て貰おう。
これに、各装甲板の隙間に、隠し投擲用ナイフを合計15本。
謎金属は、古今東西、伝説に至るまで、僕の持つ全知識を総動員して、ゴーノさんに伝えた結果、彼自身すら、見た事の無い材質の武器が出来たらしい。
依頼してから、呼び出されるまでの間に、実用品となったのは、この一振りだった。
そして、白い外套。
僕が川でレーネさんに救われた(掬われた?)時に、僕に絡まっていたらしい。
なんか懐かしい様な、変な感じで引っかかる(二重の意味でだ)けど、取り合えずソレは置いといて、これに地球の紡績技術を伝えて、改造して貰った物だ。
元々のエンチャントの素早さプラスが、内部各所に配された装甲板の重さで打ち消されたらしいけれど、すごく動きやすい、良い物に仕上がったと思う。
ドワーフさんの技術力様々だ。
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さて、状況を精査しよう。
大トカゲの攻撃は、速度・威力共に、ゴーノさんの三倍程度に感じられる。
恐らく、種族的な地力の差で、ドワーフ達5人で戦っても、岩トカゲには勝てないだろう。
普通に戦ったらね。
集落を出る直前に、整えて貰っていた各種装備。
くふふふふ。
トカゲと戦いながら、ついついニヤけつつ、これから扱う装備達に、想いを馳せた。
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集落を出る前に、ガーバさん発案という事にして貰って、狩猟序でに試験運用をして貰えるように、全員に話をして貰った。
魔力を消費して回転する、溝の入った、円錐状の金属が付いたグローブ。
体力を消費して、素早さを三倍にし、赤色発光する金属鎧。
対象に投げつけて、当たった瞬間に破裂して、中身をぶちまける球体等。
狩猟班の五人は、見た事も無い装備に戸惑いながらも、自分に有った装備を選んで、着用ないしは、携行用のバッグに詰めていた。
移動中、試しに発動して貰った時に、森の一部の地面が盛大に抉れたのは、帰ったら族長に謝らないといけないけれど、こればかりは仕方ない。
念には念を入れての試験運用前の試運転だ。
僕が使った時は、元ネタのイメージが有り、最適な制御が出来たけれど、オッサン達にぶっつけ本番で使って貰える程、僕はチャレンジャーじゃないのだ。
で、漸く本題。
此方を見て、岩トカゲを見て、もう一度此方に視線を送ってきたドワーフ達に、大きく頷く。
僕も腰に括り付けた鞘に小太刀を戻し、手甲に魔力を注ぐ。
あらかじめ決めておいたハンドサインを、球体を持ったダーフさんに見える様に送りながら、一旦大トカゲと距離をとって後、クラウチングスタートの形に構えた。
「さぁ、ショウタイムだ!」
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ジュウゾウがこっちに向けて、ハンドサイン『球体投擲』を寄こした。
身動きが出来なかった俺は、慌ててトカゲ野郎に思い切り、黒い水の入った玉を投げつけた。
一揃えで渡された装備の内、キャンプ地での準備中で、装備するのが間に合った、腕と足の鎧の効果を発動して、体力が削られる嫌な感じを受けながら、長い柄の付いた鉈を振り上げて走り出した。
後ろから、鍛冶師のベーレが、【どりるなっくる】を発動させて追従する。
甲高い音をさせて走り出したベーレの後ろには、金属製の、見た事も無い形の奇妙な筒を構えたガーロが、丸く磨かれた鉄球を撃ち出している。
頭上を風切り音と共に異常な早さで突き抜ける鉄球に冷やりとしながら駆ける俺達。
ラーダは、ゴーザが回復と強化魔法に集中できるように、折りたたみ式の不思議な盾を持って、タチと呼ばれる片刃の剣を構えている。
いや、絶対やべぇと思ったんだ。
相手はヒュージ・ロック・リザードだ。
この洞窟の、地下深くに生息して、こっちまで昇ってくる事なんて無いハズの化け物。
特徴を聞いて知っていたからコイツがソレだと分かったものの、実物は見た事も無いし、正直ビビってた。
だから、最初にジュウゾウに伝令を頼んで、俺達でここを死守するつもりだった。
いくら効果がスゲェったって、使いなれてない装備品なんて、信用も何も有ったもんじゃないしな。
でも、効果は絶大だった。
流石、ガーバのおやじだ。




