♯40 会議
気がつけば40話です。
ここまで続けられているのも、温かく見守って下さる皆様のお陰です。
改めまして、有難う御座います!
オッサン達と僕が洞窟から生還し、明けて早朝。
集会所には、族長であるバーンさんを含め、7人が集まっていた。
一番奥の上座にバーンさん。
その両隣りには、ゴーノさんとダーフさん。
さらにその隣には、ガーバさんと、集落で一番の年長者兼、司祭の、ラータさんが対面に座っている。
最後に、ガーロさん、ガーロさんの対面に僕だ。
「改めて言うが、俺ぁ反対だぜ」
昨晩、大岩トカゲの話が出た時にも反対したらしいゴーノさん。
何でも、以前冒険者として旅をしていた時に、別のチームと共闘中、何名か犠牲を出したらしく、余りにも危険度が高い為、今回の件は、GOサインを出したくないらしい。
「しかしなぁ、このままじゃ、いつまでもログロで材料調達が出来ないって事になっちまう‥‥」
勿論、集落の損益を考えると、バーンさんの言う事も尤もだ。
実際、僕だって一人で戦ってた時に、全身血塗れにされた(集会所に到着する前に、ラータさんに治療して貰ったので、今は全快済)し、相手が手負いで有る以上、次も上手くいくとは限らない。
手負いの熊ほど恐ろしい。というヤツだ。
一応、集落の男女問わず、洞窟での対大岩トカゲ戦を想定して、何人もの精鋭が集会所の外に待機しているけれど、一番強いゴーノさんの、凡そ三倍以上強いと感じたあのトカゲだ。
最悪の事態も、考えられる。
誰かが意見を言っては、危険性の話になり
誰かが意見を言っては、今後の身の振り方の話が出る。
いくら早朝会議を行おうと、これでは出発も昼になってしまうのでは‥‥。
なんて思いながら、僕はレーネさんとの朝食を夢想していた。
因みに、彼女はぐっすり寝ていて起きなかったので、そのまま寝かせてきた。
レーネさんの寝顔は、まるで天使のソレだったね。実際。
早く帰って、朝ごはん食べたいなぁ。
いつまでも話し合いが続きそうな集会所に、朝の光が差し込み始めた時、不意にラータさんが声を上げた。
しわがれた声の割に力強い、不思議な印象の声音で、爆弾を投下してきた。
「そこの獣人と儂の二人で十分じゃろ」
全員があっけにとられていた為、僕の
「ファッ!?」
というセリフだけが、部屋の中に響いた。
『えぇぇぇ‥‥、そういう感じぃ?』
まぁ、これにも訳が有るんだけど‥‥。
■■■
誰かが近づく足音で、意識が覚醒する。
『この足音‥‥、ラータ婆さんかな‥‥』
意識が覚醒しても、体は失血やらでダルンダルンの僕は、扉の前に立つ客人を暫し待たせる形で、外に向かう。
寝る前は僕の頭を抱えていたレーネさんも、今は僕の腕枕+僕自身を抱き枕に、ぐっすりと眠っている。
遊女の様に艶かしく絡みつく足を手(足?)放すのは、心底惜しいけれど、こればかりは仕方ない。
優しくレーネさんから離れ、起こしてしまわない様、細心の注意を払って、書置きを残し、扉をくぐった。
「遅かったじゃないか、あまり老人を待たせるもんじゃないよ」
「済みません、離れるには、余りに惜しい桃源郷に居たものですから」
僕の一言に眉を寄せ、持ってる杖で額を小突いて来るラータさん。
「そりゃ、悪い事をしたね。それじゃ、ちょいと面ぁ貸しな」
御歳三桁の、闊達な婆さんに招待され、ラータさんの診療所兼自宅に向かう。
中に通されて、先ず治癒魔法をかけられた。
大声で呪文を唱える訳でもないんだから、レーネさん家の前でも良かった、みたいな事を言ったら
「若者が甘えるもんじゃない、儂を待たせて鼻の下ぁ伸ばしてた罰さね」
建前と本音を、使い分けずにぶつけてくる感じは、嫌いじゃないけどね。
「ふむ、レベルが上がったって話は、どうやら本当みたいだね」
僕の顔をまじまじと眺めながら、そう教えてくれたのは、治療を終えて、少し話をしている最中だった。
ラータさんは、歴史の長いドワーフの中でも、特に司祭としての力が強いらしく、通常は司祭の上位版である、神官等が使えるスキルを、限定的ながら使う事が出来るとか。
その為、僕の個人レベルと、職業レベルが、両方上がった事実を、数字で教えてくれたのだった。
獣人 Lv,31
放浪者Lv,23
との事。
因みに、ゴーノさんが戦士Lv,7で、その他のドワーフが、軒並みLv,5くらいまでらしい。
ラータさんは、まさかの司祭lv,80だとか。
めっちゃ強いじゃん、婆さん。
まぁ、レベルが高くても、歳をとると、やはり身体能力やらはガクンと落ちるらしいから、司祭としての力だけが、残っているみたいだけど。
「レベル通りに、強くなっていれば良いんですけどね‥‥」
話の最後にそう締め括り、集会所に向かう為に立ち上がって伸びをする僕に
「ふぇっふぇっふぇ、何、お前さんはまだまだ強くなるだろうさ」
と、意味不明な言葉を向けられた。
取り敢えず
「なんじゃそりゃー」
とだけ返して、今度こそ僕達は、会議の場へと足を運ぶのだった。
まさかの鍛冶師ガーバの師匠がラータさんになってました!焦ったw
ゴーザさんの師匠がラータさんです、修正しました。




