♯30 恋敵
時々、こういうギャグ回も挟んでいきます。
今までも有った様な気がしますが‥‥w
「だかラ、勇者が来てくれたかラ、言葉の日本語が使えましタ」
うーん、惜しいです、バーンさん。
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僕は今、ドワーフのバーンさんの家に来ている。
バーンさんは、ここ、ヴォルパ族の集落の族長で、御歳90歳前後(詳細不明らしい)。
この世界でも長命らしいドワーフの中では、まだまだ若造らしいけれど、一つの集落を治めているという事実は、つまりそのまま、彼のリーダーとしての才能を裏打ちしていると言える。
日本語は少し残念ながら、それでも、人懐っこい笑顔と、豪快な性格も相まって、気の良い田舎のオジさんの様な印象だ。
他にも、族長一家に、レーネさん宅のご近所さんの六人家族や、集落で一番の鍛冶師、最年長の司祭のお婆さん、そして、元冒険者のトラウマーフ
『あんた冒険者だったんかい!』
とも顔見知りになれたので、集落での暮らしは、かなり良い経験になったのだった。
ともあれ、集落での生活も一月を迎える頃、いよいよ森での、本格的な狩りに同行する許可が出たので、元冒険者のトラウマーフこと、ゴーノさんに稽古を付けて貰う事になった。
今までも稽古は付けて貰っていたけれど、、弓の射かたや、森に出現する中型のトカゲや、大型のバッタ、ウサギやクマの様な大型の肉食獣
『ウサギが肉食獣のカテゴライズって』
への対処方法等、サバイバルでの外敵対処訓練という趣が強かった。
狩りに出るとなると、遭遇率は高くないものの、オークやトロール等の(ファンタジー御用達な)大型の人型魔物と遭遇する可能性も有り、自分の命も守れない様では、狩りには出られないとの事だった。
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ゴーノさんは木製の斧を、僕は、自分で作った木刀を手に、初めて出会った集会所の裏手にある、ちょっとした庭で対峙していた。
「良いか?まずは俺に一撃でも入れてみせろ!」
「承知しました」
ゴツゴツと隆起した両の腕は、僕の太ももくらいは有りそうな印象で、引退して久しいとはいえ、歴戦の猛者であるゴーノさんの迫力は、かなり威圧的だった。
『師匠とどっちが強いかなぁ』
いくら木製の斧とはいえ、当たったら確実に痛いので、気を緩める事は出来ない。
けれど、牧歌的な印象の強いこの集落の雰囲気と、今まで近くの森で食材の採取等の為、戦闘は無くとも、外出していた事、そして、僕が以前の体だった時に殴り合った師匠の人間離れした強さを思い返すと、威圧感は有るものの、ゴーノさんに恐怖を感じるという事は、残念ながら無かった。
「じゅーぞー、怪我したらだめだよー」
レーネさんの声援(?)も、緊張感を薄れさせる要因となっているけれど、それはヒミツ。
「じゃ、始めようか!」
レーネさんに曖昧な笑顔を向けていると、視界の端でゴーノさんが声を上げた。
『完全に不意打ちじゃないですかー!やだー!』
いきなりの模擬戦開始。慌てて木刀を構えて、筋肉モリモリマッチョマンのドワーフに切っ先を向けた。
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いや、全く大したもんだ!
俺の名はゴーノ、この村きっての腕っ節を誇る、ドワーフの戦士だ!
俺の嫁(予定)のレーネが拾ってきた獣人、ジュウゾウは、はっきり言って、滅茶苦茶な強さで、俺じゃ全く歯が立たなかった!
森に薪を拾いに行った彼女が、出ていくときに背負っていた背負子の替わりに、青い毛皮を持つ獣人を拾ってきた。
その時は、獣人が雌で有る事を確認して安堵したものだが、奴はあろうことか、昔は男だったとか言っていたらしい。
族長の話じゃ、不思議な力の波動を感じるとか、訳の分からない事を言っていたから、いつでもレーネを助けられるよう、彼女の家の近くを警戒していたくらいだった。
途中、彼女にはしこたま怒られたが‥‥。
ともかく、俺としては、いきなり現れて、彼女の隣を奪っていった奴が、気に食わなかったのだ!
話してみると気の良い奴だと思ったし、冒険者の頃に出会った貴族の令嬢(人間にしては、優しかったから、惚れそうになった)みたいな、柔らかい物腰も備えてはいる。
気に食わないけど、嫌いになれない。そんなイライラする状況で、族長とレーネから、アイツの狩りへの同行について意見を聞かれて、今回の模擬戦(決闘)を、俺は思いついたのだった。
しかし、これがまた尋常じゃねぇ!
最初に不意打ち気味で切り掛かってみたが、此方に視線を向けたかどうかの一瞬で、アイツは俺の一撃を紙一重でかわしやがった!
レーネを見ていた体の向きからは、反対から斧を振るったのにも関わらずだ!
続く連打も、アイツの体に、一発どころか一掠りも当てられなかった‥‥。
戦士レベル30、ドワーフのレベルは48で、冒険者としては、騎士級への昇格も間近だったこの俺の攻撃が、だ。
息が切れてきた俺を、見た事も無い動きで翻弄し、最終的には武器を弾き飛ばされる。
戦士としては、再起不能になりそうな衝撃を受けたのは、言うまでも無いだろう。
しかし、俺も男だ!潔く負けを認め、強き友と出会えた事を、ドワーフの英雄神、ラウー・シーに感謝する。
‥‥‥勿論、レーネは諦めないぞ!それとこれとは話が別だ!
ジュウゾウに、笑顔で駆け寄り称賛を贈るレーネを見て肩を落とす。
『あぁ、そうだ‥‥、族長に報告に行かなきゃだな‥‥』
「ゴーノさん!じゅーぞーのおけいこ、ありがとう!」
まぶしい笑顔にクラッときながら、グッと親指を立てて応える。
『可憐だ、結婚したい』
ジュウゾウ!俺は負けんぞ!!絶対になぁ!!




