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召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第三部 生還 生活 制裁

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♯29 恩人

19日更新分の二話目です。先に28話をお読みいただけると幸いです。

 ドワーフさんは、気の良い人たちが多い!



ドワーフの集落の一つ、ヴォルパ族の族長バーンさんから、色々と話を聞いたのが二週間程前になる。


どうやら僕は、森の中の川に浮かんでいたところを、薪拾いに出た、レーネという女性に拾われたらしい。


因みに、このレーネさん。

僕が目を覚ました時に、集会所で番をしていたゴーノさん(トラウマーフと心で呼んでいる)と入れ替わりに現れた女の子で、実は御歳16、7歳らしい。


二年前に、既に成人していると聞いて心底驚いた。


 見た目が一桁(ワンナンバー)だったから、てっきり村娘的な少女だと思ったのは、秘密だ。



で、この集落の者が拾った以上、拾った者に所有権が有るらしく、僕はレーネさんの家に厄介になる事になった。



安全面とか、考えないのかと思ったけど、どうやら川でプカっていた僕を軽々と担ぎあげる程の力を備えている様で、しかも、集落にいるドワーフの成人は、男女を問わず、皆が力持ちと言う事で、自衛力には自信が有るのだ。と言われた。


取り敢えず、集落での仕事を手伝えば、三食昼寝付きで時々木の実等のおやつも出る為、僕としては文句の出ようも無いのだ。


しかも、ドワーフ達の話している言葉も教えて貰えた為、彼女は僕の命と生活の恩人なのだ。


恨み事など、しぼりだそうとしても出てこないのである。




■■■



 勿論、平和な精神状態に回帰を果たすまでには、目覚めてからの数時間を要した。



何せ24年間片時も離れなかった盟友(マイサン)が消えて、代わりになだらかな二つの膨らみが生えていたのだ。


しかも、肘、膝から先には青い毛に、濃紺の縞模様。


意識を向ければ太くて頑丈そうな、鋭い爪まで出てくる始末。



後ろを振り返れば、腰のあたりから尻尾は生えているし、頭には丸みを帯びた、ふさふさの獣耳まで有るのだから、半日はご飯が喉を通らなくても、仕方のない話と言える。



『お腹が空いていたんだから仕方ないじゃないですか!』


えぇ、まぁ、はたから見たら、空腹に屈した惰弱な精神構造が垣間見えた事と思います。


実際、何て言ったら良いか分からないけれど、何となく、余り違和感が無かったって言うのも、大きかったかも知れない。


まるで、この状態を経験した事が有る様な気がしたのだ。


我ながら意味分かんないけど。



 そんな訳で、レーネさんと一緒に森に出かけて、薪や食料を採取する時に湖の畔で自分の姿を見ても


『へぇ、こんな風になってたんだ』


くらいの感想しか出てこなかった。


因みに、レーネさんとした水浴びは、とても気持ち良かったです。


スケベな意味じゃなくね。いや、ホントに。





■■■




 今僕は、レーネさんの家(兼、僕の居候先)で、お昼の休憩がてら、言葉を教えて貰っている。


「んー、じゃあ、朝食べた料理の名前は?」


「蒸かし芋と、イラエ草と干し肉のスープ、後はカルカラのゆで卵です」


「うん、正解!すごいね、じゅーぞー、もう日常会話ならこまらないよー」


舌足らずに僕を褒めるレーネさんの笑顔は、僕の心を癒してくれる。


見た目も相まって、小さい子が、妹や弟を前に背伸びしているような印象をうけ、実年齢が関係無いくらい、ほほえましい可愛らしさが有った。


こうして、目の保養をしつつ、平和なお昼のひと時を過ごして、午後からは集落の中で働く。


家屋の修理や、薬草を届けたり、動物や畑の世話もする。


集落全体の持ち回りで分担している為、各々の負担は少なく、集落の全員と顔見知りになれるという、豪華特典付き。


因みに、背格好は余り変わらないものの、子供達もおり、男の子は髭もじゃでは無かった。


もさもさで生まれてこられても、大人たちを見る限り不思議ではないと思ってしまう辺り、少し失礼かも知れない。

言わなければバレないだろうから、黙っておこう。



一日の仕事を終えて夕飯を食べた後、族長に挨拶がてら、勉強の成果発表と、この世界の話を聞く事を日課にしており、情報は思ったより広く集まった。


冒険者や、街での出稼ぎから帰った人たちの話を聞く事も出来るので、実に有意義な毎日を過ごせている。



で、日課が終わったら、レーネさんと一緒に眠る。


一つの布団(布団と言うか、ゴザとぼろ布だけど)で一緒に眠る。



心底、体が女性になっていて良かったと思った。


命の恩人を襲いましたとか、何処までも畜生すぎる。


まぁ、僕は紳士だからそんな間違いは起きなかっただろうけど!

外堀から埋める的な意味で!



 冗談はさておき、こうしてドワーフと共に暮らし、時には元冒険者に鍛えられ、時には命の恩人にムラムラしつつ、平和な時間を過ごす僕だった。


気がつけば30話です!これもひとえに、いつも読んで下さっている皆様のお陰です。

改めまして、いつもありがとうございます!

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