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転生クエスト - ヤンキーが異世界に転生したら -  作者: 早手祐也
【第二章】 モンスターアイランド
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2-七色の光

 火口の中はごつごつした岩肌に囲まれおり、予想以上に広大な空間が広がっていた。

 休火山なのか熔岩で溢れていることはなかったが、代わりに無数のドラゴンがセトを待ち構えていたのである。


 下位龍のワイアームに中位龍であるレッサードラゴンが群れをなしてセトに襲いかかってきたのだ。


 ワイアームは蛇のような胴体に翼を持つドラゴンであり、レッサードラゴンは茶色い鱗におおわれた西洋風の外観をしたドラゴンだ。

 計百体近くはいるだろうか。

 さすがに全てを相手にするのは面倒と感じたのか、セトはダークオーラを発動し龍王の貫禄を放つ。

 STR系スキルの龍王の貫禄は、耐性のないモンスターを一発で気絶させることがスキルである。

 ダークオーラでSTRを二倍に増強させた龍王の貫禄は、よほど強い耐性を持たない限りは防ぐことが不可能だ。

 ドラゴンワームとレッサードラゴンは次々と気を失い火口へと落ちていくのであった。


「雑魚は雑魚らしく大人しくしておくのじゃ」


 雑魚を全て気絶させたセトであったが、意識を保っているドラゴンが数体いることに気付く。


「ほう……。上位龍が三体か」


 三体のグレータードラゴンがセトを取り囲むように殺気を放っていた。

 グレータードラゴンから一斉にファイアーブレスが吐き出される。

 多重障壁で防ぐと思いきやセトは、ハイランダーブーツの飛行効果を使いブレスの隙間を潜り抜け、一体を爆殺滅龍剣で上段から降り下ろし切りつけた。

 グレータードラゴンは剣のノックバック効果で吹き飛ばされながら光の粒子となって消えていく。

 不意を突かれて怯んでいる残り二体に高速で近付き、あっという間に切り伏せるセト。


 ダークオーラをまとったセトは上位龍すら一撃で仕留めてしまう驚愕な強さであったのだ。


「ふむ……。上位龍といってもこんなもんか」


 黒龍王に昇格する前であればこうもいかないのだが、予想外に手応えがなく微妙にがっかりしているセトである。


 再び火口の底へと向かって降下を始めるセト。

 下位龍、中位龍の全ては気絶し無力化させられ、上位龍までもが一撃で切り捨てられてしまう始末である。

 この状況に驚異を感じたのか、これ以上襲いかかってくる龍もいなく、火口の底へとスムーズに降り立つことができた。


 火口の底には龍王の貫禄で墜落した龍がそこら中に転がっている。

 まだ息があるようだが気を失ったままであった。


「うーむ……。邪魔くさいのう」


 地面に転がる龍を根こそぎダークインフェルノで凪ぎ払うセト。

 掃除でもしているつもりなのか、きれいになった地面を満足そうな笑みを浮かべ眺めるセトがそこにいた。


 再びアイテムボックスからバイクを取り出したセトは、マップホンに表示されているマーカーを目指してバイクを走らせる。


 日の光が微かに射し込み多少の明るさはあったが、セトはバイクのヘッドライトを付ける。


「おお! 魔法のように明るくなるのう!」


 初めて付けたヘッドライトにご満悦なセトであった。


 ちょっと進むとすぐに大きな横穴が見えてきた。

 横穴は奥へと続いており、洞窟のようになっているようだ。

 セトは戸惑うことなく洞窟の中へとバイクを走らせていく。

 迷うことなくマーカーに向かって一直線に進んでいくと、奥に七色の光が見えてきた。


「なんじゃあの光は?」


 近づいてくる毎に七色の光は明るさを増していき、ヘッドライトを消しても充分なほどの光量となる。


 マーカーが止まっている終着点でセトを待ち構えていたのは――


 二体のアークドラゴンを両脇に従えたレインボードラゴンの姿だった。


 灰色の鱗におおわれている西洋風の外観しているアークドラゴンに対し、レインボードラゴンは体全体が七色に輝いていた。


 アークドラゴンは二十メートルを悠に越える巨大さであるが、レインボードラゴンはさらにその一回りは大きい。

 しかし、他の筋骨粒々な龍族と比べるとスレンダーな体型をしており、心なしか気品なようなものを感じさせる。

 おそらく雌の龍なのであろう。


「レインボードラゴン様! さきほどお話しいたしました黒龍王はこやつでございます!」


 レインボードラゴンの足元にはセトがわざと逃がしたドラゴノイドとワイバーンがいた。


「お前の主はレインボードラゴンじゃったか。希少種が主とは珍しいのう」


 アスナルドに生息するレインボードラゴンの個体数はかなり少ない。

 七色に光る体は目立ち、幼体のうちに殺されてしまう可能性が高いからだ。

 上位龍といっても幼体のうちは下位龍ですら簡単に仕留められる弱さである。

 サクヤのネームオーダーで成体として突然生まれたからこその奇跡とでもいえるかもしれない。


「あなたが黒龍王ですか。寸分違わぬ人の姿……只者ではありませんね。誰の命令で我が里を侵略したのかお聞かせいただいても?」

「ここの龍族を制圧するのは、我が友であるサクヤの願いじゃ」

「サクヤ? それは貴方より強い龍なのですか?」

「ガッハハハ! サクヤが龍じゃと? ヤツは人間じゃ!」

「人間……!? 人間の願いを聞き、貴方は龍族の同胞を次々と殺戮したのですか!?」


 龍族からすると人間は下位の存在でしかない。

 黒龍王という上位の中でもさらに上位といわれる龍が人間の願いを聞き届けるなんてことは考えられなかったのだ。


「何やら勘違いしているようじゃがのう。我はお主らの仲間を一体足りとも殺してはおらんぞ」


 レインボードラゴンの横に控えていたアークドラゴンから強烈な殺気がみなぎる。


「貴様っ! この期に及んで命乞いか! 同胞の気配が山から次々と消えいったのは紛れもない事実だ! 言い訳とは見苦しいぞ!」

「説明するのも面倒臭いのう……。体験してみたほうが早いのではないか?」


 バイクから降りて剣を構えたセトは、瞬時に左前方のアークドラゴンに詰めよる。


「龍翔転瞬!」


 下から剣先で突き上げる強烈な一閃によりアークドラゴンを上空に吹き飛ばされ天井へと激突する。

 続いてサイドステップでもう一体のアークドラゴンに距離を詰め――


「九頭龍牙連斬!」


 超高速の九連斬が上下左右あらゆる方向からアークドラゴンを切り裂いた。

 連斬が最後まで終わることなくアークドラゴンは光の粒子となり消えていくのであった。

 既にもう一体のアークドラゴンの姿も見えず、龍翔転瞬一発で消えてしまったようだ。


「またしても同胞が……もはや貴方を許すことはできません!」

「だから殺しておらんといっておるのに……」

「現に目の前で消滅してしまったではないですか!」「消滅ではなくサクヤの元へ転送されただけじゃ。龍族は切られたら、死体が消える種族じゃったか?」

「レインボードラゴン様。確かに切られただけで死体ごと消滅するといのは……いささかおかしいかと思われます……」


 セトにいわれことを吟味し冷静になったのかドラゴノイドが箴言をする。


「……仮に転送されたとしましょう。そのあと同胞はどうなるのですか?」

「むっ!? 特に聞いてはおらんが……世界征服のための兵隊にでもされるのではないか?」


 頭を項垂れて沈黙するレインボードラゴン。


「まあ、実際にどうなるかは知らん! サクヤに会って聞いてみたらいいではないか」

「そうですね……正直、私でも貴方に勝てる気はしません。サクヤという人間に会わせていただけますか?」

「よかろう」


 レインボードラゴンとしてもこのまま大人しく殺られるわけにはいかない。

 正しい状況を把握してから行動を起こすために、苦渋の決断をしたのだ。


 セトのいっていることが本当であり、転送されただけなのであれば、同胞を再びまとめ上げ、隙を見て敵を討つ機会を伺う。

 セトのいっていることが嘘だった場合は、刺し違えてでも同胞の仇を討つつもりでいた。


 この山に残る龍はレインボードラゴン、ドラゴノイド、ワイバーンの三体のみである。

 残りは全てセトに殲滅させられていた。


「では、城に転移するとするか。ドラゴノイド、我の体に触れるのじゃ」

「体に触れる……?」

「転移するから、早ようせい!」


 ドラゴノイドが体に触れたのを確認するとセトはレインボードラゴンとワイバーンの体に手を触れ、一瞬で咆哮・龍牙城の前まで転移したのであった。

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