48-ペット
「お兄ちゃん! ただいまー!」
「おう、お帰り! ずいぶん遅かったな」
「んー? あそんでたー!」
「遊んでた? 寄り道でもしていたのか?」
「んー? このネコとあんでたー」
猫と遊んでいたとは……遊ばれたネコマタは大変憐れである。
「そいつがネコマタか? 黒いネコマタか」
黒いネコマタではなく、焦げて真っ黒になっているだけである。
「は!? ここはどこにゃ?」
瀕死のはずが、セクメトに首根っこをつかまれたままの状態で口を開くネコマタ。
「ん!? 瀕死にしそこねたのか? それとも瀕死で口を聞けるだけの根性があるのか?」
どっちも外れなのだが、このあと咲哉がステータスを確認し、すぐその原因が明らかになる。
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【ステータス】
名前:ネコマタ
種族:獣族
種別:妖獣
ランク:EX
属性:光
称号:神饌泥棒
LV:74
HP:2135/18432
MP:6489/37159
STR:2814
INT:4654
DEX:1839
AGI:5837
特性:耐光(大)
STR系スキル:ネコマタパンチ・ネコマタキック・ネコマタテイル・ネコマタラッシュ・ネコマタボンバー
INT系スキル:精霊魔法・幻影魔法・軟化魔法
DEX系スキル:メガリカバリー
AGI系スキル:ネコマタダッシュ
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ネコマタは常時発動スキルのメガリカバリーでダメージ部位が徐々に再生されており、HPが回復していたのだった。
それに気付いた咲哉は顎をクイッとネコマタに向けセクメトに指示を出す。
「セクメト、まだ瀕死じゃないぞ」
顎をクイッとやるその仕草は、『セクメト、やれっ!』といっているかの如く悪役にしか見えない。
「わかったー! 火遁・猛火滅却ぅ!」
「にゃー!」
憐れな声が医療施設に響き渡り、あっという間にネコマタの丸焼きができあがった。
一日で何度も丸焼きにされることなどそうはないだろうから、ある意味貴重な経験かもしれない。
まあ、そんな経験は誰もしたくないだろうが……。
「よし。じゃあ、取り込むぞ。モンスターイート!」
瀕死になったネコマタをモンスターイートで取り込む咲哉。
今にして思えば、ネコマタは完全に戦意を喪失していただろうから、わざわざ瀕死にして取り込む必要はなかったかもしれない。
色んな意味で憐れなネコマタである。
「よし。すぐに召喚するぞ。モンスターサモン! ネコマタ!」
咲哉の前に真っ黒焦げの状態が完全回復した白いネコマタが現れる。
「あー、こいつは驚きだな。白いネコマタだったとは……」
「白い毛並みが自慢にゃー!」
何事もなかったように白い毛並みが自慢といい放つネコマタ。
猫が忘れっぽいというのは本当のようである。
「よし! 気に入った! お前は俺のペットにしてやろう!」
部下ではなくペットにしてやるとは、どういう風の吹き回しだろうか。
人型の猫をペットにするなど、エッチぃイメージしか連想できないが、咲哉に限ってはそんなことなさそうである。
「ネコマタは人間のペットになんてならないにゃ!」
「ほう……」
優しくしていれば付け上がりやがって……といわんばかりに咲哉の顔が険しくなる。
「セクメト、こいつは俺のペットになるのが嫌だといっているが、どう思う?」
「んー? お兄ちゃんのいうこときかないならー、丸焼きー?」
「にゃ、にゃ、にゃ! 動物虐待はいけないにゃ!」
「お前は動物じゃなく妖獣だろ?」
「……にゃ?」
可愛く両手で猫招きポーズをしながら首をかしげるネコマタはであったが、ご機嫌斜めになった咲哉には無意味である。
「丸焼きか、俺のペットになるか、どちらか選べ」
さっきから悪役にしか見えない咲哉であるが、彼がこの物語の主人公であることを忘れないで欲しい。
「じゃあ……ペットで……」
語尾に『にゃ』をつけ忘れるほど精神的ダメージを受けている憐れなネコマタであった。
「そうか。素直が一番だぞ。俺はペットには優しいからな。そうだなー、何か望みはあるか?」
「望みかにゃ?」
「そうだ。待遇の要望でもいいし、欲しい物があるなら何でもくれてやろう」
飴と鞭を使い分けているようだが、『世界の半分をやるから仲間になれ』と勇者をそそのかしている大魔王にしか見えないのは気のせいだろうか。
「何でも……じゃあ、三食昼寝つきで食事には必ず魚が欲しいにゃ。週一回くらいはマタタビを、あっ、あと、たまにでいいからブラッシングをして、毛並みを整えて欲しいにゃ」
「あん? そんなんでいいのか?」
「にゃ、にゃんですと!」
ネコマタ的には、いっぱいわがままをいったつもりらしかった。
しかし、咲哉からするとどれも大したことではない。
ネコマタといっても元は猫であるから、考えられる要望などはたかが知れていたのであった。
「もう思い付かないにゃー!」
「まあ、思い付いたときにいってくれればいい」
「ありがとにゃー! ペットも悪くないかもしれないにゃ!」
ネコマタは予想以上にちょろかったようである。
咲哉の飴と鞭であっという間に陥落されてしまったのであった。
「ペットには名前がないとな。どんな名前にするか……」
ペットうんぬんじゃなく取り込んだモンスター全てに名前を付けているのだが、ペットの名前と聞くと途端に可愛く感じるから不思議である。
「そうだな……お前の名前は、¨妖獣王・ネメア¨だ!」
ネームオーダーの効果によりネコマタの全身が金色へと変化した。
「おお! 神々しい姿じゃないか」
「金色は嫌にゃ……」
ネコマタ改め、ネメアは金色がお気に召さなかったらしい。
「じゃあ、何色がいいんだ?」
「桃色……うーん、その日の気分によって色んな色に変わると嬉しいにゃ」
気分によって色が変わるとは、かなり無茶振りな要望である。
しかし、咲哉は――
「それは面白いかもしれないな」
予想以上に乗り気であった。
「ベースは桃色……いや、白だな。あとは、そうだな……よし!」
咲哉は何やら思い付いたようである。
「ベースの色は前と同じく白色にして、変化できるようにする。この首輪を着けろ。ペットといえば首輪だからな」
咲哉がそういうと、ネメアの体は白色へと戻った。
「元の色に戻ったにゃ。首輪を着けてみるにゃー」
特に嫌がる様子もなく首輪を着けようとするネメア。
しかし、ここで問題が発生する。
「つっ、着けれないにゃ!」
ネメアの手は人と違い、猫と同じ手をしていたのだ。
猫の手で首輪のように器用なものを着けれるわけがない。
咲哉から受け取る前に気付きそうなことであるが、所詮は猫の頭である。
「しょうがないやつだな。ほれ、後ろを向け」
ネメアから首輪を受け取り後ろから着けてあげる咲哉であったが、そのとき触れた髪がサラサラしていて気持ち良かったということは咲哉だけの秘密である。
「ありがとにゃあ! これで色を変えれるのかにゃ?」
「その通りだ!」
どや顔の咲哉が色を変えるだけの仕様で終わらせるわけがない。
どんな風に変化するかは……後のお楽しみである。
すんません……更新時間がちょっと遅れました。
お詫びに今日はもう一話アップするということでご勘弁。
夜までに更新できればなと思っていますが、時間は未定ということでお楽しみに~♪




