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転生クエスト - ヤンキーが異世界に転生したら -  作者: 早手祐也
【第一章】 モンスターカーニバル
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35-レジェンドアイテム

 スパルナが食べ終わるのをしぶしぶ待つことにした咲哉だったが、ラーンに伝え忘れていることがあることを思い出した。


「ラーン。今すぐ、¨ウォーターアドレナリン解除¨といえ」

「え!? ウォーターアドレナリン解除……これでいいか?」

「オーケーだ」


 咲哉が首輪に追加したウォーターアドレナリンは、ラーンの体表を薄い水の膜でおおう効果である。

 薄い水の膜といっても、ラーンが触ったところや歩いた場所には水が付いてしまう。

 この状態を解除しないと、塵も積もれば山となるということで、少ないながらも水浸しを作ってしまうことになるのだ。

 そのことをきちんとラーンに説明し、必要ないときは解除させることにした咲哉であった。

 ラーンに触られる度に濡れ濡れになるのは勘弁である。


「あー、思えば、スパルナのステータスを確認していなかったな」


 ラーンのステータスは確認したが、スパルナのは確認していなかったと思い出し、咲哉はアナライズスコープを発動する。


-----------


【ステータス】


 名前:霊鳥王・スパルナ

 種族:鳥族

 種別:霊鳥王

 ランク:EX

 属性:風・光

 称号:大暴風


 LV:84

 HP:61873/61873

 MP:68328/68328

 STR:5096

 INT:5163

 DEX:5020

 AGI:5310


 特性:耐精神(大)・耐風(大)・耐光(大)


 STR系スキル:ハッキングクロウ・ウイングブレード・メガトルネード・ビークピアースノヴァ


 INT系スキル:風属性魔法・光属性魔法・収縮魔法・ダイナソースレイブレス・ドラゴンスレイブレス


 DEX系スキル:パニックハウリング・ウインドバーズ・エアボールバリア・ブラインドネスフラッシュ


 AGI系スキル:スクリューランス・ソニックインパクト・ウインドフォース


-----------


「ほう……。思えばスパルナはナーガを食うんだったな」

「ナーガ……? 美味しい……?」

「いや、こっちの話だ。とりあえず、さっさと食え。城でも食べ物はたらふく食えるから安心しろ」

「たらふく……ここの待遇最高……。ふふふ」


 何だかとっても満足しているスパルナである。


 咲哉は新しく増えたスキルの中に、ダイナソースレイブレスとドラゴンスレイブレスを発見し、スパルナがナーガを食うという神話を思い出したのだ。


 インド神話でスパルナは蛇や竜のたぐいであるナーガを常食とし退治する聖鳥として崇拝されている。


 ダイナソーは恐竜、ドラゴンは龍であり、スレイは殺すという意味になる。

 よって、ダイナソースレイブレスとドラゴンスレイブレスは恐竜や龍を殺すブレスであることが予想できるのだ。


 まさにネームオーダーの効果で、スパルナという名に相応しいスキルを覚えたといえるだろう。


 咲哉が新しいスキルを覚えて龍の天敵となったスパルナのことを、セトとセクメトに内緒としたのはここだけの話である。


「ああ、そういえばアムリタなんてのもあったな。作ってみるのも面白いかもしれんな」


 唐突に話題を変えた咲哉に見えるが、今後のプランをしっかり考えてのことだった。


 アムリタとは、インド神話でスパルナがナーガ族から盗んだ飲み物のことである。

 飲むことで不老不死を得られるともいわれている。

 しかし、咲哉は自分が不老不死を得たくてアムリタを作ろうとしているわけではない。

 モンスターサモンで召喚されているセトたちは既に不老不死の存在なのだから、アムリタを作っても意味はないことになる。

 では、咲哉はどんな意図でアムリタを作ろうとしているのか?

 それはこのあとすぐ判明することとなる。


「サクヤよ。さっきから何をぶつぶついっておるのだ?」

「ああ。ちょっといいことを思い付いてな」

「いいことじゃと?」

「まあ、すぐに分かる。ちょっと待ってろ」


 そういうと咲哉は世界構築スキルでさくっとアムリタを作り出す。


「まあ! ダーリンそれは何かしら? なんて美しい飲み物なのでしょう」


 女性は美しい物に目がないというが、予想以上の食い付きを見せるヘカーテ。


「これはアムリタという飲み物だ」

「アムリタですって……? ヴァンパイアとして長く生きてきましたが、実物を見たのは初めてですわ! 伝説でしか聞いたことがありませんでしたから」


 あまりにさくっとアムリタを作ってしまった咲哉だったが、インド神話に登場するくらいであるからアスナルドでも伝説級の飲み物だったらしい。


 何だか微妙にやらかしてしまっか感を覚えた咲哉は、アナライズで効果を確認してみることにした。


------------


【アムリタ】


 アイテムランク:レジェンド


 飲用すると死亡したときに一度だけ、HP、MP、あらゆる状態異常を完全に回復して復活する効果がある。

 飲用後の効果は無期限であるが、寿命で死を迎えた場合はこの限りではない。


 効果の発動したあとは、24時間のインターバルを挟まないと、飲用しても復活の効果を発揮することはない。


----------


 神話では不老不死が授かるというアムリタだったが、アスナルドでは違うようだ。

 しかし、例え一度限りであったとしても死亡後に復活することができるのだから、伝説級のアイテムであることは伊達ではないだろう。


「なるほど。では早速実験してみるか。おい、ラーン。アムリタを飲んでみろ」

「え!? 師匠、何か凄い貴重そうな飲み物だけど……俺が飲んでもいいのか?」

「ああ、大丈夫だ。ストックはたっぷりあるからな」


 当たり前の如くストックなどはない。

 しかし、世界構築スキルで量産体制はばっちりである。


「じゃあ……。飲ませてもらいます!」


 敬語が混じりに若干緊張気味のラーンだったが、アムリタを一気に飲み干す。


「あ……。やべー! なんだこれ!? めちゃくちゃ、うめえー!」


 そこに反応したのは、やはり、スパルナだった。

 黙って咲哉に手を差し出しアムリタをくれとアピールをする。


 実は咲哉の狙いはこれだった。

 たらふく食べれる現在の環境では、スパルナはいつでも満たされてしまう。

 咲哉のいうことを聞かせるための餌を作りたかったのだ。

 俺のいうことを聞いたらアムリタをやるぞ、まあ、そんな感じである。

 円満に部下をコントロールする術といったところであろうか。


「スパルナ。お前もアムリタが欲しいのか。けど、まだ目の前にたくさん食べ物が残っているだろ? それを片付けてからだ」


 咲哉のいうことを聞き、急いで食べ物を口に放り込むスパルナ。

 これからはこんな感じで簡単にコントロールすることができるようになるだろう。

 食い意地の張った鳥には餌付けが一番である。


「それより、実験だ。ラーン、ちょっとこっちに来い」


 近付いてくるラーンを咲哉は、神龍刀・咲哉を引き抜き一刀両断した。


「なっ! 師匠! って、あれ? なんともない……。えー!」

「なっ、なんじゃ! いま確かに……」

「ええ、真っ二つに切られましたわよね……」

「まっぷたつー!」

「これがアムリタの効果だ。死んだことを一度限り、無効化するんだ」


 唖然とする一同……ではなく、セクメトは相変わらずの調子であり、スパルナは完食することに精一杯であった。


「ひどいぜ! 師匠!」

「まあ、いいじゃねえか。死ななかったんだからよ」

「そうだけどよー!」


 このことに悪のりした咲哉はさらに何かを作り出す。


「今度は何じゃ? それは果物か?」

「七色に輝いていていますわね……」

「虹みたいー! きれいー!」

「これはアンブロシアだ」


 アンブロシアとはギリシャ神話に登場する神々の食べ物で、アムリタと同じく不老不死の力が与えられるといわれている。

 アスナルドでは七色に輝く桃みたいな果実のようだ。


「まあ……それも伝説級の果物ですわね。ダーリンが規格外だとは思っていましたけど、まだまだ底が見えませんわ」

「何やら凄い果物ってことじゃな。まあ、咲哉ならそれくらい持っていても驚くことでもないじゃろう」


 またまたスパルナの目が光る。

 やはり、アンブロシアをくれとの如く黙って手を差し出すスパルナだった。


「ん? スパルナ、全部食い終わったのか。じゃあ、これが約束のアムリタだ。けど、アンブロシアはちょっと待て。お楽しみはこれからだ」


 咲哉からもらったアムリタを一気に飲み干すスパルナ。


「あっ……あん! ああん……!」

「えっ、ちょ……ちょっと待て! 何故そんな声が出る!?」


 何とも微妙な声を出すスパルナに戸惑う咲哉。


「美味しすぎて……感じちゃった……」

「そ、そうか……」


 美味しすぎて感じるとは、スパルナの感情は全て飲食に左右されるのだろうか。

 この謎が解ける日は永遠にこないような気がする。


「よし。気を取り直して……次々いくぞ」


 スイッチが入ってしまった咲哉に自重という言葉は存在しない。


「アンブロシアといえばネクタルだ。あとは、ソーマにハオマ、黄金の林檎ってところでコンプリートだ」


 何がコンプリートだか分からないが、咲哉はネクタル、ソーマ、ハオマ、黄金の林檎と次々と作り出していった。

 そして、アンブロシアから順にアナライズで効果を確認する。


------------


【アンブロシア】


 アイテムランク:レジェンド


 食することで10分間あらゆる攻撃を無効化する。

 食してから10分経過した後は、1時間のインターバルを挟まないと攻撃の無効化はされない。


-----------


 あらゆる攻撃の無効化とは、某ゲームに出てくる髭のおじさんがスターを取ったときの状態と似ているかもしれない。

 どのように攻撃が無効化されるかは、咲哉がきっとラーンを実験台として実演してくれるであろう。



 アンブロシアと一緒にギリシャ神話で語られるネクタルは、神々の飲み物である。

 生命の酒、不老不死の薬酒ともいわれている。


 咲哉の作ったネクタルは深紅の輝きを放っていた。


------------


【神酒ネクタル】


 アイテムランク:レジェンド


 飲用することで、30分間、1分先までの未来を見通すことができる。

 食してから30分経過した後は、6時間のインターバルを挟まないと未来視の効果は発揮されない。


----------


 一分先の未来を見通すというのは、何とも微妙な効果と感じるかもしれない。

 しかし、戦闘中であれば攻撃を先読みすることができるので、絶大な効果を発揮するであろう。



 ハオマはペルシア神話に登場する神酒である。

 生命力を活性化させる力を持つといわれているが、アスナルドではどうだろうか。


 咲哉の作ったハオマは神酒と呼ぶに相応しい白金色の輝きを放っていた。


------------


【神酒ハオマ】


 アイテムランク:レジェンド


 食することで、HP、MP、あらゆる状態異常が完全回復され、5分間全ステータス値が3倍に増加される。

 食してから5分経過した後は、6時間のインターバルを挟まないと完全回復及び、ステータス値の増加はされない。


----------


 効果時間こそ短いがハオマはとんだドーピングアイテムであった。

 もし、咲哉や仲間たちのステータスが3倍に増加されたとしたら、髪が金色に逆立つスーパーサイ……何だか(じん)を彷彿とさせる力を得てしまうだろう。



 自重なしに咲哉がレジェンド級のアイテムを作りまくったせいで、説明するのが非常に大変だったりするが……次はソーマである。


 ソーマはインド神話に登場する神々の飲み物だ。

 人間の寿命を延ばし、霊感をもたらす霊薬ともいわれている。


 咲哉の作ったソーマは無色透明な飲み物だった。

 アムリタやネクタルと比べると一見地味に感じるが、その透明色は見つめるだけで吸い込まれてしまうような魅力を放っている。


------------


【神酒ソーマ】


 アイテムランク:レジェンド


 食することで10分間あらゆる状態異常を無効化する。

 食してから10分経過した後は、1時間のインターバルを挟まないと状態異常の無効化はされない。


------------


 あらゆる状態異常とは、即死効果のあるスキルやステータス値を吸収するドレインなども含まれる。

 アスナルド広しといえどもソーマ以外であらゆる状態異常を無効化するアイテムは存在しない。

 凶悪な状態異常のスキルを持つモンスターと対峙するときには、かなり心強いアイテムといえるだろう。



 最後に黄金の林檎だが、これは色々な神話に登場している伝説の果実である。

 食べることで不老不死が得られるといわれている。


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【黄金の林檎】


 食することで15分間、身に付けているものも含め全身が完全に透明化され、手で触れたものまで透明化することができる。

 透明化時は、臭い、温度、魔力すらも完全に隠蔽される。


 食してから15分経過した後は、1時間のインターバルを挟まないと透明化の効果は発揮されない。


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 不老不死とはまるで関係なく、透明化のアイテムであった。

 まさに男のロマン満載のレジェンドアイテムである。

 しかし、暴力的な咲哉ではあるが根は真面目だったりするので、男のロマン的な使い方をしてくれるかは謎である。


「さすがはレジェンドアイテムってところだな。チート効果がもりだくさんって感じだ」

「あの……ダーリン。ひょっとして、これらは全て伝説級の……?」

「そうだ。これがネクタル、こっちがソーマにハオマ。そして、これが黄金の林檎だな」

「まあ……もはや言葉になりませんわ……」

「とりあえず、ラーン。これを食ってみろ」


 ラーンに全ての攻撃を無効化するアンブロシアを差し出す咲哉。

 もはや咲哉がやろうとしていることは誰にでも想像できるであろう。

 ラーンの苦難は続くのであった。

次回、咲哉の計画が明かされます!

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