30-闘技場
「こんな感じでいいか。けっこう、体にだるさを感じるな。規模がでかいだけあって、何気にMPを使ってしまったか」
そういって作り置きしておいたMP回復ポーションをさくっと飲み干し、闘技場の出来栄えを確認する咲哉。
日没を迎えライトアップされた闘技場は、幻想的な雰囲気を漂わせている。
急に現れた巨大な建造物にヘカーテは絶句している。
しかし、セトとセクメトは既に慣れたもので喜びと絶賛の反応しかしていない。
「おお! さすがはサクヤじゃ。なかなか格好いい建物ではないか」
「ここで戦うのー? かっくぉいいー! 楽しみー!」
「あっ、あの、ダーリン。いったいこの建物は何処から出てきたのかしら……?」
「この闘技場は俺が作った建物だ。まあ、細かいことは気にするな」
「ダーリンが作ったのですか!? 凄いですわ! 私のキャッスルクリエイトでもこんな大きな建物は作り出せませんわ!」
キャッスルクリエイトとはヘカーテが住んでいた城を作ったスキルである。
このスキルは城であればどんな城でも作ることができるが、規模や設備など諸々全てがDEXの高さやイメージ力に左右される難点がある。
さらに世界構築スキルと違って無から有を生み出すことはできず、城は周囲の木や岩、土などを利用して作られるため相応の限界も存在するのだ。
闘技場の外観を確認した咲哉は、ギガロドンとロック鳥を闘技場内に転移させる。
もちろん、闘技場内は夜間でも戦えるように、照明設備がばっちり完備されている。
「お前らには順番にここで戦ってもらう。これから拘束を解くが、結界が張ってあるから逃げることはできないからな」
そういって咲哉は世界構築スキルで動けないようにしていた二体のモンスターを自由にした。
「もう、体は動くようになっているぞ。鮫、試しに空を泳いでみろ」
「え!? 急にいわれても、どうやって……。おお! スゲー! マジで泳げるー!」
最初は戸惑っていたギガロドンだったが、水中と同じように体を動かすことで空を泳げたようだった。
「あんた! マジで何者なんだよ! やべー! 俺、空を泳いでるー!」
「まっ、まあ、とりあえず、落ち着け。最初はセトとロック鳥から勝負してもらうからお前は待機だ」
「ガッハハハ! 焼き鳥にしてくれるわ!」
「焼き鳥……。それって美味しい?」
何だかとっても反応に困る咲哉であった。
「あー、えっと、鮫。お前は体がでかいから戦いの邪魔になる。人の姿に化けれるようにしたから、¨人化¨といってみろ」
「え? 人化……?」
人化とキーワードを発したギガロドンは一瞬で人の姿に変わった。
その容姿は青いショートヘアーにアイドル級の可愛いルックス。
男勝りな話し方で騙されていたが、ギガロドンは雌だっのだ。
人化の容姿は咲哉が設定していた。
雄雌どちらだったとしても髪の色は水をイメージした青色とし、雄であれは咲哉が地球にいた頃の弟分、雌であればアイドルグループSPL48で人気だったカオルの容姿になるように設定していたのだ。
「お前は雌だったのか……」
話し方からてっきり雄と勘違いしていた咲哉は、自分で設定したといっても、まさSPL48のカオルになってしまうとは思っていなかった。
弟分の姿になることを120パーセント確信していたのだから、びっくりするのも無理はない。
今回の人化は裸になるよう設定していた。
これは後から好きな服を着せれるようにとの配慮なのだが、以前の反省も踏まえ事故が起こらないように対策をしている。
あらかじめサイズの自動調整機能を付けた男性用、女性用の服を作り、ギガロドンとロック鳥が人化したときにアイテムボックスから自動着用されるようにしたのだ。
一切の抜かりはない。
「スゲー! ホントに人の姿になったよ! やべー! けど、このヒラヒラしたもんは邪魔だな!」
一切の抜かりがないと思っていた咲哉だったが、¨お約束¨という世界の流れには勝てなかった……。
ギガロドンはあっという間にワンピースを脱ぎ捨て、生まれたままの姿になってしまった。
「あっ、あー、おい……。何で脱ぐんだよ!」
「え? だってよー、これ、何か肌に触って気持ち悪いし」
咲哉の行動は早かった。
脱ぎ捨てられたワンピースを拾い、ギガロドンにスパッと被せる。
そして、世界構築スキルを発動した。
「え? 何これ? スゲー気持ちいいだけど……あん……」
咲哉がワンピースに付与した効果は着ていると¨気持ちがよくなる¨というものだった。
ギガロドンの反応に若干焦りを覚えた咲哉は、その効果をちょっとゆるめたのであった。
「サクヤよ。余興はそれくらいにして、さっさと我に戦わせろ」
「あっ、ああ。そうだな。じゃあ、ルールを説明する。っても、何もないんだけどな……」
咲哉の話によるとルールは特になしで、何をやってもオーケーとのことだった。
ただし、相手を殺すことはできない。
殺すことが禁止ではなく、この闘技場は殺すことができない仕様になっているのだ。
どういうことかというと、瀕死のダメージを受けると即座に医療施設に転移されるのだ。
即死クラスの攻撃を食らった場合は、即座に瀕死状態まで回復されて転移されるという、咲哉がモンスターイートで取り込むためだけの仕様だったりする。
「ということで、この闘技場で死ぬことは決してない。思う存分戦ってくれ」
「やっと、爆殺滅龍剣の試し切りができるのう」
「お兄ちゃん、セトだけ武器もっててずるいー」
「はあ? いきなり何をいってんだ? って、お前には火遁があるだろうが」
意表を突かれた咲哉だったが、武器を作れとせがまれるのが目に見えている。
そこで、セクメトの忍者ごっこに合わせて交わすことにしたのだが……今回はそれが悪手であった。
「だいとう、りゅうりんがほしいー」
大刀・龍鱗とはメンマ疾風伝に出てくる忍刀七福集の忍者が使っている刀である。
自らの意思を持つ刀で、チャクラを吸収して所有者に還元する能力を持つ。
忍者ごっこに乗った咲哉だったが、まさか忍者つながりの武器を欲しいといいだすとは思っていなかった。
まあ、ちょっと考えれば想像できなくはないので、咲哉の考えが甘かったとしかいえない。
「うーん。あの刀を作れってか……。意思を持つ刀って作れるのか?」
何だかんだでセクメトに甘い咲哉は刀の構想を練り出す。
「よし。こんな感じだな」
世界構築スキルを発動した咲哉の前に一本の大きな刀が現れた。
刀身は龍の鱗でおおわれており、漫画に出てくる大刀・龍鱗そのものだった。
「刀が接触すると相手のMPを吸収して自分のものにすることができる。おい! 龍鱗! 今日からセクメトがお前のご主人様だ」
大刀・龍鱗は空中を飛び上がり、セクメトの手に収まった。
「お兄ちゃん! すごーい! ありがとー!」
「ダーリンは何でもおできになるのですわね。素敵だわ」
「まっ、まあな」
世界構築スキルのお陰なので、何となく素直に喜びきれない咲哉であった。
「あー、待たせたな。セトとロック鳥を残し、俺たちはVIPルームに移動する。俺が開始の合図をするまで戦うんじゃねえぞ」
そういって咲哉たちはVIPルームへと転移する。
「ここがVIPルームだ」
VIPルームといわれた部屋は一面がガラス張りとなっており、戦いがよく見える特等席だった。
豪華なテーブルとソファーが特別感を演出している。
「素敵な作りのお部屋ですわね」
「おっしゃれー!」
「あっ、えっ……」
ギガロドンのみ戸惑う反応を見せる。
今まで水中から出たことなどなく、何をどうしていいか分からなかったのだ。
「好きなところに座っていいぞ。ただし、俺とヘカーテは対決を盛り上げるために実況をするぞ」
「ダーリンと一緒でしたら何でもしますわ!」
VIPルームにあるテーブルもセトの部屋と同じ仕様だ。
液晶画面に表示されている好きな飲食物を選ぶとテーブルから自動で出てくる。
初めて見る設備に感動しているヘカーテとギガロドンを軽くスルーして実況中継の解説者モードになる咲哉。
「皆様、大変長らくお待たせいたしました。黒龍王セトVS霊鳥ロック鳥の試合がこれから始まる訳ですが、解説のヘカーテさん。この試合の見所をお願いします」
「はい。解説のヘカーテです。パワータイプのセト選手とスピードタイプのロック鳥選手ですから、面白い対決が見れそうですわね。どのようなスキルが飛び出すかによって、勝敗が大きく左右されるかと思いますわ」
「なるほど。それは面白い対決が見れそうですね。闘技場で今か今かと決戦のゴングを待っている二人にもコメントを聞いてみましょう。セトさん、勝負に向けて何か一言お願いします」
すっかり、実況解説者になりきっている咲哉とヘカーテだった。
色々と見ていたら、
ネット小説は読み易くする為に細かく改行するとのことだったので、
今回の投稿から改行の仕方を変更しました。
バックナンバーも近日中に全て修正するようにします。
※H27.11.17に全て修正完了しました※




