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転生クエスト - ヤンキーが異世界に転生したら -  作者: 早手祐也
【第一章】 モンスターカーニバル
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29/63

28-まさかの釣果

「セクメト! ヘカーテ! 魚がかかっているぞ!」


 咲哉は慌てて二人に声をかけ、航を止めて魚を釣り上げさせる。


「あら、小さな魚ですわねえ」


 ヘカーテが釣り上げた魚は2メートルを超すカルムチーだった。

 小さな魚ではなく充分大物だ。

 10メートルクラスの鯉を釣り上げたヘカーテからすると小物でしかないのだろうが。


「くろだいー!」


 セクメトが釣り上げた魚は1メートル近いクロダイ。

 こちらも地球でお目にかかれないほどの大物である。


 咲哉の思い付きで何となく始めた釣り勝負だったが、数多くの大物が釣れ予想以上に大漁だった。


 そこで咲哉はふと思う――


「こんなに大量の魚を釣って、いったいどうやって処理したらいいんだ?」


 と……。

 料理に使うにしては多すぎるし、ご近所さんにお裾分けしようにも、そもそもご近所さんなんていない。

 この島に住んでいる人は咲哉一人である。


 残る選択肢は城に増設した水槽で飼うしかないのだが、この規模だとちょっとした水族館になってしまう勢いである。


 そんなことを咲哉が悶々と考えていると、船体に衝撃が走り船が横に引っ張られた。


 何が起こったかと慌てて周囲を見渡した咲哉は、すぐに原因を発見し驚愕の声を上げる。


「なっ、なんなんだ! あの引きは!!」


 咲哉の竿が大きくしなり、釣り糸ごと船が横に引っ張られていたのだ。


 急いでリールを巻き上げようとした咲哉の顔がひきつる。


「なっ!? リールが動かない!」


 STR7000台の咲哉ですらリールを巻き上げることができなかったのだ。


「お前ら! 船の中に入れ!」


 危険を感じた咲哉はセクメトとヘカーテを船の中へ避難させる。

 そして、自身も操縦席に飛び込み船を急発進させた。


 咲哉の作った船のパワーは並みじゃない。

 2800馬力に最高速50ノット(時速92.6キロ)の特別仕様だ。

 巨大魚に負けるようじゃ大型クルーザーの名がすたる。


「行っけー!!」


 気合いを入れても船のパワーが変わるわけでもないのだが、こういうときはついつい気合いを入れて叫んでしまうものである。


 咲哉の気合いとは関係なく魚のパワーに船が勝り、ゆっくりと前進を開始する。

 徐々にスピードは出てくるが最高速には程遠い30ノット(時速55.56キロ)くらいしか出ていないようだ。


「凄いパワーの魚だな……」

「ダーリン。もうすぐ日没ですけど間に合うかしら?」

「俺にとって勝敗は正直どでもいい。しかし、俺たちをビックリさせた分、こいつはきっちり釣り上げてやらないとな」

「お兄ちゃん、ふぁいとー!」

「任せろ! とっておきの考えがある!」


 巨大魚は疲れてきたのか、船の速度が上がっていき岸がどんどん近付いてきた。

 既に最高速に近いスピードが出ている。


「あの、ダーリン……。このまま行くと岸にぶつかるような気がするのですが?」

「大丈夫だ! 俺を信じろ!」

「しんじるものは、すくわれるー?」


 何処で覚えたのか変なことをいうセクメト。

 そんな言葉を気にすることなく咲哉は岸に向かって前進させ、大きな声を張り上げた。


「飛べー!」

「えっと……。船が……」

「とんでるー!」


 ヘカーテては唖然とし、セクメトは大喜び。


 船が岸にぶつかる直前に空へと舞い上がったのだ。


「飛んでいますわね……」

「とんでるー!」

「ああ。俺の作った船は空も飛ぶんだ」


 どや顔の咲哉に、唖然とし続けるヘカーテ、相変わらず大喜びのセクメト。

 まるで諺のような三者三様の反応が実に面白い。


「あの……ダーリン、津波のときも船を飛ばせば良かったのではないかしら?」

「あっ……すまん。あんときは忘れてた」


 スキル使用禁止の勘違いといい、空飛ぶ船の仕様を忘れていたりと、今日の咲哉はとてもボケボケである。


「それより、巨大魚はどうなっている?」


 咲哉がそういったとき、強い衝撃とともに船がいきなり傾いた。


「ここは空だぞ! 何が起きた!?」


 船体が激しく揺れ、高度がどんどん下がってきている。


「セクメト! ちょっと操縦を代われ! 俺は外を見てくる!」


 そういって咲哉はデッキへ飛び出し、ハイランダーブーツで空へと舞い上がった。


 そこで咲哉が見たものは……。


「えっと、これはどういう情況なんだ……?」


 釣れた巨大魚は鮫に見える。

 船体よりも巨大な鮫……まあ、とりあえず、これはいいとしよう。


 咲哉が混乱したのは、鮫と一緒の釣り糸に巨大な鳥が絡まっていたからだった。


「なるほど。鮫を餌に鳥まで釣れてしまったのか。まさかの釣果だな……」


 憐れな鳥は船にぶら下がっていた鮫を狙って襲いかかり、破壊不能の釣り糸に絡まって捕獲されというわけである。


「っうか、この異常なデカさは、ひょっとして鮫も鳥もモンスターなんじゃねえか?」


 船体よりも巨大な鮫は20メートルくらいはありそうだ。

 さすがにただの鮫にしては大きすぎる。


 鳥もただの鳥と呼ぶにはあまりに大きすぎで、鮫と同じく20メートルはありそうだ。


 アナライズで鮫から順にステータスを確認してみると、やはり、咲哉の予想通りモンスターだった。


-----------


【ステータス】


 名前:ギガロドン

 種族:海洋族

 種別:大鮫

 ランク:EX

 属性:水

 称号:全てを食らう者


 LV:78

 HP:16214/24759

 MP:8534/8534

 STR:4543

 INT:843

 DEX:1689

 AGI:2465


 特性:耐肉体(大)・耐水(大)・弱火(小)


 STR系スキル:パワーファング・メガクラッシュ・ギガインパクト・サイクロンバキューム・ウォーターアドレナリン


 AGI系スキル:スラッシュカッター・ウォータームーヴ


-----------


【ステータス】


 名前:ロック鳥

 種族:鳥族

 種別:霊鳥

 ランク:EX

 属性:風

 称号:大暴風


 LV:84

 HP:37603/38671

 MP:42705/42765

 STR:3185

 INT:3227

 DEX:3138

 AGI:3319


 特性:耐精神(大)・耐風(大)・弱雷(小)


 STR系スキル:ハッキングクロウ・ウイングブレード・メガトルネード


 INT系スキル:風属性魔法


 DEX系スキル:パニックハウリング・ウインドバーズ・エアボールバリア


 AGI系スキル:スクリューランス・ソニックインパクト・ウインドフォース


-----------


「やはり、モンスターか。さて、どうしたもんかな?」


 咲哉としてはモンスターイートで取り込みたいところだが、このままモンスターを痛め付けて瀕死にするのは船体にまで影響しかねない。


「うおっ! 危ねえ!!」


風圧を感じとっさに交わす咲哉。


「なんだ今のは!? ひょっとしてロック鳥の風属性魔法か?」


 このままでは船に直撃を受けかねないと思った咲哉は、世界構築スキルを使ってギガロドンとロック鳥の動きを封じる。

 そして船内に戻り、セクメトとヘカーテを呼ぶのだった。


「セクメト、ヘカーテ、外に出てみろ。面白いものが見られるぞ」

「面白いものですか?」

「みるぅ! みるー!」


 船の操縦をリモコンに切り替えて、空へと飛び上がる三人。


「あら、まあ……。あの鳥は鮫で釣れたのかしら?」

「すごーい! たいりょうだー!」

「よし。このままセトのところに向かうぞ」


 セトにも見せてやりたいと思った咲哉は船の高度を上げる。

 そして、このままの状態で船を飛行させ、セトとの待ち合わせ場所へと向かうのだった。


 セトのびっくりする顔が見物である。

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