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転生クエスト - ヤンキーが異世界に転生したら -  作者: 早手祐也
【第一章】 モンスターカーニバル
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14-セトのわがまま

 セトの機嫌を直すために特攻服を作ろうとした咲哉は、素朴な疑問を感じる。


「セト、装備が欲しいっていうけどよ。お前は既に鎧とマントを着けているじゃねえか?」

「この鎧とマントは我の体の一部じゃ。人化するときのイメージを変えればいつでもなくせるわい!」

「そういうもんか」

「そういうもんじゃ!」


 ご機嫌斜めのセトをなだめつつ、細かい要望を確認する。

 そして、一通り特攻服など、装備品の作成がし終わる。


「うむ。色は黒で、背中にもきちんとワシの姿が刺繍されているな」


 黒い特攻服の背に刺繍されていたのは、セト自身が龍化した姿である。

 自分の姿が刺繍されている服を着るなんてことは、一般的にはかなり痛い部類に入るだろう。

 しかし、当の本人は恥ずかしいどころか、むしろ誇らしげであったりする。


「セト、これで機嫌は直ったか?」

「何をいっておる! 我だけ仲間外れにしておきながら、こんなもんで機嫌が直ると思ったら大間違いじゃ!!」

「まだ怒っているのかよ……」


 続いてセトが出した要望は、爆殺滅龍剣を作れとのことだった。


 爆殺滅龍剣は、咲哉が作ったバーチャル格闘ゲームのキャラクターであるジークが装備している剣だ。

 ゲームに存在する剣を作れとは、普通に考えるとかなり無茶ぶりな要望である。

 世界構築スキルを持つ咲哉でなければ、実現不可能なことだろう。


「お前、爆殺滅龍剣ってジークの剣だろ? あんなデカイ剣を使いこなせるのか?」

「我に不可能はない!」


 何とも自信満々のセトであったが、爆殺滅龍剣は刃渡り1メートル60センチに剣の幅30センチと超巨大な剣だ。

 セトの自信の表れは、ゲームのバーチャル空間では使いこなしているからだった。

 まあ、STR8000台のセトは実際に軽々と使いこなしてしまうのだが。


「うむ。申し分ないな。重さも降り心地もいい感じじゃ。もちろん、必殺技も出せるのであろう?」

「ああ。必殺技の名前を口に出せば、自動で発動するようになっている」

「どれどれ……」

「ちょっと待て! 城の中で必殺技をぶっぱなしてどうする!」

「うむ。では必殺技はあとにするか。次は我の部屋を作るのじゃ。娯楽室とは違う娯楽でいっぱいの部屋をな」

「まだやらせるのか……」


 セトの要望は娯楽室にはない娯楽を自分専用の部屋に作れということだった。

 今の娯楽室は、思い付くままかなりたくさんの遊び道具を詰め込んだので、正直ネタ切れである。

 これ以上何を作るんだと、文句のひとつもいいたい咲哉だった。


「お兄ちゃん、ひまー」


 セトのわがままを聞いていたところで、セクメトが駄々をこね始める。


「まあ、お前は暇だよな……。ワイズ、娯楽室で遊ばせてやってくれ」


 これ以上面倒ごとをしょいこみたくない咲哉は、セクメトのお守りをワイズに任せることにした。


「よし! 乗りかかった船だ。徹底的にやるか! まずは城を増築するぞ!」


 何を思い付いたのか、いきなり城を4階建てから5階建てへと増築する咲哉。

 今まで娯楽室は1階にあったが底上げされて2階へと移動される。


「セト、お前もゲームでもしてセクメトと遊んでいてくれ。何ができるかはあとのお楽しみだ」


 作っている様子をセトにも見せない徹底ぶり。

 いったい何ができるのやら。


◆ ◆ ◆


 しばらくして、咲哉に呼ばれたセトとセクメトは歓喜の声を上げる。


「おお! なんじゃこれは!!」

「すごいー! おおきいー!」


 色とりどりの内装に、楽しそうな音楽が鳴り響いている。


 なんと、咲哉が作ったのは遊園地であった。


 和風の城にそぐわないものを作ってしまったのは、まあ、いつもことなので気にしないようにしよう。


 遊園地には、ゴーカート、メリーゴーランド、コーヒーカップ、ぐるぐる廻る空中ブランコや上から下へと急降下する空飛ぶじゅうたんなど、定番なアトラクションは全て用意されている。


 凄いのは限られた城のスペースで再現が難しかったジェットコースターやお化け屋敷まで知恵をしぼって作ったことだ。


「咲哉よ! これが全て我の部屋になるのか?」

「あっ、すまん。お前の部屋はまた別にあるんだ」


 すっかり自分の部屋と勘違いしていたセトは落胆する。

 これで別にあるというセトの部屋が手抜きになっていたとしたら、確実に怒りが再燃するだろう。

 さてさて、どうなることやら。


「セトの部屋は後のお楽しみということで、まずはこの遊園地を楽しんでくれ。あっ、せっかくだから名前でも付けるか」


 そういって咲哉は考える素振りをする。

 自分の部屋を後回しにされたセトのことは完全に無視する方向のようだ。


「よし! この遊園地を¨ドラゴン・ハイ・ランド¨と名付ける!」


 ネームオーダーの効果か遊園地が光に包まれていく。しかし、外観など特に変わった様子はない。


「うおー! テンション上がるのお!!」

「お兄ちゃん、すごい! すごい! すごいよー!!」


 セトとセクメトのテンションが予想以上にアップしてしまい、微妙に顔が引きつる咲哉。

 本人からすると名前を付けて遊園地が光っただけのことである。

 しかし、咲哉は気付いていないようだが、2人が異常に喜んだのはネームオーダーの力が働いていたからだった。

 ドラゴン・ハイ・ランドと名付けられたことで、『ドラゴンがハイになる遊園地』という効果を得ていたのである。

 駄洒落のような効果とは……まさに恐るべきネームオーダーだ。


 咲哉の案内で遊園地の乗り物を楽しむセトとセクメト。

 しかし、大人でも楽しめるゴーカートなどで熱狂するのならまだ分かるが、メリーゴーランドに乗ってはしゃいでいるセトには本気で引き気味な咲哉であった。


「お前ら興奮し過ぎじゃねえか? そんなんじゃ、メインのジェットコースターやお化け屋敷の前に力尽きるぞ」

「何をいっておる! こんなに楽しいのにテンション低い咲哉のほうがおかしいわ!」

「お兄ちゃんも楽しもうよー」

「まあ……楽しいのならいいんだけどな」


 あとでワイズから聞いて、この興奮状態がネームオーダーの力だと知った咲哉は、世界構築スキルを使って、『龍族興奮度増加(極大)』の効果をこっそり消してしまったのはここだけの話である。

 次回はジェットコースター編です。

 咲哉の作ったジェットコースターが普通であるはずがありません(笑)

 お楽しみに~♪

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