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たんさく2
「そういえばさ? 穂葉は何してるかな? 今ごろ」
「ん? さぁなー? テレビでも見てるんじゃない?」
恐怖心をまぎらわす目的で、なるべく他愛のない話題を持ち寄り、暗い廊下を歩む。
そんな一同も、目的地が近づくに連れて、だんだんと口数が減っていき───、ついには黙々と、密かな足音をたてる作業に没頭した。
「………………」
横合いに、ズラリと並ぶ窓ガラスの向こう。 松の木を筆頭に、数種類の緑があしらわれた、豊かなスペース。
校舎の狭間に設えられた中庭には、これといって、明かりを認めることはできない。
たしか、ソーラー発電の外灯が、ポツンと突っ立っていた筈なのに。
しかし、現在は梅雨期である。
おもに曇天がつづく日々の中で、エネルギーの供給が、間にあわなくなってしまったのか。
いや。 昨日はたしかに快晴だったし、需要を満たす程度の光量は、きちんと蓄えている筈だった。
ともすれば、単に故障しているだけなのかも知れない。
ゆえに、中庭に面する廊下の窓は、その一枚一枚にいたり、例外なく墨色で塗りつぶされていた。
時おり吹いてくる鬱宵の風を受け、樹木がザワザワとそよぐ音。
「ひぅ……っ!?」
現状にあっては、あまりにも奇怪な音色を、一同のもとへ届けるのみだった。




