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しゅうごう5
「………………」
もっとも憂慮すべきなのは、その者に、邪悪な気配が無いか。
人間ではないものが、人間に対して牙を剥くこともある。
取り分け、いわゆる“魂のみ”の、身体を持たない連中に多い事例だ。
もっとも、それによって、大した実害を被ることは無い。
せいぜい微熱だとか、倦怠感だとか。 体調に、わずかな変化をきたす程度である。
命の危機に陥ることなど、まずあり得ない。
「………………」
ズンズンと先頭を行く、好奇心旺盛な背中。
“人間ではないものは、存在する”
その背中に、たった一言、そう告げればいい。
そうすれば、すべて片がつく。 わざわざ、危ない橋を渡らせずともよい。
しかし、自らの足で、真実を追ってこそ人間なのだ。
自らの頭で、学習してこそ人間なのだ。
“外の空気は汚いから”と、家の中に子供を閉じ込める親はいない。
ただし、“もしも”の場合は、きちんと想定している。
もしも、何かしらの危険があるようなら、全身全霊で事にあたる。
みんなの安全が第一だ。
「お邪魔しまー……す」
そうこうする内。 一同は、校舎の中へ足を踏み入れた。




