しゅうごう4
「案外、珠衣も怖がりだからなー。 小っちゃい時から!」
「むっ! そんなことないよっ!?」
「なんなら、抱きついてもいいんだぜ? こう、ガバッと! そんで、ギュッとな!?」
「むむっ!? そんなことしないよバカ! お姉ちゃんに言いつけるよっ?」
「うっ? や……、ごめんなさい! それだけは、勘弁してください!!!」
珠衣と幸介による、賑やかなやり取りを聴く。
今朝は、あれほど生き生きと怪談を語り、親友を怖がらせていたというのに、心なしか、珠衣も怖じ気づいている風に見える。
いつもの調子が、出ていない様子だ。
「よし。 行くぞ!」
こちらは、さすがに通常運転か。
今まで踏みしめた場数が、そもそも違うのだろう。
一同に向けて、意気揚々と宣言をくれた後。 軽い足取りで、望月が歩を進め始めた。
「じゃあ、行こっか?」
「おうさ! 行こうぜ!!」
「ん……!」
そんな、怖いもの知らずな背中を見る。
薄地のパーカーに、どうやら風呂上がりのようで、半乾きの髪が、まっすぐに下りている。
いつも、後頭部に束髪をこしらえている彼女にしては、じつに珍しい。
それを眺めた後。 顔を見合せた三名は、短いやり取りを置いて、その背を追うことに。
「………………」
そこで、史は改めて、頭上に聳える校舎を仰いだ。
なにか居る。
間違いない。 これから調査を開始しようかという、この校舎の中だ。
そこに、人間の気配はない。
“人間”の気配は、特に感じ取れない。
けれど、たしかに居る。
人間ではないものが醸す、独特の寂れた気配が、たしかに感じられた。




