しゅうごう3
「見たいドラマがあったんだけど……」
「あ! 刑事モンだっけ? うちの姉ちゃんも見てるわ、そういえば! 録画してないの?」
「んーん。 録画しといた」
「じゃあいいじゃん!」
「んー……!」
体を動かす場所。 部活動に打ち込む場所。
昼間の喧騒も、明るみと共に失せ果てた現在となっては、物悲しい雰囲気が先んじる。
遠くに見える、民家の明かり。
その下には、必ず家族の団らんがあるのだろう。
笑い声。 子どもを叱る声。
そのどれもが、ここまで届くことはない。
「……飴ちゃん食べる?」
「おっ? いいの? サンキュー! おわ? なにこれ? 動物?」
「うん。 動物キャンディー。 史と望月さんもどうぞ?」
「ありがと。 動物キャンディー? あぁ、あれでしょ? ライオンが出ると、幸せになれるとかいう」
手持ち無沙汰を解消するように。 あるいは、一同の緊張をほぐす目的だろうか。
「うん。 ありがとね?」
「なんだった? 史の、何が出た? 俺はコアラ!」
「ん…っと? これは、キリンかな?」
珠衣が配ってくれたキャンディーを口に放り込み、視線を上向ける。
ひっそりと、夜陰に溶け込む校舎。
その全貌を把握することはできず、人間の気配もない。
こうして見ると、なかなか薄気味悪いものだ。
昼間の賑やかさは、いったい何処へ行ってしまったのか。
重々しい静けさの中、にぶい暗膽を纏った校舎が、グラウンドにいる一同を、黙然と見下ろしていた。




