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神祇 ─じんぎ─  作者: 高石童話本舗
さがしものと
69/1823

花影4


「………………」


とかく、現世(うつせ)には真実がある。


“真実”とは、良くも悪くも、唯一のものである。


しかし、誤魔化しが効かない(ゆえ)に、むしろ陳腐(ちんぷ)な内容である場合が多い。


“よくある話”


“ありふれた悲劇”


真実を欲する人間は、期待に胸を膨らませて、それを追求する。


しかし、いざ蓋をあけてみれば、まさに拍子抜けだ。


自分が躍起になって求めたものは、こんなにも些細(ささい)な代物だったのかと、落胆し、後悔する。


ゆえに、真実を知る者には、それを秘匿(ひとく)する責任があるように思えて、仕方がないのだ。


「………………」


「んー……。 やっぱり、そう簡単に答えは出ないか……」


「悪い。 サクッと答えてやれれば良いんだけど……」


「や、史が気に病むことはないよ。 ほら、棚から出てきたぼた餅なんて、もしかするとカビが生えてるかも知れないし」


もちろん、人間を邪慳(じゃけん)にするつもりなんて毛頭ない。


ただ、自分が保有する情報は、人間にとって有意義なものだとは、どうしても思えなかった。


同時に、自分が安易に答えを示すことは、人間の特権を奪い去る行為に他ならないとも思うのだ。

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