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花影3
『斯様なこと、貴方にお願いするは、自分勝手です? “自分勝手だ”と、貴方は妾を謗ることができるんです?』
いつの日だったか、あの女から寄せられた非難を、甘んじて思い返す。
できるわけが無かった。
自分には、あの女に対して引け目がある。
もちろん、それも一因ではあるが、最大の理由として、あの女の“願い”を突っぱねる理由が、自分には無かったから。
『我が子を……。 どうか我が子を、お救いくださいますように』
斯くの如く、あの女が願った事柄は、実に純粋で、簡潔なものだった。
親が子を想うのは、まったくの道理である。
そこに、小綺麗な理由如何を持ち込むことは出来ず、余論が付け入る隙もない。




