花影2
『史さまは、どうして世界を造ろうと思ったんです?』
いつの日だったか。 他愛のない会話の中で、我が“みこ”が何気なく口にした質問を、ふと想起する。
それに答えてやることが、自分にはどうしても出来なかった。
とくに、答えようが無かった訳では無い。
しかし、自分は逸らかした。
“なんとなく”
こんなにも簡単な内容である筈なのに、自分は口に出すことをしなかった。
『私のお母さんって、どんな人でした? 昔は』
いつの日だったか、我が“みこ”が、どこか寂しげに口にした質問を、まざまざと思い出す。
自分は今でも、その答えを返してやれずにいる。
“人間だ”
その一言を、いまだ、この胸に止めている。
『我が子を守るは親の務め……』
いつの日だったか、我が“巫女”が呟いた言葉の本質を、ようよう精査する。
いや、正確には“元・巫女”か。
穂葉と出逢う以前、長く永く、自分の側にいてくれた女性だ。
“はかない薄花”の形容が、実によく似合う女だった。
そういえば、元気にしているのだろうか?
最近は、なかなか顔を見に行けていないけど、元気に“女帝”をやっているのだろうか?
相変わらず、地獄の底に在し坐す“女帝”として、あの世界に君臨しているのだろうか?
ともあれ、こうして思い出したのだ。 今度、時間を作って会いに行ってみようか。
久しぶりに、お土産など持って。




