60/1823
だんらん6
「いや……、でも……」
「………………?」
ぼそぼそと、かすかな呟きが聞こえてくる。
「おトイレに行けないし……、暗い部屋に入るのも……」
「………………?」
なにやら激しい葛藤の末、ノロノロとした挙動で、身体ごと史のほうを向く。
次いで、やはり先の提案を受け入れることにしたのか、短く、こう応じた。
「やっぱり、ゲームします……」
「う? うん。 分かった!」
史としても、厳しく自責するところではある。
こちらの趣味を通した結果、すっかり恐れおののいた穂葉は、いまだにクッションを頼みとしている。
ひどく申し訳ないことをした。
「なんのゲームにする?」
「むー……? そうですねぇ。 やっぱり、さっきも言ったけど、昨日の続き──」
「にする?」
「はい!」
“怖いなら見なければいいのに”という考え方も、我が家庭で持ち出すには、ひどくナンセンスな代物だと思うのだ。
家族の団欒を、何より大切にする自分であり、穂葉である。
ともすれば、同じソファーに腰かけて、のんびりとテレビを眺める時間。
これは、何にも勝る憩いの一時だ。
互いを“家族”として、柔らかく意識することの出来る大切な習慣だった。




