かいだん
「おば……、お化け……っ!」
「大丈夫! 大丈夫だよ穂葉!!」
そこから考えると、家族の次に親しい友人の話題に、こうして律儀に付き合ってやることもまた、穂葉にとっては、大切な事柄であるのかも知れなかった。
「おばば……っ、お化け……!」
「大丈夫! ぜったい大丈夫! お化けって言っても、そんなに怖い話じゃないんだよ?」
「ぅ……? そうなんです? ホントに?」
「うん! ホントだよっ? だから、こうして穂葉に話すんじゃないか!」
けれど、やはり怖いものは怖い。
穂葉にとって、怪談は本当に苦手なものであり、円滑な日常生活にさえ、支障をきたす恐れがある。
たとえば夜、暗い自室で眠れなくなってしまう。
たとえば夜中に目が覚めた時、お手洗いに行けなくなってしまう。
「じゃあ……、逃げてもいいです? 怖くなったら、逃げてもいいですか?」
「イエス! もちろんだよっ? 私もついてくからねっ?」
「え……?」
「……いつまで経っても逃げ切れないだろ? それだと」
どこか的外れなのは、仕方がない。
彼女なりに、この怖がりな友人のことを、充分に配慮しつつ、得意げに胸を張った珠衣は、“コホン!”などと咳払い。
そうして、どういった情操だろうか。
“怖いもの聴かせたさ”とも呼ぶべき、不思議な内心なのかも知れない。
「聞いた話なんだけどね……」
声の調子を幾分にも落として、“怪談”の内容を話し始めた。




