だんらん3
「今日はなにを見ます?」
「んー? テレビ?」
「ん! テレビー!!」
夕食を終え、それぞれ入浴タイムを経た後のことだ。
リビングに設けられたソファーにて。 ゆったりと身体を寛げながら、穂葉が訊ねかけた。
視線の先には、果たして史がいる。
冷えたお茶で、風呂上がりの熱りを解消しようと思ったのか。
ちょうど、ダイニングに併設のキッチンへと、消えていく所だった。
「なんでもいいよ? 穂葉の見たいのでいいし。 てか、どんな番組があるの? 今日」
「んー……? そーねぇ。 何か、おもしろそうなのは───」
応じつつ、手元の夕刊テレビ欄へと、生真面目な瞳を這わせる。
「はっ!!?」
そうして、穂葉は唐突に息を呑んだ。
「は……っ! ふわぁぁ……っ!?」
全身が総毛立ち、心臓が跳ね上がる。
理由は明白だった。
テレビ欄に発見した番組名──、あるテレビ局が、今まさに放送中の番組名だ。
それを、見つけてしまったから。
「………………」
戦慄の眼で、彼女が見つめる先。
番組表には、他局と変わらず、味気のない字面があるのみだった。
けれども、視聴者に対する怖ぞましい挑戦状を、デカデカとぶち上げていた。
“夏も近づく、最恐ホラー特集”
「あ? どうしたよ? 変な声出して」
「なっ!? なんでも無いですよ!!?」
「そーお?」
おかしい。
あの娘は、何に対して、あれほど慌てているのか。
というより、なにを恐れているのか。
「どしたん? あ! あれか? 虫でも出たか!?」
“ビリっ!”
「は……?」
“グシャグシャっ!”
とりあえず、理由になりそうなものを挙げながら、麦茶のボトルを冷蔵庫に戻した所、史は奇妙な音を聞いた。
なにか、ものを破って丸めるような。
「え? なに破って───」
「なんでもないです!」
「や。 なんでもない事ないだろ?」
「なんでもないんですっ!!!」
「はぁ……」
声だけとは言え、充分な迫力だ。
それに気圧されつつ、ともあれリビングへ。
「なんにも無いですよ! 今日は! 残念残念ですよっ!!」
「そっかー」
ソファーにひとり。 なぜだか、非常に呼吸の乱れる家族の様子が気に掛かる。
別段、リビングに変わったところは見受けられない。
この時期になると現れる、“ヤツ”の姿もない様子だった。




