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神祇 ─じんぎ─  作者: 高石童話本舗
なつやすみ
514/1823

野生動物は危険です。2

「……いい加減にしろよ? この野郎」


まだ……。


まだ、腹をたてる道理はない。


こんなもの、じゃれ合いの延長線上だ。


「こんだけ暴れたら、十分だろ? 気は済んだろ? なぁ?」


「………………」


「もう()めとこう? な? 終わり! もう終わり!」


「………………」


「……これ以上はダメだ。 これ以上やったら──」


彼の興味が、自分に向いている間はいい。


けれど、万が一にも、その牙が人間に向けられるような事にでもなったら……。


この昔なじみが、もしも人間を襲うような真似(まね)をしたら──


()らなきゃならないんだぞ!? お前を!! 分かってんのかッ!? えぇッ!!?」


もちろん、そんな事したくない。


したい(はず)が無いし、そんな手段など、考えたくもない。


「く……っ!」


しかし、現在の白蛇には、陳腐(ちんぷ)な友情など、露聊(つゆいささ)かも理解できないようだった。


背後。 長大な物体が、グンと躍動する気配がした。


それを察知するや(いな)や、史はそばに植えられた街路樹を、たちまちの内に駆け上がった。


先細りの枝を蹴って、虚空へ離脱する。


「やめろ! コラ!?」


空振りを喰わされた尻尾が、(いちじる)しく雨滴をはらい飛ばした。


やにわに“ビュンビュン”と勢いをつけたかと思うと、中空へ一直線。 しつこく追撃する。


「“ひとつ”」


その模様を眼下に認めるや、簡潔に詠唱をむすぶ。


すこし乱暴な手段だけど、仕方がない。


「“砲門”!」


落下の最中。


真っ逆さまに、ふたたび地上へかえる道すがら。 照準を定めた史は、光弾を発砲した。


牽制か。 あるいは、威嚇射撃のつもりかも知れない。


掌から放たれた光輝の弾丸。


それは狙い目の通り、大きな白蛇を避けて、近くの路面へと斜めに射入。 アスファルトを直線に咬み砕いた。


その末に、中学校の裏手──、おそらくは、掃除用具などを収める倉庫か。 そこに着弾し、これを炸裂せしめた。

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