ろじうらで2
梅雨のなかば。 湿気が鬱々と体に纏わりつく。
それをなるべく然有らぬよう心がけ、少女のもとへ歩みを寄せる。
「………………」
その“正体”に関して、突き詰めることにする。
史とて“カミ”であり、全能に等しくはあるが、全知ではない。
「うむ……」
向こう4~5mほど先。 前方に佇む対象者の様子・容貌を観察し、熟考する。
何者だろう?
「………………」
双方の距離は、早くも縮まりつつあった。
残すところ、数十歩にも満たない距離を挟んで、少女はひたすら佇んでいるのみだった。
何をするでもなく。 対抗者の到来を、待ち構えている風でもなく。
ただ、ぼんやり・ふわふわ。
「………………」
やがて、双方の間に横たわった距離は、もはや皆無に等しく。 互いに、目と鼻の先に到達した。
手を伸ばせば、略々とその身に触れることが可能な、近接した立ち位置だ。
「…………?」
そこで、史はわずかに小首を傾げ、怪訝な表情を浮かべた。
彼女が人間でないということは、いち早く理解することが出来た。
しかし、正体が判然としない。
如何に思考を巡らそうとも・過去の経験を、照らし合わせてみても、明確なものが、微々(びび)として浮かんで来ないのだ。
妖怪の類とは違う。
ただ、“人間ではないもの”
「其方……」
そうこうする内。 “理”と“利”を考慮した末に、もはや不毛に等しい熟考を放棄。
現状で、もっとも理に適い、尚かつ、利するところの大きな方策へと、指針を転換することに。
つまりは、少女に直接、口を使って訊ねることにした。




