まなびや2
「鬱陶しい梅雨も中休みだしな? テンション上がりきっちゃったんだろ?」
ふと、廊下のほうから声が聞こえた。
見ると、女子学生服に身を包んだ同クラスの生徒がいる。
こちらもまた、史たちとは親しい関係を築く友人だった。 名を望月という。
「だよなー。 晴れんの久しぶりだもんなぁ!」
「でしょ?」
幸介の同意を得て、眼鏡の向こうに見える瞳を、ゆるく曲げて応じる。
そんな彼女は、全国に名を知られる考古学の権威を祖父に持ち、実家はとてつもない大金持ちだと聞く。
「ほのっち、 昨夜の心霊特番は見た?」
「見ません!」
「え? なんで怒る?」
「見ませんっ!!!」
そんな望月自身、お家柄か。 はたまた、生まれもっての“血”が為せる業なのか。 様々な活動を、積極的に行っている。
内容は言うまでもなく、お家芸たる“考古学”に沿った活動だ。
高羽史跡における、古墳等の発掘作業。
これには、史たちも助っ人として駆り出されることが屡々(しばしば)だった。
あれは、いつの事だったか。
正確な日付こそ失念してしまったのだけど、スコップを片手に、意気揚々と笑顔を振りまいていた彼女の表情が、記憶に新しい。
たしか、その日は非常に寒かった覚えがある。 吐き出す息も真っ白だった。
恐らく、冬の真っ直中に催されたイベントと考えて、間違いないと思う。
「ほのっち、怪談が苦手だったよね? そういえば。 ごめんごめん。うっかりしてたよ」
向こう見ずな冒険心による活動は、国内に止まらない。
ケニアの有名な集落へ、単独でアポ無し訪問を敢行したこともあったという。
これには、全校生徒が問答無用で巻き込まれることになった。
何せ、連れて来てしまったのだ。 マサイの勇者を。




