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あの頃の17
「………………」
左腕をまっすぐに差し伸べて、撓めた右の手指を、胸部の横合いに配置する。
それぞれの手腕に、放電現象が生じた。
それら、空っぽの手の内が、一定の質量を見る見る掌握してゆく。
「………………」
時間がないので、完全な喚起を待たず、とにかく威嚇射撃をする。
胸中に波風を立てないよう心がけ、右の指先を、そっと解放する。
放射状に飛び散った余剰な霊威が、周縁の煙幕を払拭した。
石火の軌跡が大気を直線に喰み、銀杏の樹木に微かな焦げあとを残した。
「キュ……ッ!?」
直撃コースからすると、わずかに横合い。
光芒の先端が、ようよう一本矢の実体を得て、堅固な甲殻をかすめていった。
「うん…………」
次はまともに当てようか。 それとも、やはり威嚇に止めるべきか。
ほんの少し、逡巡を置く。
実体を持ち得た和弓は、緋色の籐巻きが丁寧に施されており、いたって優美な外観をしている。
その実態は、強力無比のシンボリズムを、祭と武、それぞれの違いに拘らず、極めて高次で体現する兵装。
並々ならぬ神威を、その全身に細しく通流させた、神の器物そのものだった。




