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神祇 ─じんぎ─  作者: 高石童話本舗
あらかじめ
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17/1823

あの頃の17


「………………」


左腕をまっすぐに差し伸べて、(たわ)めた右の手指を、胸部の横合いに配置する。


それぞれの手腕に、放電現象が生じた。


それら、(から)っぽの手の内が、一定の質量を見る見る掌握してゆく。


「………………」


時間がないので、完全な喚起を待たず、とにかく威嚇射撃をする。


胸中に波風を立てないよう心がけ、右の指先を、そっと解放する。


放射状に飛び散った余剰な霊威が、周縁の煙幕を払拭(ふっしょく)した。


石火(せっか)の軌跡が大気を直線に()み、銀杏(いちょう)の樹木に(かす)かな焦げあとを残した。


「キュ……ッ!?」


直撃コースからすると、わずかに横合い。


光芒の先端が、ようよう一本矢の実体を得て、堅固な甲殻をかすめていった。



「うん…………」


次はまともに当てようか。 それとも、やはり威嚇に(とど)めるべきか。


ほんの少し、逡巡を置く。


実体を持ち得た和弓は、緋色の籐巻きが丁寧に(ほどこ)されており、いたって優美な外観をしている。


その実態は、強力無比のシンボリズムを、(さい)と武、それぞれの違いに(こだわ)らず、極めて高次で体現する兵装。


並々ならぬ神威(しんい)を、その全身に(くわ)しく通流させた、神の器物そのものだった。

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