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神祇 ─じんぎ─  作者: 高石童話本舗
あらかじめ
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16/1823

あの頃の16


「………………っ!」


呆然とした。


“頼みと綱”と表すには、いまだ語弊(ごへい)がある。


私たちは、まだ彼女のことをよく知らないし、彼女に対する信頼もない。


けれど、この場でザリガメに立ち向かうことができるのは、彼女を置いて他には無い。


それは事実だったし、先の暴れっぷりを見れば、一目瞭然だった。


寒気がした。


あの女性(ひと)が負けてしまえば、私たちの命運は尽きる。


子ども心にそれを理解して、泣きそうになった。


どうして、こんな場所に来てしまったのだろうかと…………


友達を連れて来てしまったのだろうかと、後悔もした。


助けて欲しい。


心から、そう願った。


そうした私たちの懇切に、彼女はすぐさま応えてくれた。


先述の通りだ。


彼女の化け物ぶりは、この程度で(くじ)かれるほどヤワじゃない。


あの時から、彼女は私たちのヒーローになった。



「………………」


濛々(もうもう)と噴け上がる砂塵(さじん)の煙幕。


それを手腕のひと振りで払い()け、しっかりと地面を踏んで、体勢を正す。


右腕に反動を持たせたところ、愛刀がチャキリと鳴いた。


これはこれで格好いいのだけど、やはり小うるさい。


刃味のよい刀身には、果たして褐色の(うろこ)がキツく食い込んでおり、金具にもガタが来ている。


使い物にならない。


なので、早々に見切りをつけて、肩越しに遠くへ放り投げる。


大きく息を吸って、内心を平定する。


すぐにカッカする悪癖を(いまし)めつつ、子どもたちの声に耳を傾ける。


のんびりしていられない。

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