3 召喚(1)
えぇっと、前回二週間後と言いながら投稿します。
あとがきに述べた通りには、なりません。
(ちょっと予定が狂いましたので……)
「いよいよだね」
「そうね」
「うわぁ~、こっちがドキドキするよ」
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今から20分前のこと。卒業式が終わり部活メンバーで話をしようと思い、蘇芳を探していた3人組は、ある現場を見てしまったのが、始まりだ。
清水が赤面しながら、蘇芳に何か話している所を見た3人組は、これは何かあると思い、2人に近づき話を盗み聞きすることにした。
「……、兎に角とても大事な話。人に聞かれたくないから、1時30分に化学室で待ってるから」
“とても大事な話”、“化学室で待っているから”この2単語を聞いたとたん3人の頭の中にはこの考えだけが浮かんだ。
『告白だ!』
3人は口を揃えて小声で言った。
卒業式に最後の勇気を振り絞って、告白をする。高校で最後の学校行事。これは見なければと思い、3人は蘇芳の跡をつけって行った。
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「俺、お前のことを守ってやるから!」
「ついに言ったー!おめでとう、清水!」
「あっ!何勝手に入ってるのよ、伸也。折角、2人の良い雰囲気を楽しもうとしていた私のお楽しみを返せ!」
「告白としては、イマイチだったけどね、あっ!伸也!聡里!衿花を置いてかないで!」
ほぼ同時に入った3人組の目の前には、高校生活最後のイベントではなく、真っ白な光だった。
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聖なる国と謳われている、セークレード王国の城のとある地下室に1人の少女を中心に3人の大人が回りを囲って、呪文を唱えていた。
「あっ~!」
さっきまで、静寂がこの部屋を支配していたが、可愛らしい少女の声により、消されてしまった。
「どうしたのです、アルル?」
赤毛の知的容姿を持つ女性が凛とした声で少女に尋ねる。
「う~、イスナリーゼ様大変です~。召喚魔法が失敗してしまいました……」
「!!!」
気の抜けた少女アルルの言葉を聞いた回りの3人に緊張が走った。
「し、失敗と申しますと?」
この部屋のにいる中で一番歳をとっている男が尋ねた。
「言葉の通りだよ、フォン爺。スオウ様とイチト様を此方へ喚ぶ事を失敗してしまいました……」
「何故、失敗してしまったのですか!」
「…分かりません。もしかしたら、あちらの世界で何かあったのかもしれません」
また、この部屋を静寂が包み込んだ。
数分後、さっきまで何も話さなかった、白銀の髪を持つ男が静かにこの沈黙を破った。
「…しかし、魔方陣は起動しましたし、此方の世界に喚ぶ事は失敗している様子はありません。もしかしたら、この国の近くに召喚されてしまったのかもしれません」
「!其れならば、国の警護班や見回りの騎士達に伝令しなければ、スオウ様の御命が!」
「其れならば、大丈夫でしょう。イチトが側にいるのですから…」
白銀の男は、静かに微笑んだ。