おまけ
「……あれ、僕、いつ寝た?」
パチリと瞼を開け、そこでようやく寝ていたことに気づいた。
隣にはミルさん。昨日?は僕の部屋で寝たらしい。
昨日は、確か、話があるってことで、春明と部屋で話してる最中に父も合流して、それから?
「ミルさん、昨日、僕、話してる最中に寝落ちした、とか?」
尋ねるが返事は無く、固定されてない方の腕を持ち上げて顔を覆った。
「うっわ、まずったな。せめて春の前でだけなら言い訳もできたってのに……」
ああ見えて父はかなり過保護だ。
体調が十全で無いと判断したらしばらく家から出してもらえないかもしれない。
「はぁ、しょうがないか、計画通り一月は大人しくしておこう」
僕の呟きに、ミルさんが呆れたように息を吐いた。
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春
「シューにーちゃん!!」
門をくぐった途端に飛び込んできたおちびを抱きとめ、この時期特有の萌葱色の髪を撫でてやる。
「や、二ヶ月ぶり?少しおっきくなったか?」
こちらを見上げる花舞が保護してる木霊がにかっと笑った。
「春だからな!こっからもっと大きくなる!」
「そか~、すぐ背、抜かされそうだな」
そんな話をしていると、縁側の障子が開いて俺より少し年下の青年が顔を出した。
「あ、修平さん、こっちこっち、お茶、飲みます?」
縁側にあるお茶セットと菓子椀を指して手招きしてくれる。
「あ、陽太くん。ありがと、ここのお茶美味しいから好きだな~」
おちびを抱き上げて縁側へと向かうと、陽太くんは心底嬉しそうに微笑んだ。
「そりゃ、うちのお茶園の子たちに、せっかくの若芽を頭下げて摘ませてもらってるんだから、美味しくなけりゃそんな酷いこと出来ませんって」
お茶園で困ったように笑いながら、手を合わせている青年の様子がありありと想像できて、俺も少し笑った。
「そっか~、おちびもお茶する?」
「んにゃ、後で本体に水かけて」
体をねじって指さす先には薄緑色の鮮やかな新芽を吹いている一本の若木。
「わかった」
陽太くんがポットから急須へとお湯を注ぐ中、俺は縁側へと腰掛けた。




