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【三章完結】永和怪異始末録〜時々巨大もふもふ〜  作者: 横山
3人組成長譚(逆行)

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学生時代 上

 小学三年生


 修平はなんとか書き上げた半紙を持って師匠へと差し出した。


「力の抜き方が遅い、ここはもっと短くしなさい。跳ねは最後まで筆先に意識を集中して、掠れないように」


「……はい」


 再び床へと座り、筆を手に取る。

 失敗したら書き直し、上手く書けたら繰り返し、とにかく書く。


 師匠の帰り際、差し出された宿題の手本書きを受け取って、修平は肩を落とした。

 そんな頭に手が置かれる。


「まずは基本。これがないと行き詰まる。早く符術を覚えて役に立つんだろう?」


「……うん」


「なら今は書きなさい」


「はい!」



 ---



 小学二年生


 一歩づつゆっくりと近づく竜一。

 下にひかれたマットと中央で緊張した面持ちで立っている修平。


 春明は2人を交互に見やりつつ、特に修平へと気を配っていた。

 残りの距離が三メートルを切った頃、修平が右手を挙げて叫んだ。


「今ちょっとくらってした!」


 その宣言に、床へとビニールテープを貼って大きめの一歩を後退る竜一。

 春明はメジャーの先端を修平へと持たせると長さを測った。


「2m73cm、竜、抑え方は変えてないんだよな?」


「ああ、全く同じってわけにはいかないけど、大体同じくらい」


 それを聞いて修平がガッツポーズをとった。


「っしゃ!前より50cm以上縮んだ!!」


 抵抗性をつける訓練は、まぁ、順調とは言えた。





「じゃ、次竜な」


「へいよ」


 そんな掛け声で、再び一歩づつ距離を詰めていく。

 スタスタと、先ほどよりは足早に、2mを切る頃には再び歩幅を狭くして。


「お、まだなんも感じない、え、すごいな!?」


 驚きながら右手を差し出す修平。

 ついに目の前まで来た竜一は、上から手のひらを叩きつけ、ぺちん、と軽い音が響いた。


「うっし、これでようやく鬱陶しい見張りを撒ける」


 満足そうな竜一の顔を見て、春明があきれたようにその頭をはたいた。


「お前な、妖魔が集ってくるのから守ってもらってるくせに、見張りとか鬱陶しいとか、護衛の兄ちゃんたち泣くぞ?」


 そんな二人の横で、修平は若干悔しそうに口端を曲げた。


「うぬぅ、竜の方が気配抑えれるようになるの早いとか……」


 二人は顔を見合わせると、わずかにうつむいた修平の頭へと手を伸ばす。


「修は頑張ってるよ、確実に良くはなってるんだから気にすんな」


 春明がフードをかぶせ、


「諦めろ、僕は頑張れば何とかなるけど、修のは身体が慣れるしかないんだから」


 竜一はその上からぽんぽんと軽く撫でてやった。



 ---



 小学一年生


 健康診断


 ハート、魚、星の三つのシールを五分間貼った後、クラスメイトはみんなで腕に残った赤くて丸い跡を見せ合いっこしていた。


「みてみて~、お団子みたい!」


「私は真ん中だけつかなかったからね~、メガネ」


 などと可愛らしい会話の中、春明と竜一はなんの跡も残らなかった腕をチラと見て、すぐに袖を戻した。


「大川くんはどうだったの?」


 教室で隣に席になった女の子に尋ねられ、困った顔の修平。


「えと、俺は前に病院でやったからもうやらなくて良いんだって」


「そっか~、その時はどうだった?私はね、お魚さんのとこだけ赤くなったよ?」


「うーんと、全部、赤くなった、かな?」


 わずかに記憶に残るのは、慌てた大人たちの声と、真っ赤にただれた腕。その後すぐに白い包帯を巻かれたために、よく覚えてはいなかった。


「そっか!お団子だったんだね」

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