第37話
「とっとっ!」
今度は転ぶ事なく着地出来たものの、重力の変化に慣れず、バランスを取るのに少し手間取り、バタバタと足を動かす。
なんともカッコ悪い…。
「はぁ〜、ようやく帰ってきたかぃ」
声のする方を向くと、お婆さんが呆れたような顔でカウンターに座っていた。
「えーっと、戻りました?」
どうやらさっきの滑稽な格好を見られていたようで、まぁ誰しも初めはそうさね、と言うと、こっちに来るように手招きをする。
何だろうと不思議に思いながらカウンターに近づくと、かえってきたのは鋭いチョップだった。
「痛っ!」
すごく痛いというわけではないのに、反射的に思わず声が出てしまう。
「傀、ちょっとは人の話をよく聞きな!」
何の事だろうと考える。
何せ傀の中では約2日前の事であり、加えて密度の濃い2日間だったので、晴子の言っている事が抜け落ちていた。
いや、目の前の冒険で胸が高鳴り周りが見えなくなっていたのかもしれない。
「まぁいい。次から気をつける事」
「は、はい」
「そんで、話って言うのは、傀を探っていた少年についてなんだがね」
「少年ですか?」
首を傾げ、誰の事かを考えてみる。
「多分、傀。お前よりも一個二個上だと思うが、なにか心当たりあるか?」
傀の頭に浮かんだのはまず豪のことだったが、年上ともなると豪ではない。
「えっと……その人ってどんな人でした?」
「だから、傀お前よりちょっと年上っぽいやつだったって言ってるだろ?」
「いや、そうではなくて…見た目的なー…」
「んーそうだねぇ〜。フードを被っていて髪は黒…」
全く出てこない…。
「ん〜あと、目つきが悪くかったぐらいだな」
どんなに考えても、年上に知り合いなんていないし、うんともすんとも頭に浮かんでは来ない。
「あっ!すみません!そろそろ親が心配するので帰ります!!」
「ほぉ、そうかい」




