第32話
「あの、マスター。
あの人が、マスターが言ってた旧友?なんですか?」
「ん、ああ、そうだけど。なに?気になるの?」
「ち、違います。私が気になるのは…何でもないです」
妖精は頬を膨らませそっぽを向く。
「え?なんだって?
いや、まぁいいや。悪かったって。だから拗ねないで〜」
クスクス笑いながら謝る。
「ちゃんと、反省して下さい」
「いや〜、相変わらず冷たいねフロートちゃんは。」
豪は妖精の頭を軽く撫でるように触った。
「や、やめてください。セクハラですよ」
赤く染めた顔を下を向き隠し、手を払う。
「あはははっ〜!言う様になったねぇ」
笑う豪にフロートは、その場に止まる。
それに合わせるように豪も足を止める。
「いえ、そんな事ないです」
「そうか?まぁ〜いいや、早く行かないと時間ギリギリだし」
「それはマスターが旧友さんとゆっくり話しているからで」
「そうだっけ?まぁ、久しぶりの再会って事で今回は勘弁ねぇ〜」
「仕方ないですね。今回だけですよ」
雲から月が顔を出し木の影から月灯りがフロートを照らす。
銀色の髪、それを止める空色の花のピン。銀色の羽は蝶の様な形をしていた。
「あー、なんか少し怠くなってきたし、今日は辞めて帰っちゃう?」
「それはダメです。マスターはそうやっていつもサボろうとするのやめてください」
「冗談だよぉ!今日の仕事は骨が折れそうだし、気引き締めていかないとなー」
そしてまたゆっくりとペースを上げ走り出した。
「後、10キロぐらいあるけど休憩大丈夫?」
「私は大丈夫ですが、マスターは…聞くまでもないですね」
「わかってるねぇ〜。いや〜、でも、こっちの世界は動きやすくていいねぇ〜。
元の世界じゃこうはいかないし」
「確か、マスターの世界はマナの純度が低かったんでしたっけ?」
「そうだけど、俺にはあんま関係ないけどね。フロートちゃんもいるし」
「そうでしたね。マスターのスキルは…」
………………………。




